不登校は親子関係が原因?

不登校になると、「これまでの親子関係や育て方に問題があったのでは」と振り返る保護者様もいるでしょう。
ここでは、親子関係だけを原因と考えられない理由と、不登校をきっかけに親子関係が変化するケースについて解説します。
親子関係だけが原因とは限らない
不登校の原因を、親子関係だけに結びつける必要はありません。
文部科学省の調査では、不登校の背景として、学校生活への意欲低下や不安・抑うつ、生活リズムの乱れ、学業不振、友人関係など、さまざまな要因が挙げられています。
家庭での関わり方が負担の一因となるケースはありますが、「母親の育て方が悪かった」「親子関係がよくなかったから不登校になった」と一つの原因に決めつけることはできません。
過去の関わりを責めるよりも、お子さまが現在どのようなことにつらさを感じているのかを見ていくことが、不登校への理解につながります。
参考:文部科学省「不登校の要因分析に関する調査研究 報告書」
不登校をきっかけに関係が変わることもある
親子関係が不登校に影響する可能性がある一方で、不登校になったことをきっかけに、親子の関係が変化するケースもあります。
保護者様は、お子さまの将来や学習への不安から、登校について声をかける機会が増えやすくなります。
お子さまも学校への不安や焦りを抱えていると、何気ない言葉を責められているように受け取り、会話を避けることがあるでしょう。
こうしたすれ違いが重なると、それまで大きな問題がなかった親子でも関係がぎくしゃくしやすくなります。
不登校と親子関係は「どちらが原因か」だけで考えず、不登校後に生じた変化にも目を向けることがポイントです。
不登校で親子関係が悪化する理由

不登校になると、登校や将来をめぐって親子の会話や関わり方が変化し、すれ違いが増えることがあります。
ここでは、不登校をきっかけに親子関係が悪化しやすい主な理由を解説します。
登校をめぐるやり取りが増える
不登校になると、登校に関するやり取りが増え、親子双方に負担がかかりやすくなります。
保護者様は心配する気持ちから、「明日は行けそう?」「いつから学校に戻れそう?」と確認したくなることもあるでしょう。
一方、お子さまにとっては、学校の話題そのものがプレッシャーとなり、声をかけられるたびに責められているように感じる場合があります。
登校をめぐる会話が繰り返されることで、親子のやり取りそのものに緊張が生まれ、関係がぎくしゃくするきっかけになりかねません。
子どもが会話や関わりを避ける
不登校のお子さまが、保護者様との会話や関わりを避けるようになることがあります。
学校について聞かれることへの負担や、自分の気持ちをうまく言葉にできないつらさから、部屋にこもったり返事をしなくなったりするケースも少なくありません。
保護者様からすると、「何を考えているのかわからない」「避けられている」と感じ、さらに声をかけたくなることもあるでしょう。
お子さまが距離を取る背景には、保護者様を嫌っているからではなく、自分の気持ちを守るために関わりを減らしている可能性もあります。
保護者の不安や焦りが強くなる
お子さまの不登校が続くと、保護者様の不安や焦りが強まり、親子関係にも影響することがあります。
「このままで大丈夫なのか」「勉強や進路はどうなるのか」と考え続けるうちに、普段なら気にならないお子さまの言動にも敏感になりやすいものです。
不安が大きくなると、強い口調で注意したり、必要以上に先回りして行動したりすることもあるでしょう。
保護者様自身に余裕がなくなることで、お子さまとのすれ違いが増え、親子関係がさらに悪化する場合があります。
不登校の子どもとの親子関係で意識したい接し方

不登校のお子さまと接するときは、登校を促すことよりも、まず親子のやり取りが負担になりすぎていないかを見直すことが大切です。
ここでは、不登校のお子さまとの親子関係で意識したい接し方を紹介します。
子どもの気持ちを否定せずに聞く
お子さまが気持ちを話してくれたときは、すぐに否定したり解決策を示したりせず、まずは最後まで耳を傾けてみましょう。
「学校に行きたくない」と言われると、「でも行かないと困るよ」と返したくなることもあります。
しかし、結論を急ぐと、お子さまが「話してもわかってもらえない」と感じ、気持ちを言葉にしにくくなるかもしれません。
内容に同意できない場合でも、「そう感じているんだね」と受け止めることはできます。
安心して話せるやり取りを重ねることが、親子関係を保つ土台になります。
登校を急かさない
不登校が続いているときに登校を急かすと、お子さまの負担が大きくなり、保護者様との関係にも緊張が生まれやすくなります。
保護者様にとっては、欠席が続くほど学習や進路への不安も強くなるものです。
それでも、「明日は行ける?」「いつまで休むの?」と繰り返し確認すると、家庭でも学校のことから離れられなくなってしまいます。
登校について話す必要がある場合は、お子さまの様子を見ながらタイミングや頻度を調整してみてください。
まずは家庭を安心して過ごせる場所にすることを意識しましょう。
先回りしすぎない
心配するあまり、保護者様がお子さまの気持ちや行動を先回りしすぎないことも意識したいポイントです。
不登校になると、学校への連絡や今後の予定、生活面など、保護者様が対応しなければならない場面は増えます。
一方で、お子さま自身が考えたり選んだりできることまで決めてしまうと、自分の意思を表す機会が少なくなることがあります。
年齢や状態に合わせて、「どうしたい?」「どちらがいい?」と本人の考えを確認する場面をつくってみましょう。
必要な支えと任せられる部分を分けることで、親子の距離感も整えやすくなります。
学校以外の会話や時間も大切にする
親子の会話が学校や不登校の話題ばかりにならないようにすることも意識してみましょう。
好きな食べ物や動画、趣味、家であった出来事など、学校とは関係のない会話を交わすことで、お子さまも保護者様と過ごす時間に緊張しにくくなります。
会話を無理に増やす必要はなく、一緒に食事をしたりテレビを見たりするだけでも構いません。
不登校について話さない時間を持つことは、問題から目を背けることとは異なります。
学校とは関係のない話をしたり一緒に過ごしたりする時間があることで、不登校について話すときとは違う、自然な親子のやり取りも保ちやすくなります。
感情的に責めない
不登校への不安や疲れが積み重なると、保護者様がお子さまに強い言葉を向けてしまうこともあります。
「どうして行けないの」「いつまでこのままなの」と責められると、お子さまは自分の状態を否定されたように感じ、さらに心を閉ざす可能性があります。
一方で、保護者様も常に穏やかでいなければならないわけではありません。
感情が高ぶっているときは、その場で話を続けず、いったん距離を取る方法もあります。
落ち着いてから話すことで、親子双方が気持ちを伝えやすくなるでしょう。
【年齢別】不登校の子どもとの親子関係のポイント

不登校のお子さまへの関わり方は、年齢や発達段階によって意識したいポイントが異なります。
ここでは、小学生・中学生・高校生に分けて、親子関係で意識したいことを紹介します。
小学生は安心感を優先する
小学生の不登校では、保護者様との関わりのなかで安心して過ごせることを優先しましょう。
小学生は、自分の気持ちや学校で起きたことを十分に言葉で説明できない場合があります。
「どうして行けないの?」と理由を何度も聞くよりも、表情や生活の様子も見ながら、お子さまの状態を捉えることが必要です。
また、保護者様の焦りや不安を敏感に感じ取ることもあります。
一緒に遊ぶ、食事をするなど普段の時間も大切にしながら、「家では安心して過ごせる」と感じられる関係を意識してみましょう。
中学生は距離感に配慮する
中学生になると、自分で考えたい気持ちが強くなる一方で、保護者様の支えを必要とする場面もあります。
心配だからと細かく状況を確認したり、今後のことを次々に提案したりすると、干渉されているように感じることがあります。
反対に、本人に任せようとして距離を取りすぎると、「放っておかれた」と受け取る場合もあるでしょう。
話したくなさそうなときは無理に聞き出さず、必要なときには頼れることを伝えておくなど、見守りと関わりのバランスを意識することがポイントです。
高校生は本人の意思を尊重する
高校生の不登校では、今後の学校生活や進路について、本人の意思を尊重しながら話し合うことが重要です。
保護者様は、留年や進学、就職への影響を考えて先回りしたくなるかもしれません。
しかし、保護者様だけで方向性を決めると、お子さま自身が納得できず、親子のすれ違いにつながることがあります。
現在の学校を続けることだけでなく、転校や通信制高校など複数の選択肢を知ったうえで、本人がどうしたいのかを確認していきましょう。
保護者様は結論を決める役割ではなく、一緒に情報を整理する立場で関わることが大切です。
不登校で親子関係に悩む保護者の心のケア

不登校への対応が続くと、保護者様自身も不安や疲れを抱えやすくなります。
親子関係を保つためにも、お子さまへの関わりだけでなく、保護者様自身の心の状態にも目を向けていきましょう。
自分を責めすぎない
お子さまが不登校になると、「自分の育て方が悪かったのでは」「もっと早く気づくべきだった」と自分を責めてしまうことがあります。
しかし、不登校の背景には複数の要因が関係しており、親子関係や保護者様の関わりだけで説明できるものではありません。
過去の対応を振り返ることはあっても、すべてを自分の責任として抱え込むと、心身の負担がさらに大きくなってしまいます。
過去の関わりだけに目を向けるのではなく、これからお子さまとどう接していくかを考えることが、今後の親子関係にもつながっていきます。
一人で抱え込まない
不登校や親子関係の悩みは、保護者様だけで抱え込まないようにしましょう。
家族や信頼できる人に話すだけでも、自分の気持ちや状況を整理しやすくなることがあります。
身近な人には相談しにくい場合は、親の会や相談窓口、カウンセリングなどを利用する方法もあります。
「家庭のことだから自分で何とかしなければ」と考え続けるほど、負担は大きくなりがちです。
周囲の力を借りることも、不登校のお子さまと向き合うための一つの方法です。
自分の生活や休息も大切にする
お子さまの不登校が続いていても、保護者様自身の生活や休息まで後回しにする必要はありません。
常にお子さまの様子を気にしていると、気持ちを切り替える時間が少なくなり、心身ともに疲れやすくなります。
短時間でも一人で過ごす、好きなことをする、普段どおり仕事や外出を続けるなど、自分の時間を持つことも意識してみてください。
保護者様に少し余裕が生まれることで、お子さまの言動にも落ち着いて向き合いやすくなります。
不登校で親子関係に悩んだときの相談先

不登校や親子関係の悩みは、家庭の中だけで考え続けると、保護者様の負担が大きくなることがあります。
状況に応じて、家庭の外に相談先を持つことも検討してみましょう。
自治体の子育て・教育相談
自治体には、不登校や学校生活、親子関係について相談できる窓口があります。
教育センターや教育相談室では、学校への行きづらさや学習、進路、家庭での接し方など、教育に関する悩みを幅広く相談できます。
子育て支援窓口では、学校のことに限らず、親子関係や家庭での困りごとについて相談できる場合もあります。
相談先に迷ったときは、自治体のホームページで「不登校」「教育相談」などの案内を確認すると、利用できる窓口を見つけやすいでしょう。
親の会や保護者向けの支援
不登校について、同じ立場の保護者と話したいと感じたときは、親の会を利用する方法があります。
親の会では、不登校のお子さまを持つ保護者同士で悩みや経験を共有でき、身近な人には話しにくい気持ちを言葉にしやすくなることもあります。
また、自治体や民間団体では、保護者向けの相談会や講座、個別相談を行っている場合があります。
家庭での接し方や声のかけ方を考える機会にもなるため、親子関係に悩んでいるときの支えの一つになるでしょう。
不登校に詳しい専門家
親子関係の悩みが続いている場合は、不登校に詳しい専門家へ相談する方法もあります。
公認心理師や臨床心理士などの専門家に相談すると、お子さまの状態だけでなく、保護者様がどのように関わればよいかを一緒に整理できます。
「声のかけ方がわからない」「何を言っても関係がこじれる」と感じている場合にも、具体的な関わり方を考えるきっかけになるでしょう。
お子さま本人が相談を望まない場合でも、保護者様だけで利用できるサービスがあります。
親子関係や家庭での対応に迷ったときは、保護者様から相談を始める方法も選択肢の一つです。
不登校で親子関係に悩んだら不登校こころの相談室へ

不登校の背景はさまざまで、親子関係や保護者様の育て方だけが原因とは限りません。
不登校をきっかけにすれ違いが増えた場合も、お子さまの気持ちや年齢に合わせて関わり方を見直していくことで、今後の親子関係を考えていけます。
不登校こころの相談室では、お子さまへの対応だけでなく、悩みや疲れを抱える保護者様のケアも大切にしています。
「何を話せばいいかわからない」「接し方に迷っている」ときは、不登校や親子関係の相談経験がある専門家と、家庭に合った関わり方を整理することも可能です。
お子さま本人が相談を望まない場合は、保護者様だけでも利用できるため、親子関係に悩んだときは一人で抱え込まず相談してみてくださいね。

















