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過敏性腸症候群とは?お腹が痛くて学校に行けないお子さまへの接し方

お子さまの慢性的な腹痛に悩んでいる方はいませんか。お子さまの腹痛は保護者様にとっては心配の種。特に、原因が特定できない腹痛は、お子さまにも保護者様にも大きなストレスです。

「学校に行きたいのに、お腹が痛くて行けない」という場合は、過敏性腸症候群かもしれません。過敏性腸症候群は、検査しても異常が見つからず、ストレスや自律神経のバランスの乱れによって腸の機能が敏感になって起こる病気です。

この記事では、お子さまの腹痛に悩んでいる保護者様のために「過敏性腸症候群」についてわかりやすく解説します。また、お腹が痛くて学校に行けないお子さまへの接し方についてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

過敏性腸症候群の症状

過敏性腸症候群の症状

過敏性腸症候群は、精神的なストレスや自律神経のバランスの乱れが引き金となって症状が現れます。自覚症状としては、便通の異常、腹痛や下腹部の不快感などがあり、腹部以外に現れる症状としては、頭痛、疲労感、不安感などがあります。

診断基準は、6ヶ月以上前からお腹の不調や痛みがあり、最近3ヶ月間に週1回くらいのペースで以下の項目の2つ以上が当てはまる場合です。

  • 排便をすると一時的に症状が落ち着く
  • 排便回数が変化する
  • 便の形状に変化がある

過敏性腸症候群は、慢性的に続くものの命に関わる病気ではありません。しかし、症状が出て辛そうなお子さまには、できるだけ症状を起こさないように、起こったとしても対処して痛みを和らげてあげるのが重要です。

過敏性腸症候群の治療

過敏性腸症候群の治療

症状を和らげるには、医療機関を受診して薬を処方してもらう以外にも、食事や運動による生活習慣の改善や心理的な面からアプローチしていく治療があります。お子さまの状態にあわせて、適切に改善していくようにしましょう。

生活習慣の改善

規則正しい食生活は、腸内環境を整えるために重要です。消化を助けるためによく噛んでゆっくり食べたり、適度に水分をとったりするなどして、毎日決まった時間に食事をとるようにしましょう。

また、運動も腸の働きを活性化するのに重要です。運動には、ストレス解消のほか、セロトニンの分泌を促進して気分を安定させたり、全身の血行を促進したりして体調を整える効果があります。

薬物療法

生活習慣の改善だけで症状がよくならない場合は、薬物療法も検討します。腸のぜん動運動が、盛んになっているときは抑える効果がある薬を、逆に低下しているときは動きを促す効果がある薬が処方されるでしょう。

また、乳酸菌やビフィズス菌などを含む整腸剤で腸内バランスを改善し、腹痛や便秘などの症状を緩和します。お子さまの体質や症状によって適切な薬は異なるため、医療機関を受診し専門家に適切な薬を処方してもらうことが大切です。

心理療法

過敏性腸症候群における腹痛などの身体的症状は、精神的なストレスの影響が大きいと考えられています。したがって、単に食事療法や薬物療法だけでは改善が見られないケースもあるでしょう。

ストレスが症状を悪化させている場合は、臨床心理士や公認心理師のカウンセリングが有効な治療法です。カウンセリングでは、ストレスの原因や対処方法を探り、リラクゼーション法を学ぶことで症状の緩和が期待されます。症状に合わせたアプローチで改善に向かう可能性があるでしょう。

学校に行けないお子さまへの対応

学校に行けないお子さまへの対応

過敏性腸症候群のお子さまへの接し方で大切なのは、まわりが症状を理解してお子さまを安心させてあげることです。腹痛を我慢させると症状が悪化する可能性があるため、お子さまの状態をしっかりと把握し、適切なサポートの提供が重要です。

学校に行けないお子さまは、登下校中や授業中にトイレに行けない不安があります。このような状況は、お子さまにとって大きなストレスです。ここからは、お腹が痛くて学校に行けないお子さまへの対応の仕方について解説します。

子どもの辛さを理解する

まずは、お腹が痛くて辛いというお子さまの訴えを受け止め理解することが大切です。保護者様の理解は、お子さまに安心感を与えます。どのような不安を抱えているのかじっくり話を聞いて、お子さまの気持ちに共感しましょう。

症状がひどいときは、お子さまの体調を最優先してゆっくり過ごすようにします。勉強の遅れや友達との関わりを心配する必要はありません。登校時間を短くしたり、自宅学習を取り入れたりするなどの対応も検討しましょう。

学校と連携する

学校で何かしらの問題がある場合、心理的なストレスから腹痛の症状が出ている可能性も考えられます。お子さまの症状と不安を学校側と共有し、登校や授業について配慮をお願いしましょう。

学校への行きづらさを「さぼり」や「心配しすぎ」などと誤解して対処してしまうと、不登校につながる可能性があります。お子さまの学校生活をサポートしていくには、周囲の理解が欠かせません。学校にスクールカウンセラーがいる場合は、お子さまのケアについて相談することもできます。

過敏性腸症候群と不登校の関連性

過敏性腸症候群と不登校の関連性

過敏性腸症候群と不登校の関係は、どちらが先になってどちらが原因になっているのかという単純なものではありません。多くの場合は、相互に影響し悪循環を生み出していると考えられます。

過敏性腸症候群が不登校の原因となる場合

テストや発表などで極度に緊張したりストレスがかかると、腹痛や下痢などの症状が出る場合があります。「お腹が痛くなったらどうしよう」という不安は、登校意欲を低下させます。また、まわりの目が気になってトイレに行くのを我慢すれば、過敏性腸症候群の症状が悪化するケースもあるでしょう。

過敏性腸症候群のお子さまは、症状が出ると授業に集中できません。勉強に対するモチベーションが維持できず学習面での不安があると、ますますテストが怖くなります。このような悪循環から、不登校につながる可能性は考えられます。

不登校が過敏性腸症候群の症状を悪化させる場合

不登校になると生活リズムが乱れ、睡眠不足や運動不足などが原因で腸の調子が悪くなるケースがあります。また、過敏性腸症候群は精神的なストレスや不安が引き金と考えられることから、不登校の状況が過敏性腸症候群の症状を悪化させている可能性もあるでしょう。

不登校になったお子さまは自己否定が強く、心にストレスが積み重なった状態です。ストレスを感じるとお腹が痛くなるのは、脳と腸が密接に関連しており、ストレスが腸の運動や感覚に影響を与えると考えられているからです。

「学校に行けない自分はダメだ」という自己否定は不安やストレスを大きくしてしまいます。ストレスからの慢性的な腹痛は、腸の炎症反応を促進させ過敏性腸症候群の症状は悪化してしまうでしょう。

まとめ

過敏性腸症候群になると、ストレスや自律神経系の乱れによって腸の機能が敏感になり腹痛などの症状が出ます。検査してもはっきりした原因が見つかりません。お子さまが過敏性腸症候群になると「授業中にお腹が痛くなったらどうしよう」と不安になり、学校に行けないケースもあります。

過敏性腸症候群は、保護者様やまわりの理解があれば症状が緩和する可能性があります。お子さまに、何かしらのストレスがかかり腸に影響している場合もあるので、まずはお子さまが安心して過ごせる環境を整えましょう。少しでもストレスを減らす生活を心がけると、過敏性腸症候群の症状は和らいでいきます。

執筆:わたなべ ちかこ

フリーランスライター。 小中学生向けオンライン学習のコラムや、コミュニケーションコーチ&カウンセラーとして活躍する起業家のメルマガなどを執筆。不登校経験のある子どもを持つ母親ならではの視点を活かし、教育や子育てに関するテーマで心に響く記事を届けています。また、取材記事の執筆やWebメディアのディレクションにも取り組み、幅広い分野で活躍中。

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