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不登校を解決するには

不登校の回復期とは?親にできる対応や登校刺激の注意点を解説します

不登校にはいくつかの段階があり、その中で最も登校再開に近づいているとされるのが、「回復期」です。

保護者様や周囲の大人は、不登校の段階に合ったサポートをすることで、お子さまの自立や社会復帰を後押しすることができます。

しかし、元気に見えるからといって無理なサポートや登校刺激を行うと、逆効果になることもあります。

不登校の回復期とは、具体的にどのような状態を指し、どのような対応をとるのがよいのでしょうか。

本記事では、不登校の回復期について詳しく解説します。

適切な対応や注意点、登校刺激についても紹介するため、ぜひ参考にしてくださいね。

不登校の回復期とは?

不登校の回復期とは?

不登校には、大きく分けて次の3つの段階があると言われています。

  1. 初期:不登校開始期
  2. 中期:引きこもり期
  3. 後期:回復期

この中で、不登校の回復期とは、お子さまが学校に行きたくない気持ちから抜け出し、再び学校生活や社会生活に戻るための準備期間を指します。

この時期は、お子さまの心身の状態が徐々に改善し、意欲や自信を取り戻していく段階です。

不登校の回復期は、お子さまにとって非常に重要な時期です。

この時期に適切なサポートを受けることで、お子さまは自信を取り戻し、再び学校生活や社会生活に戻ることができます。

しかし、不登校の回復期は決して順調に進むとは限りません。

ときには停滞したり、前の状態に戻ったりすることもあります。

保護者様は、お子さまが再登校に近づいているからといって焦らず、お子さまのペースに合わせて温かくサポートしていくことが大切です。

不登校の回復期に見られるサイン

不登校の回復期に見られるサイン

では、不登校の回復期であるお子さまはどのような状態なのでしょうか。

不登校の回復期には、いくつかのサインが見られることがあります。

このサインを把握しておけば、現在のお子さまが回復期にあることが理解でき、より適切な対応をとることができるかもしれません。

ここでは、不登校の回復期に見られる、次の5つのサインについて紹介します。

  • 生活リズムが安定する
  • 心身の調子が安定する
  • 意欲が芽生える
  • 他者とかかわる
  • 学校に興味を示す

生活リズムが安定する

不登校の回復期のサインとして、お子さまの生活リズムが安定してくることが挙げられます。

生活リズムが整うことは心身の安定につながるものであり、学校復帰や社会復帰に近づくことができます。

規則正しい生活は、体調を整え、気持ちにも前向きな変化をもたらすものです。

たとえば、それまで昼夜逆転していたお子さまが、朝決まった時間に起きられるようになったり、夜の就寝時間が一定になったりすることがあります。

また、食事の時間が整い、朝昼晩しっかりと食事をとれるようになることもポイントです。

生活リズムの安定は、不登校からの回復に向けた大きな一歩です。

無理に矯正するのではなく、自然と整っていくような環境づくりが大切です。

心身の調子が安定する

お子さまの心と体の状態が落ち着いてくることも、回復期の重要なサインです。

不登校の期間はストレスや不安から体調を崩しやすくなりますが、回復期に入るとそれらの症状が軽減し、元気な日が増えてきます。

たとえば、「頭痛や腹痛を訴える回数が減った」「気持ちが落ち込むことが少なくなった」「少しずつ外出する機会が増えた」といった変化が見られるでしょう。

さらに、表情が明るくなったり、会話が増えたりすることもあります。

心身の安定は、社会復帰する上で欠かすことができません。

お子さまのペースを大切にしながら、リラックスできる環境を整えていきましょう。

意欲が芽生える

不登校の回復期には、お子さまの中に何かに挑戦しようとする意欲が芽生えやすくなります。

意欲が生まれるのは、心のエネルギーが回復してきた証拠です。

不登校中は無気力になりがちですが、興味を持ち始めることで、活動の幅が広がっていきます。

具体的には、趣味に時間をかけるようになったり、勉強を少しずつやるようになったりといった行動が増えてきます。

また、「将来○○をやってみたい」といった話をすることもあるでしょう。

不登校期間中であっても、お子さまが関心を示すことであれば積極的に取り組んでみましょう。

保護者様はお子さまの意欲の芽生えを大切にし、興味を持ったことに対して前向きに取り組めるよう、そっと支えていくことが大切です。

他者とかかわる

不登校の回復期に入ると、お子さまの方から積極的に他者と関わる機会を増やそうとすることがあります。

それまでは家庭で引きこもるように生活していたお子さまが、徐々に外の世界に関心を示すようになれば、回復のサインといえます。

社会とのつながりを求めるようになるのは、心の安定と自己肯定感の回復を示すものです。

回復するにつれて家族との会話が増えたり、外出して買い物をしたりすることに意欲的になるでしょう。

最初は家族との関わりの増加から始まり、徐々に家族以外の人とも関わるようになっていきます。

保護者様は、無理に社交的になることを求めるのではなく、お子さまのペースに合わせて見守りながら、少しずつ関係を築いていけるようにサポートすることが大切です。

学校に興味を示す

不登校の回復期には、学校に関する話題に関心を持ち始めることがあります。

これまで引きこもりがちだったお子さまに、学校に対して前向きな気持ちが芽生えることは、社会復帰への意欲が出てきたサインです。

たとえば、友達の話題に反応するようになったり、授業の内容に興味を持ったりするといった変化が見られることがあります。

ただし、このように登校再開の兆しが見えたからと言って、周囲が焦りすぎるのは禁物です。

学校に対する興味が出てきた際は、プレッシャーを与えず、自然な形で話を聞いてあげることが大切です。

「学校に戻ることが良いこと」という考えを押し付けるのではなく、お子さまの気持ちに寄り添う姿勢を持ちましょう。

回復期に親ができる声かけやサポート

回復期に親ができる声かけやサポート

不登校の回復期は、登校再開や社会復帰に向けた重要な時期です。

復帰への準備段階と捉えることもできるでしょう。

保護者様にはこの時期に合った声かけやサポートが求められますが、サポートする側が無理をしないことも大切です。

ここでは、保護者様に取り組んでいただきたい声かけやサポートを取り上げ、紹介します。

  • 安心できる環境を用意する
  • 生活リズムが整うようサポートする
  • 学習環境を整える
  • 学校と連携する
  • 進路や過ごし方の選択肢を用意する
  • 登校刺激を行う
  • 親も息抜きをする

保護者様には回復期に合った声かけやサポートが求められますが、それらが保護者様の負担となりすぎないよう、バランスを見極めることが大切です。

安心できる環境を用意する

お子さまが安心して過ごせる環境を整えることは、不登校の回復期を過ごす上で非常に重要です。

不安やストレスを感じる環境では、お子さまが安心して回復に向かうことが難しくなります。

不登校中は、安心できる環境が整うことで、自己肯定感を取り戻しやすくなるのです。

安心できる環境とは、「部屋の環境が整っていること」もそうですが、それ以外にも「お子さまの気持ちに寄り添い、否定しない」「焦らせずに温かく見守る」「家庭内で穏やかな会話を増やす」といったことも含まれます。

不登校中は、お子さまがに安心できる環境があってこそ、回復に向けての大きな一歩を踏み出すことができます。

生活リズムが整うようサポートする

規則正しい生活は、お子さまの心身の安定に不可欠です。

不登校が長期化すると、生活リズムが乱れやすくなります。

また、日中に疲れるような活動をしないことによって夜眠くなりにくく、昼夜逆転生活になるお子さまもいます。

近年では、SNSの発達によるスマートフォンの長時間利用やゲームなどへの依存も、お子さまの就寝時間を遅らせる要因となっています。

一度昼夜逆転してしまうと、元の生活に戻すのが難しくなるため、注意が必要です。

生活リズムの乱れは心身のバランスが崩れることにもつながり、不登校からの回復を遅らせる原因になります。

保護者様は、不登校中のお子さまの生活リズムが整うよう、サポートできるとよいでしょう。

具体的には、起床・就寝時間を一定に保ち、質の高い睡眠がとれるようサポートしましょう。

寝る前にリラックスできる環境を整えたり、軽い運動を取り入れるのも効果的です。

また、バランスの取れた食事を家族みんなで楽しく食べることも大切です。

食事の時間を通して、お子さまとコミュニケーションを取れるとよいですね。

生活リズムを整えることは、お子さまの心身の安定につながり、不登校からのスムーズな回復を促すことができます。

学習環境を整える

学習に対するハードルを低くすることで、学ぶ意欲を取り戻すことができるかもしれません。

比較的物事に意欲的な回復期だからこそ、学習に関心が向くような環境を準備できるとよいでしょう。

たとえ不登校中であっても、学ぶ機会を得ることで自己肯定感を高めることができます。

不登校になった最初のきっかけは、いじめなどトラブルであったとしても、不登校が長期化するにつれて、別の理由で登校を渋ることは珍しくありません。

実際、不登校経験のあるお子さまを対象とした調査によると、「最初のきっかけとは別の学校に行きづらくなる理由」の上位は、「勉強が分からない」となっています。

(参考:文部科学省 「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書」

たとえば、家庭で簡単な学習サポートをする、好きな分野の勉強から始めるなど、少しずつ学習に触れられるとよいでしょう。

はじめから頑張りすぎると、疲れてしまったり苦手意識を持ってしまうことにつながるため、注意が必要です。

不登校中は、お子さまの興味やペースに合わせて、学習の機会を提供することが大切です。

学校と連携する

不登校中は、学校との連携を維持することが重要です。

回復期においても同様で、学校との連携を強化することが、お子さまのスムーズな復帰につながるでしょう。

不登校中であっても、日頃から学校と密に連携をとることで、復帰のタイミングや学習の進め方を適切に調整できます。

また、お子さまが不登校になると社会との関わりがなくなり、孤立感が高まるため、学校との関係を保ち続けることが大切です。

お子さまにとっても、保護者様にとっても、社会とつながることができているという安心感が、心の健康を支えるものとなります。

可能であれば保護者様が、担任の先生と定期的に話し合ったりスクールカウンセラーや支援員に相談したりできるとよいでしょう。

連携することで、多方面からのサポートを受けながら、段階的な登校計画を立てることができます。

不登校の回復期は、お子さまの気持ちを尊重しながら、学校と協力して無理のない登校計画を進めることが重要です。

進路や過ごし方の選択肢を用意する

進学や将来の選択肢を増やすことで、不登校中のお子さまの不安を軽減できます。

不登校中のお子さまは、多かれ少なかれ、自分の将来に不安を抱えているものです。

将来への不安が大きいと、プレッシャーや焦りから回復が遅れる可能性があります。

保護者様が将来や進路への選択肢を示すことで、お子さまの前向きな気持ちを育むことができるでしょう。

進路に関しては全日制の学校にこだわるのではなく、通信制高校やフリースクールを検討したりするのも、選択肢の一つです。

また、不登校中であっても意欲的に取り組めることがあるのであれば、積極的に挑戦するのがおすすめです。

「学校に行っていないのに…」と負い目を感じる必要はありません。

習い事やアルバイトなど、できることに挑戦して周囲との関わりを持つことが、結果として心身の回復につながることもあります。

不登校中は、好きなことを活かせる道を、保護者様と一緒に考えることができるとよいですね。

一つの道に固執せず、お子さまに合った進路や生活スタイルを一緒に見つけていくことが大切です。

登校刺激を行う

お子さまの状況を見ながら、少しずつ学校への関心を高める工夫をしていきましょう。

不登校中のお子さまに、登校を促すようなアクションをとることを「登校刺激」と言います。

登校刺激とは、お子さまが登校したくなるような、直接的な声かけをすることだけではありません。

保護者様が学校とのつながりを保ち続けること、登校に向けて生活リズムを整えることなど、再登校に関わる事柄全般を指します。

登校刺激は、お子さまが少しずつ再登校に向かう上で大切なステップです。

無理に学校へ行かせるのではなく、少しずつ興味を持たせることが、スムーズな復帰につながります。

しかし、無理な登校刺激は禁物です。

保護者様が露骨に登校を強要したり、「他の子は行けているよ」といったように、周囲と比べることは逆効果となります。

不登校の回復期は、お子さまの心身が回復しているだけに、再登校が目前のように感じられて保護者様も焦ってしまいがちです。

しかしながら、保護者様の焦りはお子さまのプレッシャーとなります。

何よりも、お子さまの気持ちを最優先に考えることが大切です。

お子さまのペースに合わせ、少しずつ登校への意識を高めるような関わり方をすることが大切です。

親も息抜きをする

お子さまの不登校中は、保護者様も息抜きをしたりリラックスできるよう環境を整えることで、お子さまの回復をより良くサポートできるでしょう。

お子さまの不登校は、保護者様にとってもストレスや負担となるものです。

先行きの見えない不安はもちろん、衣食住にまつわるサポートも増えるため、気づかないうちに疲労が溜まってしまうことでしょう。

しかし、保護者様が過度なストレスを抱えると、お子さまにもその緊張が伝わってしまいます。

保護者様も、趣味の時間を持ったり、信頼できる人に悩みを相談したりすることを意識してみてくださいね。

「なかなか身近な人には話しにくい…」と感じるときは、「不登校こころの相談室」にご相談ください。

保護者様自身の心の余裕が、お子さまの回復を温かく見守る力になります。

下の記事では、不登校のお子さまを持つお子さまの心理状態や対処法について詳しく解説しています。

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不登校の回復期にまつわるよくある疑問

不登校の回復期にまつわるよくある疑問

不登校の回復期にあるお子さまをサポートする上で、悩みや不安はつきものです。

ここでは、不登校の回復期にまつわる次の疑問について、解説・回答します。

  • 不登校から回復するにはどれくらい時間がかかる?
  • 不登校の回復期から逆戻りすることはある?

不登校から回復するにはどれくらい時間がかかる?

不登校からの回復には個人差があり、かかる時間や期間は一概には言えません。

数か月で学校に戻るお子さまもいれば、数年かけてゆっくり回復するお子さまもいます。

不登校は、お子さまの状況や環境、心の状態によって回復のスピードが異なるものです。

そして、長い目で見ると、回復が早いことが必ずしも良いこととは言えないケースもあるものです。

たとえば、短期間で回復するお子さまは、元々学校への抵抗感が少なく、一時的なストレスで不登校になったケースが目立ちます。

一方で、不登校が長期間に及ぶ場合、その根底にはお子さま本人の気質的な問題や家庭の問題、学校で発生した複雑なトラブルなどが潜んでいることがあります。

保護者様は、回復にかかる時間を気にして焦るのではなく、何がお子さまにとって最善かを考えることが大切です。

不登校対応では、一貫してお子さまのペースを尊重しながらサポートを続けられるとよいでしょう。

不登校の回復期から逆戻りすることはある?

不登校の回復期には、お子さまの様子が一時的に回復期以前に逆戻りすることがあります。

回復期にはお子さまの気持ちが揺れ動くことがあり、少しずつ前向きになったかと思えば、再び不安な気持ちが増大し、後戻りすることも珍しくありません。

サポートする保護者様と同じように、お子さまも不登校という現状に悩み、葛藤しているのです。

具体的な逆戻りの様子として、たとえば、登校を再開したものの学校での出来事がきっかけで再び休むようになることがあります。

また、新しい環境やクラスの変化によって、不安が高まり、自宅に安らぎを求めることもあるかもしれません。

しかし、多くの場合、これらは不登校からの回復のために必要な過程であると言えます。

一時的に逆戻りして、悩んだり自分の気持ちを再認識したりしながら、回復へと進んでいくのです。

不登校の回復期において、一時的な後退があっても、すぐに心配しすぎないようにしましょう。

保護者様は、長い目で回復をサポートし、安心できる環境を維持できるとよいですね。

下の記事では、お子さまの不登校についてさらに幅広く取り上げ、解説しています。

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不登校の回復期は、お子さまの心身の状態が安定し、登校再開や社会復帰が目前となる時期です。

お子さまが物事に意欲的であるため、これまでサポートを続けてきた保護者様にとっても少し安心できる時期となるでしょう。

しかし、不登校からの回復は、スムーズに進むことばかりではありません。

一時的に状態が逆戻りしてしまったり、再登校できたかと思いきや再び休んでしまったりすることもあります。

回復期だからと言って、無理な登校刺激を行うと逆効果になることもあるため、注意が必要です。

保護者様には、根気強く温かなサポートが求められます。

しかしそれはときに、保護者様の疲れやストレスとなるものです。

「息抜きをしたいけど、誰に相談すればよいかわからない」

「不登校解決に向けた、具体的なアドバイスがほしい」

このようなときは、ぜひ「不登校こころの相談室」にご相談ください。

「不登校こころの相談室」では、心理学に関する有資格者がお子さまと保護者様に寄り添い、それぞれに合ったゴールを目指します。

自宅にいながら相談できるため、悩んだときはぜひ検討してみてくださいね。

執筆:maple

フリーランスライター。大学院での研究や心理士としての勤務経験、自身の子育て経験をもとに、教育やメンタルヘルスに関する記事を多数執筆。専門分野は、心理療法と精神疾患。最新のデータや論文などの一次情報を正しく取り扱うこと、読者に安心感を届けることをモットーに活動中。

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