子どもが不登校、親は仕事を辞めるべき?

お子さまが不登校になると、「仕事を辞めるべきなのだろうか」と悩む保護者様は少なくありません。しかし、不登校を理由に仕事を辞めることが、すべてのご家庭にとって最善の選択とは限りません。
大切なのは、お子さまの心身の状態や家庭の状況、職場の制度などを踏まえ、無理のない方法を選ぶことです。仕事を辞めるか続けるかの二択ではなく、ご家庭に合った働き方を考える視点が重要になります。
当相談室に寄せられる、不登校と仕事の両立に悩む保護者様の声

不登校こころの相談室では、初回カウンセリング前のアンケートで、お子さまの登校状況だけでなく、保護者様が現在困っていることや家庭での負担についても伺っています。
実際のアンケートでは、仕事を続けたい気持ちがありながら、付き添い登校や日中の見守り、急な欠席への対応によって、これまでどおり働くことが難しくなっている様子が見られます。
ここでは、当相談室へ実際に寄せられた声をもとに、不登校と仕事の両立で保護者様が直面している悩みを紹介します。
付き添いや見守りで仕事に行けない
お子さまが一人で登校できない場合や、家で一人にしておくことが難しい場合、保護者様が仕事を休んだり、勤務時間を調整したりする必要が生じます。
「いつになったら1人で登校できるのか」
「仕事にも行きたいし、先が見えなくて不安とストレスがたまり、子どもの前でも泣いてしまいます。」
「両親共働きであり、母が転職するので、自宅にいられない」
「できることをしてあげるにも親の仕事調整の負担などもあり限界がある」
「いつかは登校も学童も行ってもらわないといけないが、それがいつになるか見通せない不安。」
※事前アンケートより、一部抜粋・編集して掲載しています。
実際のアンケートでは、「仕事を辞めたい」というより、子どもの付き添いや見守りがいつまで必要なのか分からず、働き方を決められないケースが見られます。
当相談室では、登校の可否だけで判断せず、お子さまが一人で過ごせる時間、家族の協力、学校や学童の対応などを確認し、保護者様だけが付き添い続けなくてもよい方法を整理します。
子どもを優先したい気持ちと仕事を続けたい気持ちで揺れる
保護者様からは、お子さまを支えたい一方で、自分の仕事や生活も守りたいという声が寄せられています。どちらか一方を選ばなければならないと考えるほど、精神的な負担は大きくなります。
「仕事にも行きたい」
「親仕事調整の負担などもあり限界がある」
「毎日楽しく登校も学童も行けていて、家庭も仕事もうまく回っていると嬉しい。」
「仕事時間を削る方向にはしたくない。」
「機嫌が悪い時の対応。私の仕事について。」
アンケートを見ると、保護者様が仕事を優先しているのでも、子どもへの支援を避けているのでもありません。子どもへの対応を続けながら、家計やキャリア、生活全体を維持しようとしているのです。
実際のご相談では、退職だけを検討するのではなく、休暇、時短勤務、在宅勤務、家族との分担など、一定期間だけ負担を減らす方法がないかを一緒に整理します。
いつまで働き方を調整すればよいのか分からない
不登校への対応は終わりが見えにくいため、「今だけ仕事を減らせばよいのか」「この状態が長く続くのか」と悩む保護者様もいます。
「私も1ヶ月なら!とがんばりましたが、思うようにことが進まず、精神的に負担を感じ始めています。」
「いつになったら1人で登校できるのか」
「先が見えなくて不安とストレスがたまり」
「母子登校をしているが、いつまで続けるのか不安」
「それがいつになるか見通せない不安。」
実際のアンケートでは、保護者様が一時的な対応だと考えて仕事を調整したものの、お子さまの状態が変化せず、負担が長期化しているケースが見られます。
初回カウンセリングでは、仕事をいつまで休むかを先に決めるのではなく、付き添い時間が減る、一人で過ごせる、学校以外の居場所を利用できるなど、働き方を戻す目安となる小さな変化を設定します。
このように、不登校と仕事の両立では、辞めるか続けるかだけでなく、付き添いの必要性、家族の協力、子どもの状態、保護者様自身の負担をあわせて考える必要があります。
退職を決める前に、現在の働き方を一時的に調整したり、周囲の支援を活用したりする方法がないか確認してみましょう。
不登校の子どもの支援と親の仕事を両立するには?

お子さまが不登校になると、仕事をしている親の生活に大きな負担がかかります。お子さまの気持ちに寄り添いながら、仕事との両立を考えなければなりません。
経済的な安定を維持しつつ、お子さまをサポートするためには、働き方の見直しや周囲の協力が不可欠です。ここでは、両立のための具体的な方法をお伝えします。
家族や職場の理解を得る
不登校のお子さまを支えながら仕事を続けるためには、まず家庭内で協力体制を整えることが大切です。お子さまのケアを親が1人で抱え込まず、家族と協力しながら取り組んでいけば親の精神的な負担は抑えられます。祖父母が協力できる場合は、見守りや送迎などをお願いするのも1つの方法です。
また、職場の理解を得ることも欠かせません。お子さまの状況を説明し、急な対応が必要になる場合や勤務時間の調整について相談してみましょう。上司や同僚が事情を理解してくれれば、休みが必要なときは協力が得やすくなるかもしれません。
在宅勤務・時短勤務を検討する
不登校のお子さまの支援と仕事を両立するためには、現在の働き方を見直すことも大切です。仕事を辞める前に、在宅勤務や時短勤務など、無理なく働き続けられる方法がないか検討してみましょう。
勤務先によって異なりますが、次のような働き方や制度を利用できる場合があります。
- 在宅勤務
- 時短勤務
- フレックスタイム制度
- 休職制度
- 有給休暇
利用できる制度は勤務先によって異なりますが、一時的に働き方を調整することで、仕事を辞めずに済むケースもあります。
まずは勤務先へ相談し、自分やお子さまの状況に合った働き方を検討してみましょう。
公的支援や民間サービスを活用する
不登校のお子さまを支えながら仕事を続けるため、公的な支援制度や民間サービスの活用も大切です。地域の行政窓口に問い合わせて、具体的な支援内容を確認しましょう。
また、学習支援サービスを利用するのも1つの方法です。フリースクールやオンライン学習塾を活用すれば、お子さまは学校へ行けなくても学習を続けられます。ただし、これらの支援を利用する場合はお子さまの意欲がなければ状況が悪化する場合もあります。
子どもが不登校でも親は仕事を続けた方がいい理由とは?

お子さまが不登校になると、親として「仕事を続けるべきか、それとも辞めるべきか」と悩んでしまいますよね。お子さまのそばにいる時間を増やしたいと思う一方で、経済的な問題や将来の不安を考えると、仕事を手放す決断は簡単ではありません。
しかし、長期的な視点で考えると、親の仕事の継続には多くのメリットがあります。ここでは、その理由を詳しく説明します。
親の精神的安定のため
お子さまの不登校が続くと、親は「どうして登校できないの?」「このままでいいのだろうか…」と考え込んでしまい、気持ちが不安定になりがちです。
しかし、仕事中は不登校に関する悩みに意識を向ける時間は減少します。仕事自体が気分転換になりストレスが和らぐケースもあるでしょう。
親が精神的に安定していると、お子さまに対してイライラしたりきつく接したりもしません。親の心に余裕があれば、お子さまの心も安定します。
社会とのつながりが重要なため
仕事を辞めて家庭にこもると、人と関わる機会が減り悩みを1人で抱え込んでしまいます。不登校の子どもを持つ親にとって、職場での会話が気分転換になる場合もあるでしょう。
また、仕事を通じてさまざまな人と接するなかで、同じように子育てをしながら働く方から子どもへの接し方のヒントを得られるかもしれません。
親が社会とつながりを持ち続けることは、お子さまが再び外の世界に出る際の良い手本にもなります。親が楽しそうに仕事をしている姿を見れば、お子さまは「外の世界も悪くない」と感じる可能性もあるのではないでしょうか。
経済的な安定のため
お子さまの不登校が続くと、経済的な面でもさまざまな負担が生じます。たとえば、フリースクールや家庭教師を利用する場合は費用がかかります。仕事を続けていれば、これらの費用は確保できるでしょう。
経済的に安定していると、親の心の余裕にもつながります。お金の不安があると、どんなにお子さまのためを思っていても、気持ちにゆとりを持つのが難しくなるでしょう。
不登校の子どもの親が仕事を見直すべきケースとは?

お子さまが不登校になっても、親として仕事を続けることには多くのメリットがあります。しかし、状況によっては働き方を見直す必要もあるでしょう。
無理し続けると、お子さまの状態は悪化し親の心身にも大きな負担がかかります。ここでは、仕事を見直すべきケースについて説明します。
子どもの状態が深刻な場合
不登校は、お子さまによってその背景や状況はさまざまです。比較的安定していて、家庭で穏やかに過ごせている場合は、仕事を続けながら様子を見守るといいでしょう。
しかし、以下のような状態が続いている場合は、親の働き方を見直す必要があります。
- お子さまが強い不安や抑うつ状態にある
- 家庭内で暴力的な行動が見られる
- 自傷行為などがある
このような場合、お子さまの心のケアを最優先に考える必要があります。場合によっては、医療機関や専門機関と連携し、適切な支援を受けるよう検討してください。
親の心身の健康を損なっている場合
お子さまの不登校の問題は、親にとって大きな負担であるのはいうまでもありません。精神的なプレッシャーに加え、仕事との両立による疲労が積み重なれば、心身の健康に悪影響を及ぼす場合があります。
次のような状態が続いている場合は、仕事の継続を検討すべきかもしれません。
- 慢性的な疲労感が抜けず、体調が優れない
- 不安やストレスが強く、夜眠れない
- 食欲が低下したり、逆に過食気味になったりする
- 気持ちが落ち込み、涙が出る
親自身の健康が損なわれると、お子さまの不登校に対して冷静に向き合うのは困難です。
サポートが得られない場合
不登校のお子さまを支えながら仕事を続けるには、家庭内外でのサポートが欠かせません。家族の協力が得られたり、学校や支援機関が積極的に関わってくれたりする場合は、仕事を続けやすくなるでしょう。
しかし、十分なサポートが得られない状況では、親がすべてを抱え込まなければなりません。
- 夫と育児や家事を分担できない
- 祖父母のサポートを受けられない
- 行政の支援制度を利用しにくい環境にある
このような状況では、親は仕事と家庭の両立に限界を感じてしまいます。サポート体制が整うまでは、仕事をセーブするなど働き方を見直す必要があるかもしれません。
親が仕事を辞めると不登校の子どもはどう感じる?

お子さまが不登校になると、確かにお子さまに寄り添う時間は重要です。しかし、親が仕事を辞める選択が必ずしもプラスに働くとは限りません。
ここでは、親が仕事を辞めたときにお子さまがどのように感じているか考えてみます。
自責の念が強くなる
親が仕事を辞めると、お子さまは「自分のせいで辞めさせてしまった」と感じる場合があります。特に、もともと責任感の強いお子さまや、周囲に気を遣うお子さまほど、その思いを抱えやすいかもしれません。
「自分のせいで仕事が続けられない」と感じてしまうと、自己肯定感が低下し、さらに不登校の状況が長引いてしまう場合もあるでしょう。また、罪悪感を抱くあまり本音がいえず「学校に行かなきゃいけない」と無理して登校するケースもあります。
親が仕事を辞める場合は「あなたのために辞めた」と伝えるのではなく、お子さまが必要以上に責任を感じないよう伝え方の工夫が必要です。
親との関係性の変化
仕事を辞めると、親とお子さまの関係性が変わるケースもあります。これまで仕事と家庭のバランスが取れていた場合、突然親がずっと家にいる状況だとお子さまがプレッシャーを感じてしまうでしょう。
さらに、親が「子どものために何かしなければ」と過干渉になってしまうと思春期のお子さまはストレスを感じてしまいます。逆に、親に精神的な余裕が生まれ、お子さまと穏やかに接することができるようになるケースもあるでしょう。
大切なのは、親が「子どもを何とかしなければ」と過度なプレッシャーを感じず、お子さまと適度な距離を保ちながら関わることです。
子どもの本音
お子さまが親の仕事についてどのように感じているかは、一人ひとり異なります。しかし「親に仕事を続けてほしい」と考えるお子さまも多いかもしれません。
その理由としては、以下があげられます。
- 罪悪感を持ちたくない
- 親に楽しんでほしい
- 親が家にいると空気が重くなる
もちろん、もっとそばにいてほしいと思うお子さまもいるでしょう。仕事を辞めるかどうかを決める前に、お子さまとよく話し合い本当の気持ちを聞くことが大切です。
親が無理なく仕事を続けるために

不登校のお子さまを支えながら仕事を続ける親にとって、ワークライフバランスの維持は大きな課題です。お子さまのサポートを優先するあまり、自分の時間がなくなり、心身ともに疲れてしまう場合も。
ここでは、親がワークライフバランスを確立するための方法を紹介します。
自分の時間を確保する
仕事と子育てを両立するためには、毎日の過ごし方に工夫が必要です。そのうえで、自分の時間を確保するのは簡単ではありません。しかし、短い時間でも意識的に確保すれば心に余裕が生まれるでしょう。
たとえば、家事の合間にお茶を飲んだり、本を読んだりするだけでも気持ちがリフレッシュされます。また、短時間のウォーキングなども効果的です。
家事や仕事を完璧にこなそうとすると、どんどん自分の時間が削られてストレスが溜まる一方です。優先順位をつけ、できる範囲での取り組みを意識するといいでしょう。
家族や周囲のサポートを活用する
親が1人ですべてを抱え込むのではなく、家族や周囲のサポートを上手に活用してワークライフバランスを保ちましょう。
同居する家族との役割分担を明確にするのも大切です。祖父母が近くに住んでいたり同居したりしている場合は、協力を得られるかお願いしてみましょう。漠然と伝えるのではなく「朝の送りはお願いしたい」といった具体的なお願いをすると、協力が得やすいかもしれません。
どうしても仕事を優先させなければならない場合は、家事の効率化が必要です。日々の食事をまとめて作り置きしたり、家事代行サービスを利用したりすれば家事にかかる時間は減らせます。
また、お子さまの様子が気になる場合は、在宅勤務にしたりフレックスタイム制度を利用したりすればお子さまと過ごす時間を確保できるでしょう。午前中にお子さまのケアをして、午後から仕事に集中する働き方も考えられます。たとえ短い時間でも、お子さまとの会話を楽しんでお子さまの心を満たせるよう意識して過ごすことは大切です。
一人で抱え込まず相談する
不登校のお子さまを支えながら仕事を続けるなかで、「自分だけで何とかしなければ」と感じてしまう親は少なくありません。しかし、一人で抱え込み続けると、心身の負担が大きくなり、冷静な判断が難しくなる場合もあります。
家族や学校だけで解決が難しいと感じたときは、スクールカウンセラーや公的な相談機関、専門のカウンセラーなど第三者を頼ることも大切です。親自身の気持ちを整理できると、お子さまへの関わり方が見えてくるきっかけになるでしょう。
不登校と仕事の両立に悩んだとき、まずできることは?

不登校のお子さまを支えながら仕事を続けることに、不安や迷いを抱える親は少なくありません。
仕事を辞めるか続けるかに正解はなく、お子さまの状態や家庭の状況に合わせて、無理のない働き方を選ぶことが大切です。一人で判断が難しいと感じたときは、専門家に相談することも選択肢の一つでしょう。
「不登校こころの相談室」では、不登校支援に精通した臨床心理士・公認心理師が、親御様の悩みに寄り添い、ご家庭に合ったサポートをオンラインで提供しています。お子さまへの関わり方だけでなく、仕事との両立についても一緒に整理できるため、安心してご相談いただけます。
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