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子どもが不登校、母親は仕事を辞めるべき?

お子さまが不登校になったとき、多くの母親が最初に考えるのは「仕事を続けるべきか辞めるべきか」という選択です。お子さまのために、母親としてできる最善の選択を探そうとするのは自然なことかもしれません。
ここでは、不登校のお子さまを支えながら仕事を続ける母親の悩みや、仕事を辞めるリスクについてお伝えします。
仕事を持つ母親の悩み
「子どもが不登校なのに仕事を続けていていいのだろうか?」
「子どもと向き合う時間が足りないのかもしれない…」
これらは、お子さまが不登校になったときに母親の多くが持つ悩みといえるでしょう。学校との連絡に時間が取れなかったり、お子さまの様子が気になって出勤できなかったりすると仕事を継続するべきかどうか迷ってしまいます。
母親の立場からすると、仕事を優先すれば不登校のお子さまに対して罪悪感が募ります。逆に、お子さまを優先して仕事を頻繁に休むと、上司や同僚に迷惑をかけてしまうのではないかと悩んでしまうでしょう。
母親が仕事を辞めるリスク
不登校の子どもへの対応を優先して仕事を辞めると、以下のリスクが生じる可能性があります。
- 経済的なリスク:家計の収入が減少
- 母親自身への影響:社会との接点がなくなる不安やキャリアの中断
- 家族関係への影響:母親の精神的プレッシャーが増大
仕事を辞めて家にいると、不登校のお子さまと向き合う時間が増えます。しかし、かえって母親としてのストレスが増えるケースもあるでしょう。
状況を見極めが大切
仕事を継続するか否かの判断には、冷静な状況分析が重要です。状況を見極めながら、お子さまと母親の双方にとって最適な方法を探ってみましょう。以下のポイントを整理すると、最適な選択が見えてきます。
- お子さまの状況:不登校の背景や原因・心身の状態・支援の必要性
- 家族の状況:家族の協力体制・経済状況
- 仕事の状況:勤務形態の柔軟性・職場の理解度・在宅勤務の可否
たとえば、フルタイムからパートタイムへの移行など、退職以外の選択肢も検討できるかもしれません。仕事を辞めるか続けるかの二択ではなく、職場の上司に相談すれば働き方の調整ができ解決するケースもあるでしょう。
不登校の子どもの支援と母親の仕事を両立するには?

お子さまが不登校になると、仕事をしている母親の生活に大きな負担がかかります。お子さまの気持ちに寄り添いながら、仕事との両立を考えなければなりません。
経済的な安定を維持しつつ、お子さまをサポートするためには、働き方の見直しや周囲の協力が不可欠です。ここでは、両立のための具体的な方法をお伝えします。
家族や職場の理解を得る
不登校のお子さまを支えながら仕事を続けるためには、まず家庭内で協力体制を整えることが大切です。お子さまのケアを母親が1人で抱え込まず、家族と協力しながら取り組んでいけば母親の精神的な負担は抑えられます。祖父母が協力できる場合は、見守りや送迎などをお願いするのも1つの方法です。
また、職場の理解を得ることも欠かせません。お子さまの状況を説明し、急な対応が必要になる場合や勤務時間の調整について相談してみましょう。上司や同僚が事情を理解してくれれば、休みが必要なときは協力が得やすくなるかもしれません。
勤務形態を見直す
不登校のお子さまのサポートと仕事の両立を考えたとき、現在の勤務形態が適しているかの見直しも重要です。たとえば、在宅勤務が可能かどうかを相談するのも1つの対策です。
また、勤務時間を柔軟に調整できる制度を活用するのもいいでしょう。育児や介護と同じように、不登校のお子さまの支援のために時短勤務やフレックスタイムが利用できるかもしれません。
制度やサービスを活用する
不登校のお子さまを支えながら仕事を続けるため、公的な支援制度や民間サービスの活用も大切です。地域の行政窓口に問い合わせて、具体的な支援内容を確認しましょう。
また、学習支援サービスを利用するのも1つの方法です。フリースクールやオンライン学習塾を活用すれば、お子さまは学校へ行けなくても学習を続けられます。ただし、これらの支援を利用する場合はお子さまの意欲がなければ状況が悪化する場合もあります。
子どもが不登校でも母親は仕事を続けた方がいい理由とは?

お子さまが不登校になると、母親として「仕事を続けるべきか、それとも辞めるべきか」と悩んでしまいますよね。お子さまのそばにいる時間を増やしたいと思う一方で、経済的な問題や将来の不安を考えると、仕事を手放す決断は簡単ではありません。
しかし、長期的な視点で考えると、母親の仕事の継続には多くのメリットがあります。ここでは、その理由を詳しく説明します。
母親の精神的安定のため
お子さまの不登校が続くと、母親は「どうして登校できないの?」「このままでいいのだろうか…」と考え込んでしまい、気持ちが不安定になりがちです。
しかし、仕事中は不登校に関する悩みに意識を向ける時間は減少します。仕事自体が気分転換になりストレスが和らぐケースもあるでしょう。
母親が精神的に安定していると、お子さまに対してイライラしたりきつく接したりもしません。母親の心に余裕があれば、お子さまの心も安定します。
社会とのつながりが重要なため
仕事を辞めて家庭にこもると、人と関わる機会が減り悩みを1人で抱え込んでしまいます。不登校の子どもを持つ母親にとって、職場での会話が気分転換になる場合もあるでしょう。
また、仕事を通じてさまざまな人と接するなかで、同じように子育てをしながら働く方から子どもへの接し方のヒントを得られるかもしれません。
母親が社会とつながりを持ち続けることは、お子さまが再び外の世界に出る際の良い手本にもなります。母親が楽しそうに仕事をしている姿を見れば、お子さまは「外の世界も悪くない」と感じる可能性もあるのではないでしょうか。
経済的な安定のため
お子さまの不登校が続くと、経済的な面でもさまざまな負担が生じます。たとえば、フリースクールや家庭教師を利用する場合は費用がかかります。仕事を続けていれば、これらの費用は確保できるでしょう。
経済的に安定していると、母親の心の余裕にもつながります。お金の不安があると、どんなにお子さまのためを思っていても、気持ちにゆとりを持つのが難しくなるでしょう。
不登校の子どもの母親が仕事を見直すべきケースとは?

お子さまが不登校になっても、母親として仕事を続けることには多くのメリットがあります。しかし、状況によっては働き方を見直す必要もあるでしょう。
無理し続けると、お子さまの状態は悪化し母親の心身にも大きな負担がかかります。ここでは、仕事を見直すべきケースについて説明します。
子どもの状態が深刻な場合
不登校は、お子さまによってその背景や状況はさまざまです。比較的安定していて、家庭で穏やかに過ごせている場合は、仕事を続けながら様子を見守るといいでしょう。
しかし、以下のような状態が続いている場合は、母親の働き方を見直す必要があります。
- お子さまが強い不安や抑うつ状態にある
- 家庭内で暴力的な行動が見られる
- 自傷行為などがある
このような場合、お子さまの心のケアを最優先に考える必要があります。場合によっては、医療機関や専門機関と連携し、適切な支援を受けるよう検討してください。
母親の心身の健康を損なっている場合
お子さまの不登校の問題は、母親にとって大きな負担であるのはいうまでもありません。精神的なプレッシャーに加え、仕事との両立による疲労が積み重なれば、心身の健康に悪影響を及ぼす場合があります。
次のような状態が続いている場合は、仕事の継続を検討すべきかもしれません。
- 慢性的な疲労感が抜けず、体調が優れない
- 不安やストレスが強く、夜眠れない
- 食欲が低下したり、逆に過食気味になったりする
- 気持ちが落ち込み、涙が出る
母親自身の健康が損なわれると、お子さまの不登校に対して冷静に向き合うのは困難です。
サポートが得られない場合
不登校のお子さまを支えながら仕事を続けるには、家庭内外でのサポートが欠かせません。家族の協力が得られたり、学校や支援機関が積極的に関わってくれたりする場合は、仕事を続けやすくなるでしょう。
しかし、十分なサポートが得られない状況では、母親がすべてを抱え込まなければなりません。
- 夫と育児や家事を分担できない
- 祖父母のサポートを受けられない
- 行政の支援制度を利用しにくい環境にある
このような状況では、母親は仕事と家庭の両立に限界を感じてしまいます。サポート体制が整うまでは、仕事をセーブするなど働き方を見直す必要があるかもしれません。
母親が仕事を辞めると不登校の子どもはどう感じる?

お子さまが不登校になると、確かにお子さまに寄り添う時間は重要です。しかし、母親が仕事を辞める選択が必ずしもプラスに働くとは限りません。
ここでは、母親が仕事を辞めたときにお子さまがどのように感じているか考えてみます。
自責の念が強くなる
母親が仕事を辞めると、お子さまは「自分のせいで辞めさせてしまった」と感じる場合があります。特に、もともと責任感の強いお子さまや、周囲に気を遣うお子さまほど、その思いを抱えやすいかもしれません。
「自分のせいで仕事が続けられない」と感じてしまうと、自己肯定感が低下し、さらに不登校の状況が長引いてしまう場合もあるでしょう。また、罪悪感を抱くあまり本音がいえず「学校に行かなきゃいけない」と無理して登校するケースもあります。
母親が仕事を辞める場合は「あなたのために辞めた」と伝えるのではなく、お子さまが必要以上に責任を感じないよう伝え方の工夫が必要です。
母親との関係性の変化
仕事を辞めると、母親とお子さまの関係性が変わるケースもあります。これまで仕事と家庭のバランスが取れていた場合、突然母親がずっと家にいる状況だとお子さまがプレッシャーを感じてしまうでしょう。
さらに、母親が「子どものために何かしなければ」と過干渉になってしまうと思春期のお子さまはストレスを感じてしまいます。逆に、母親に精神的な余裕が生まれ、お子さまと穏やかに接することができるようになるケースもあるでしょう。
大切なのは、母親が「子どもを何とかしなければ」と過度なプレッシャーを感じず、お子さまと適度な距離を保ちながら関わることです。
子どもの本音
お子さまが母親の仕事についてどのように感じているかは、一人ひとり異なります。しかし「母親に仕事を続けてほしい」と考えるお子さまも多いかもしれません。
その理由としては、以下があげられます。
- 罪悪感を持ちたくない
- 母親に楽しんでほしい
- 母親が家にいると空気が重くなる
もちろん、もっとそばにいてほしいと思うお子さまもいるでしょう。仕事を辞めるかどうかを決める前に、お子さまとよく話し合い本当の気持ちを聞くことが大切です。
母親のワークライフバランスを確立するには?

不登校のお子さまを支えながら仕事を続ける母親にとって、ワークライフバランスの維持は大きな課題です。お子さまのサポートを優先するあまり、自分の時間がなくなり、心身ともに疲れてしまう場合も。
ここでは、母親がワークライフバランスを確立するための方法を紹介します。
自分の時間を確保する
仕事と子育てを両立するためには、毎日の過ごし方に工夫が必要です。そのうえで、自分の時間を確保するのは簡単ではありません。しかし、短い時間でも意識的に確保すれば心に余裕が生まれるでしょう。
たとえば、家事の合間にお茶を飲んだり、本を読んだりするだけでも気持ちがリフレッシュされます。また、短時間のウォーキングなども効果的です。
家事や仕事を完璧にこなそうとすると、どんどん自分の時間が削られてストレスが溜まる一方です。優先順位をつけ、できる範囲での取り組みを意識するといいでしょう。
家族や周囲のサポートを活用する
母親が1人ですべてを抱え込むのではなく、家族や周囲のサポートを上手に活用してワークライフバランスを保ちましょう。
同居する家族との役割分担を明確にするのも大切です。祖父母が近くに住んでいたり同居したりしている場合は、協力を得られるかお願いしてみましょう。漠然と伝えるのではなく「朝の送りはお願いしたい」といった具体的なお願いをすると、協力が得やすいかもしれません。
どうしても仕事を優先させなければならない場合は、家事の効率化が必要です。日々の食事をまとめて作り置きしたり、家事代行サービスを利用したりすれば家事にかかる時間は減らせます。
また、お子さまの様子が気になる場合は、在宅勤務にしたりフレックスタイム制度を利用したりすればお子さまと過ごす時間を確保できるでしょう。午前中にお子さまのケアをして、午後から仕事に集中する働き方も考えられます。たとえ短い時間でも、お子さまとの会話を楽しんでお子さまの心を満たせるよう意識して過ごすことは大切です。
最後に | 不登校の悩みを抱え込まないために専門家のサポートを活用しよう

不登校のお子さまを支えながら仕事を続けることに、不安や迷いを感じている母親は少なくありません。「お子さまのために何が最善か」を考えるあまり、1人で悩みを抱え込んでしまうときもあるでしょう。お子さまの不登校は、母親の精神面にも大きな影響を与えることがあります。
不登校の問題は、家庭だけで解決するのが難しいケースが多いでしょう。なぜなら、不登校の背景や理由はさまざまで、お子さま自身も自分の気持ちを整理できずにいるからです。母親がどんなにお子さまを支えたいと思っていても、適切な接し方がわからずかえってプレッシャーを与えてしまうケースも。
「不登校こころの相談室」では、不登校に関する専門知識を持つカウンセラーが、ご家庭の状況に合わせたサポートを提供しています。お子さまへの具体的な接し方や、不登校に対する考え方のヒントが得られ、母親の気持ちが整理されていきます。
カウンセリングを通じて、母親が少しでも前向きな気持ちを持てるようになれば、その安心感はお子さまにも伝わり、家庭の雰囲気が良い方向に変わるきっかけになるでしょう。母親が安定した気持ちで過ごせるようになれば、お子さまの回復にも良い影響を与えます。
カウンセラーに「こんな悩みを話してもいいのだろうか?」と迷う必要はありません。親子関係や仕事との両立など、どんな小さな悩みでもカウンセラーは丁寧に耳を傾けて対応します。カウンセリングの内容が外部に漏れることはありません。どうぞ、安心して相談してください。
不登校のお子さまへの対応だけでなく、仕事との両立に悩む母親の心の健康を守るためにも、ぜひ「不登校こころの相談室」を活用して、安心できる環境を整えてみてはいかがでしょうか。