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中学生が学校に行きたくない主な理由

中学生になると、心も身体も大きく変化する時期を迎えます。これまで問題なく学校に通っていても、ある日突然「学校に行きたくない」と感じるようになる場合があります。
その背景には、小学生の頃とは異なる、より複雑な悩みや葛藤が隠れているケースが多いもの。たとえば、人間関係の悩み、自分自身への不安、勉強のプレッシャーなど、中学生ならではの揺れ動く気持ちが、学校に足を向けづらくさせている可能性があります。
ここでは、どんな理由が「行きたくない気持ち」につながるのか、よくある理由を整理していきます。
人間関係の悩み
中学生が学校に行きたくない理由として多くあげられるのが、人間関係の悩みではないでしょうか。中学生になると、友達との関係はぐっと複雑になりちょっとした言葉や態度にも敏感になります。
昨日までは普通に話していたのに、急によそよそしくされたり、仲のいい子が別のグループと仲良くなったり、自分だけ置いていかれたように感じることも。
特に女子の場合は「空気を読む」や「仲間はずれにされないようにする」が大きなストレスになるケースもあります。「言いたいことが言えない」「本当の自分を出せない」といった状況が続くと、学校そのものに居心地の悪さを感じてしまうでしょう。
SNSの普及により、いじめの形態が複雑化していることも考えられます。LINEグループから外される、既読スルーされるといったデジタル上のいじめや無視は、学校にいる時間だけでなく、家にいても心を締め付けます。
人間関係のトラブルからいじめに発展している可能性が考えられる場合は、こちらの記事もご確認ください。
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学習面でのストレス
中学校に進むと、勉強の内容が一気に難しくなります。小学生のころは特に困らなかったお子さまでも、「授業がわからない」「ついていけない」と感じるケースは珍しくありません。
特に数学や英語のように、積み重ねが大切な教科では、一度つまずくと取り戻すのが大変です。さらに中学生になると、定期テストが始まり、点数や順位といった“数字”で評価される場面が増えていきます。
「良い点を取らなきゃ」「親にがっかりされたくない」そんなプレッシャーが強いと、勉強が苦しくなり学校に行くのがつらくなる日もあるでしょう。
また、授業中の発表や質問される状況に強い不安を感じる子もいます。「もし間違えたらどうしよう」「みんなの前で恥をかきたくない」といった気持ちから、授業自体に参加したくなくなってしまうのです。
真面目で完璧を目指すタイプの子ほど、失敗を恐れて挑戦できなくなってしまう傾向があるかもしれません。
思春期特有の心理
中学生は、心も体も大きく変化する「思春期」の真っただ中にいます。ホルモンの影響で気持ちが揺れやすくなるのもこの時期の特徴といえるでしょう。ちょっとした言葉に傷ついたり、イライラが爆発したり、自分ではコントロールできません。
また、「まだ親に甘えたい」気持ちと「子ども扱いされたくない」気持ちが、心の中でぶつかり合います。依存と自立がせめぎ合うこの時期は、家庭でも学校でも、人間関係に戸惑いやすくなるでしょう。
「これからどうなるんだろう」「将来が不安」といった不安が積み重なると、「学校でがんばる意味ってあるの?」と、疑問を抱きモチベーションが下がってしまう場合もあります。
家庭環境や親子関係
「学校に行きたくない」気持ちは、家庭での出来事や親子の関係からも影響を受けるケースがあります。たとえば、親からの期待がとても大きいと「ちゃんとしなければ」「失敗してはダメ」と強く感じてしまうものです。
親の思いは愛情からであっても、子どもには押しつけられたと感じてしまう場合もあるのです。反対に、親が忙しくて話を聞いてもらえなかったり、何を考えているかに関心を持ってもらえなかったりすると、「どうせ自分なんて…」と感じ孤立してしまうケースも。
家庭が安心できる場所でなくなると、学校でも気持ちは不安定な状況のままです。家庭環境や親子関係が悪化するのは保護者様が悪いというわけではありません。しかし、少しでも心当たりがあるなら、まずは子どもの気持ちに目を向けてみる姿勢が大切です。
学校に行きたくない中学生の親の対応方法

お子さまが「学校に行きたくない」と言ったとき、保護者様はどのように対応すればよいのでしょうか。まず大切なのは、焦って無理に学校に行かせようとしないことです。学校に行きたくない気持ちを理解せず、表面的に対応しても根本からの解決には至りません。
ここでは、中学生の心に寄り添いながら、効果的にサポートするための具体的な方法をお伝えします。
子どもの気持ちを受け止める聞き方
中学生が「学校に行きたくない」と言ったとき、多くの保護者様は驚きや不安から「どうして?」「理由を教えてくれる?」と質問攻めにしてしまいがちです。しかし、これが逆効果になる場合もあります。
まずは、お子さまの気持ちに共感してください。理由を聞くよりも、お子さまが安心して気持ちを伝えられる環境を整える方が重要です。お子さまが話してくれたら、途中でアドバイスや意見をはさまず、最後まで聞いてあげてください。
また、お子さまの様子を注意深く観察することも大切です。表情や態度、生活リズムの変化など、言葉では表現されない心の変化に気づき、お子さまの内面を理解するよう心がけましょう。
学校との連携を前向きに考える
お子さまが学校に行きたがらない状況が続く場合、学校との連携は欠かせません。ただし、お子さまのプライバシーに配慮し、本人の了承を得てから学校に相談しましょう。
担任の先生との面談では、お子さまの家庭での様子を感情的にならず冷静に伝えてください。一方で、学校での様子を聞くと、休み時間の過ごし方や友人との関わり方など、家庭では見えない学校でのお子さまの姿が見えてくることもあります。
多くの中学校にはスクールカウンセラーが配置されています。スクールカウンセラーは、担任の先生とは違った専門的な視点から、適切な対応策を提案してくれるでしょう。
家庭環境を整える
家庭は、お子さまにとって心の安全基地です。まずは、家庭内のコミュニケーションに問題がないか振り返ってみましょう。お子さまと十分な会話ができていますか?忙しい日常のなかで、親子の対話が表面的になっていませんか?食事の時間や寝る前の時間など、お子さまとゆっくり話せる時間を意識的に持つのは大切です。
また、家族全体の雰囲気も大切です。家庭内がピリピリした空気に包まれていると、お子さまはさらにストレスを感じてしまいます。夫婦間の関係、兄弟姉妹との関係なども含めて、家全体が温かい雰囲気になるよう心がけましょう。
過度に厳しいルールや高すぎる期待は、お子さまにプレッシャーを与えます。一方で、全く期待をかけないのも、お子さまの成長意欲を削いでしまいかねません。個性を大切にして成長を見守る姿勢が、お子さまの安定につながります。
限界を感じたときは専門家に相談する
お子さまが学校へ行かない日が続くと、「自分の育て方が悪かったのでは」「周囲にどう思われているだろう」といった不安や罪悪感に悩まされます。こうした感情を一人で抱え込んでいませんか?
家庭でできる限りのことをしても、お子さまの状況が改善しない場合や、保護者様が疲弊してしまった場合は、専門家への相談を検討してください。
カウンセリングでは、保護者様の心の負担を軽減するとともに、お子さまとの関わり方について専門的で客観的な視点から分析し、改善策を見つけ出します。
また、親子関係の改善にもカウンセリングは効果的です。思春期の中学生との適切なコミュニケーション方法、距離感の取り方、効果的な声かけの仕方など、専門的な知識に基づいたアドバイスを受けて家庭での関わりが格段に改善されるケースもあります。
早期にカウンセリングを活用すれば、問題の深刻化を防ぎ、より短期間での解決が期待できるでしょう。
学校に行きたくない中学生本人の対処法

学校に行きたくないと思う気持ちは、決しておかしなことではありません。心や身体の変化に戸惑ったり、学校生活に負担を感じたりすることは誰にでもあります。大切なのは、その気持ちにフタをせず、どう向き合っていくかです。
ここでは、中学生本人ができる具体的な対処法を紹介します。
自分の感情と向き合い整理する
学校に行きたくない気持ちの根本にある感情の理解は、問題解決の重要な第一歩です。「なんとなく嫌」「理由はわからないけど行きたくない」といった状態から抜け出すために、自分の気持ちを客観的に見つめる時間を作ってみましょう。
日記を書くのは、感情の整理に非常に効果的です。毎日の出来事と一緒に、その時に感じた気持ちを素直に書き出してみてください。「今日は友達に無視された気がして悲しかった」「数学のテストが不安で眠れない」など、具体的に書いてみると漠然とした不安が明確になってきます。
モヤモヤした気持ちがあるとき、「自分はイライラしているのかな? それとも、ちょっと不安なのかな?」と考えてみるだけでも、自分の内面が少しわかってきます。はっきり言葉にしなくても、「ああ、今こういう気持ちなんだな」と気づくだけで、心の中が整理されて落ち着くことがあります。
ストレス解消法を探す
学校に行きたくない気持ちの背景には、さまざまなストレスが蓄積されている場合が多くあります。そのストレスを適切に解消していけば、心の負担が軽くなり、学校生活への意欲も回復してきます。
運動は最も効果的なストレス解消法の1つです。運動すると脳内で幸福感をもたらすホルモンが分泌され、自然に気分が明るくなる効果が期待できます。激しいスポーツでなくても、散歩やストレッチなど体を動かすことで心のモヤモヤした気持ちが発散できるでしょう。
また、好きなことに没頭する時間を過ごすのも大切です。学校での嫌な気持ちをリセットするために、ゲーム、読書、映画鑑賞、料理など、自分が心から楽しめる活動に時間を使ってください。ただし、現実逃避にならないよう、時間を決めての取り組みが重要です。
中学生特有のストレスの原因や診断基準について、こちらの記事でより詳しく解説しています。
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将来への不安を軽減するための目標設定
中学生の時期は将来への不安を感じやすく、「このまま学校に行けなかったらどうなるのだろう」「将来が見えない」といった心配が学校へ行きたくない気持ちを強める場合があります。
しかし、適切な目標設定により、将来への不安を軽減し行動意欲を回復することができます。まず、自分の興味や好きなことを探してみましょう。勉強以外に、何に興味を持っているか、何をしている時間が一番楽しいかを考えてみてください。
次に、短期目標と長期目標を分けて設定します。「今週は好きな授業だけ参加する」「今月は図書室で本を読む時間を作る」といった小さな目標から始め、徐々に「高校では〇〇部に入りたい」「将来は〇〇に関わる仕事をしたい」といった長期目標を描いていきましょう。
目標は途中で変更しても構いません。今の自分にできることから始めて、少しずつ前進していけば、きっと自分なりの道が見えてくるはずです。
一人で抱え込まずカウンセリングで心を軽くする
「学校に行きたくない」気持ちを一人で抱え込み続けるのは、とても苦しいですよね。友達や家族に話しても理解してもらえなかったり、恥ずかしさから相談できない中学生も多いでしょう。そんなときこそ、専門のカウンセラーへの相談を検討してください。
カウンセリングと聞くと「心の病気の人のためのもの」と思うかもしれません。しかし、実際には心の健康を保つための大切なツールです。スポーツ選手がトレーナーに身体のケアをしてもらうのと同じように、心が疲れたときに専門家へ相談することは、とても自然で前向きな行動といえるでしょう。
オンラインカウンセリングなら、誰にも知られずに自宅からリラックスした状態で相談できます。カウンセリングを通じて、自分では気づけなかった感情や考え方のパターンに気がつくかもしれません。また、同じような悩みを持つほかの中学生の事例を聞いて、「自分だけじゃない」安心感も得られるでしょう。
最後に|学校に行きたくない中学生と家族の未来を築くために

中学生が学校に行きたくない背景には、人間関係、学習面、思春期特有の心理、家庭環境などさまざまな要因が絡み合っています。保護者様の適切な関わり方と、中学生本人の前向きな取り組みにより状況は改善していくかもしれません。
しかし、心や身体の変化に戸惑ったり、学校生活に負担を感じたりする中学生の悩みは、家庭だけで解決するには難しい面もあります。状況が長期化している場合や、お子さまの不安が強い場合は、専門的なサポートが必要でしょう。
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