子どもから高校をやめたいと言われたときの向き合い方

お子さまから高校をやめたいと言われたとき、保護者様が戸惑いや不安を感じるのは自然なことです。
ここでは、すぐに結論を出す前に意識したい、お子さまとの向き合い方を紹介します。
すぐに否定せず最後まで話を聞く
「高校をやめたい」と言われても、まずは否定せず、お子さまの話を最後まで聞いてみましょう。
保護者様としては将来が心配になり、「せっかく入ったのに」「もう少し頑張れない?」と引き止めそうになってしまうかもしれません。
しかし、お子さまが高校をやめたいと口にするまでに、一人で悩み続けていた可能性もあります。
最初から反対すると、その後は本音を話しにくくなり、悩みを抱え込んでしまうことも考えられます。
すぐに賛成する必要はありませんが、まずは「そう思うほどつらかったんだね」と気持ちを受け止め、安心して話せる状況をつくることが大切です。
やめたい理由を一緒に整理する
高校をやめたい理由は、お子さまによって異なります。
人間関係や勉強への悩み、学校の雰囲気が合わないこと、別の進路への興味など、複数の理由が重なっている場合もあるでしょう。
本人も「とにかく高校をやめたい」という気持ちが強く、何が一番つらいのか整理できていないことがあります。
そのため、「何が嫌なの?」「本当にやめたいの?」と問い詰めるより、少しずつ話を聞きながら理由を一緒に整理していくことが大切です。
やめたい理由が見えてくると、高校をやめる以外の方法も含めて、今後の選択肢を考えやすくなります。
心身の状態や学校での様子を確認する
高校をやめたいという思いの背景に、強いストレスや心身の不調が隠れていないかにも目を向けましょう。
朝になると体調が悪くなる、眠れない、食欲が落ちている、学校の話をすると表情が曇るといった変化がみられる場合は、無理を重ねている可能性があります。
また、欠席や遅刻が増えている場合は、学校での人間関係や学習面で困っていることがないか確認してみることも必要です。
高校を続けるかどうかを急いで決めるよりも、まずはお子さまがどのような状態にあるのかを把握することが、その後の進路を考える土台になります。
子どもが高校をやめたいと感じる主な理由

高校をやめたいと思う背景には、学校生活や学習、心身の状態など、さまざまな要因があります。
ここでは、お子さまが高校をやめたいと考える主な理由を紹介します。
学校生活や人間関係がつらい
友人関係やクラスの雰囲気になじめない状態が続くと、高校へ通うこと自体がつらくなる場合があります。
いじめや孤立といった明確な問題だけでなく、周囲に気を遣い続けることや、集団生活への負担が積み重なっているケースもあるでしょう。
高校生になると、保護者様に学校での出来事を細かく話さなくなることもあります。
そのため、表面上は大きなトラブルがないように見えても、お子さま自身は強いストレスを抱えている可能性があります。
勉強についていけない・学校が合わない
授業についていけないことや、入学後に学校の雰囲気が合わないと感じることも、高校をやめたい理由の一つです。
特に進学校では、周囲との成績差や課題の多さから自信を失い、通学そのものが負担になるケースもみられます。
また、希望していた高校に入学した場合でも、実際に通い始めてから「思っていた学校生活と違った」と感じることは少なくありません。
学習面だけでなく、校風や通学環境との相性が負担につながることもあります。
心身の不調で通学が難しい
体調不良や気分の落ち込み、不安の強さによって、高校へ通い続けることが難しくなるケースもみられます。
朝起きられない、頭痛や腹痛が続く、学校のことを考えると強い不安を感じる状態では、本人の意思だけで通学を続けるのが難しいこともあるでしょう。
「高校をやめたい」という言葉の背景に、心身の負担が限界に近づいている可能性も考えられます。
本人の様子に異変を感じるときは、進路だけでなく体調や気持ちの変化にも目を向けることが大切です。
別の進路ややりたいことが見つかった
高校生活がつらいからではなく、別の進路ややりたいことが見つかり、高校をやめたいと考える場合もあります。
専門分野を学びたい、働きたい、別の学校へ移りたいなど、今の高校以外に目標ができるケースです。
この場合は、「高校をやめたい」という言葉だけで判断せず、その後にどのような進路を考えているのかまで確認する必要があります。
やめること自体が目的なのか、次に進みたい道があるのかによって、保護者様が一緒に考える内容も異なります。
高校をやめるとどうなる?

お子さまが高校をやめたいと言ったとき、保護者様が特に心配するのがやめた後の進学や就職ではないでしょうか。
ここでは、高校をやめた場合に考えられる主な影響を整理します。
高卒資格を得られない
高校を卒業する前にやめると、高卒資格は得られません。
高卒認定試験に合格した場合も、高校を卒業したことにはならないため、最終学歴が「高校卒業」になるわけではありません。
高校をやめた後にほかの学校を卒業していない場合、最終学歴は「中学校卒業」となります。
ただし、高卒認定試験に合格すると、高校卒業者と同等以上の学力があると認められ、大学・短期大学・専門学校の受験資格を得られます。
高卒資格と高卒認定の違いを理解したうえで、お子さまに合った進路を考えることが重要です。
進学の選択肢が変わる
高校をやめても、大学や専門学校への進学を必ず諦めなければならないわけではありません。
高卒認定試験に合格すれば、大学・短期大学・専門学校の受験資格を得られます。
また、別の高校へ転入・編入して卒業を目指す方法もあります。
今の高校をやめることと、その後の学びをやめることは同じではありません。
進学を希望している場合は、高校をやめる前に利用できる制度や次の学校への移り方を確認しておくと、選択肢を残しやすくなります
就職の選択肢が狭まる可能性がある
高校をやめると、就職先の選択肢が狭まる可能性があります。
求人によっては「高卒以上」を応募条件としているため、高卒資格がないことで希望する仕事に応募できないケースもあるためです。
一方で、高校をやめた後に働くこと自体ができなくなるわけではありません。
就職を希望する場合は、仕事内容や応募条件を確認しながら、必要に応じて高卒認定の取得や資格の勉強も含めて今後を考えていくことになります。
高校をやめた後に考えられる進路

高校をやめた場合でも、その後の進路が断たれるわけではありません。
ここでは、別の高校への転入・編入や高卒認定試験、高等専修学校、就職といった主な選択肢を紹介します。
別の高校へ転入・編入する
今の高校を離れても、別の高校で学び直し、卒業を目指すことができます。
一般的に、現在の高校から在籍を切らさず別の高校へ移る場合は「転入」、いったん退学した後に別の高校へ入り直す場合は「編入」と呼ばれます。
- 通信制高校
- 定時制高校
- 別の全日制高校
通信制高校は自宅学習を中心に進める学校が多く、毎日通学することに負担を感じているお子さまにも選択肢の一つとなります。
定時制や別の全日制高校も含め、通学頻度や学習方法、これまでに取得した単位を引き継げるかを確認しながら検討しましょう。
高校によって転入・編入を受け入れる時期や条件は異なるため、高校をやめると決める前に候補となる学校へ確認しておくと安心です。
高卒認定試験を受ける
高校へ通わず、高卒認定試験の合格を目指す方法もあります。
高卒認定試験は、高校を卒業していない方の学習成果を評価し、高校卒業者と同等以上の学力があるかを認定する試験です。
合格すると大学・短期大学・専門学校の受験資格を得られるほか、就職や資格試験で活用できる場合もあります。
ただし、高卒認定は高卒資格そのものではありません。
進学を希望する場合は、その後の受験や学習まで含めて計画を立てる必要があります。
参考:文部科学省「令和8年度 高等学校卒業程度認定試験パンフレット【一般用】」
高等専修学校へ進む
専門的な知識や技能を身につけたい場合は、高等専修学校へ進む方法もあります。
高等専修学校は、中学校卒業者を対象とした専修学校の高等課程で、高校と並ぶ後期中等教育機関です。
学校によって学べる内容は異なりますが、職業に役立つ知識や技能、資格取得を目指せる点が特徴です。
高校とは異なる学校種のため、興味のある分野や卒業後の進路を確認したうえで、お子さまに合う学校を探してみましょう。
就職する
高校をやめた後、就職する道もあります。
ただし、求人によっては「高卒以上」が応募条件となっていることが多いため、中学校卒業が最終学歴の場合は仕事の選択肢が限られる可能性があります。
すぐに働くことだけを考えるのではなく、本人が希望する仕事や将来必要になりそうな資格についても確認しておくとよいでしょう。
就職、高卒認定の取得、その後の進学などを組み合わせることもできるため、将来を見据えて親子で進路を検討することが大切です。
高校をやめるか迷ったときに親子で考えたいこと

高校をやめるかどうかは、お子さまの人生にとって大きな決断となるものです。
ここでは、結論を急ぐ前に親子で確認しておきたいポイントを解説します。
「続ける・やめる」の二択で考えない
高校をやめたいと言われると、「今の高校を続けるか、やめるか」の二択で考えてしまいがちです。
しかし、実際には休学や転校、通信制高校への転入など、今の環境からいったん離れながら学びを続ける方法もあります。
今の高校に通い続けることが難しいからといって、学ぶこと自体を諦める必要はありません。
お子さまの負担や希望に合う方法がないか、選択肢を広げて考えてみましょう。
子どもが今後どうしたいのかを確認する
高校をやめたい理由とあわせて、その後にどう過ごしたいのかも確認してみましょう。
別の学校へ移りたい、しばらく休みたい、働きたいなど、お子さまによって考えていることは異なります。
一方で、「今の高校には通えないけれど、その後のことまでは考えられない」という状態もあるでしょう。
無理に将来の目標を決めさせず、現時点で考えられることから少しずつ整理していくことが大切です。
高校をやめた後の進路まで具体的に話し合う
高校をやめる方向で考える場合は、やめた後の生活や進路についても具体的に話し合っておきましょう。
「やめたら何とかなる」と曖昧なまま決めるより、転入・編入や高卒認定、就職といった選択肢を比較しておくと、その後の見通しを持ちやすくなります。
保護者様が心配していることも一方的に押しつけるのではなく、「将来こういう点が気になっている」と伝えながら、親子で一緒に考えていくことが重要です。
結論を急がず必要な情報を集める
高校をやめるか迷っているときは、すぐに結論を出すのではなく、必要な情報を集めたうえで考えることが大切です。
転入・編入の条件や時期、高卒認定試験の仕組みを知ることで、これまで見えていなかった選択肢が見つかることもあります。
一方で、欠席が続くと単位の認定や進級、卒業に影響する可能性があるため、長期間そのままにしておくのは避けたいところです。
学校にも現在の出席状況や単位取得への影響を確認しながら、焦らずも先延ばしにしすぎず、今後の進路を考えていきましょう。
高校をやめると決めたときの手続き

高校をやめると決めた場合は、在籍している学校に退学の意思を伝え、必要な手続きを進めます。
一般的な流れは、次のとおりです。
- 担任や進路指導の先生に相談する
- 退学に必要な書類や手続き方法を確認する
- 退学願などの必要書類を提出する
- 奨学金や就学支援金などの手続きを確認する
ただし、別の高校への転入・編入を考えている場合は、退学手続きを先に進める前に、次の学校の受け入れ条件や必要書類を確認しておくことが大切です。
学校によって手続きの流れは異なるため、まずは在籍校に確認しながら進めてみましょう。
親子だけで決めることが難しいときの相談先

高校をやめるかどうかは、親子だけで話し合っても結論が出ないことがあります。
ここでは、お子さまの気持ちや今後の進路を整理したいときに利用できる相談先を紹介します。
学校の先生やスクールカウンセラー
学校内の状況を踏まえて相談したい場合は、担任や進路指導の先生、スクールカウンセラーを頼る方法があります。
出席状況や単位取得、転入・編入について、在籍校だからこそ確認できる情報を得られる点がメリットです。
ただし、学校そのものに強い負担を感じている場合は、本人の気持ちを確認しながら相談相手を選びましょう。
公的な教育相談窓口
学校とは別の立場から相談したい場合は、自治体が設置する教育相談窓口を利用できます。
具体的には、教育センターや教育支援センターなどがあり、不登校や学校生活、進路について相談できます。
教育センターは、子どもの学習や学校生活に関する相談を幅広く受け付ける機関です。
一方、教育支援センターは、不登校の子どもを対象に、相談に加えて学習支援や居場所の提供を行っている場合があります。
支援内容や利用条件は地域によって異なるため、自治体のホームページなどで確認してみましょう。
不登校のカウンセリング
高校をやめたい背景に不登校や強いストレスがある場合は、不登校に対応したカウンセリングを受けることも選択肢の一つです。
進路だけでなく、お子さまが何につらさを感じているのか、家庭でどのように関わればよいのかを整理できます。
また、保護者様自身が「やめてほしくない」「無理をさせたくない」と葛藤している場合、その気持ちを第三者に話すことで悩みを整理しやすくなることもあります。
お子さま本人が相談を望まない場合でも、保護者様だけで利用できるサービスであれば相談しやすいでしょう。
高校をやめたい子どもへの向き合い方に悩んだら不登校こころの相談室へ

お子さまから「高校をやめたい」と言われたときは、理由や気持ちを受け止めながら、今後の進路を一緒に考えることが大切です。
高校をやめると進学や就職に影響することもありますが、転入・編入や高卒認定など、別の道を選ぶこともできます。
不登校こころの相談室では、公認心理師・臨床心理士がオンラインで相談に対応しています。
再登校だけをゴールにせず、お子さまの気持ちを大切にしながら、「やめさせたくない」「無理をさせたくない」と揺れる保護者様の悩みも一緒に整理できます。
お子さま本人が相談を望まない場合は、保護者様だけでも相談してみましょう。


















