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中学生のストレス原因は?

中学生のお子さまは自分でできることが増え、交友関係も広がるため、さまざまな場面でストレスを感じることがあります。
以下では、中学生の主なストレスの原因を解説します。
勉強に関すること
中学生のストレスの原因1つ目は、勉強に関することです。
中学生は小学生に比べ勉強の難易度が格段に上がります。お子さまによっては授業の進度が速いと感じたり、内容についていけないと思ったりすることもあるでしょう。また、予習復習や課題の多さが負担となるお子さまもいます。
さらに、中学校では定期テストが実施され、その結果が成績に直結します。勉強の結果が成績という目に分かる形で表れ、さらにはその後の高校受験にも影響を与えるため、そのことに関する不安がストレスとなりやすくなります。
また中学校では、小学校までと違い教科担任制が採用されています。
学ぶ科目が増えることや教科によって教員が変わることに慣れなかったりすることがストレスに繋がることもあります。
友人関係に関すること
中学生のストレスの原因2つ目は、友人関係に関することです。
中学校はさまざまな小学校から生徒が集まっていることも多く、新たな人間関係に苦労するお子さまは多々存在します。特に女子生徒は、心理学で「チャムシップ」と呼ばれる少人数のグループを作る傾向にあります。また、「スクールカースト」と呼ばれるクラス内の序列が存在することも珍しくありません。時にはクラスという空間が、社会を凝縮させたような残酷な世界になることもあるのです。
また、部活動に所属しているお子さまの場合、これまで経験したことのない上下関係の中で気を遣い、疲弊してしまうケースもあります。
中学生のお子さまが置かれているこういった環境では、自然とストレスが溜まってしまいます。
ある程度の経験や悩みは、社会性を身につけたり、人間性を成長させたりするためにも必要なものですが、それをどれくらい許容できるかはお子さまの個々の性格などによっても異なります。
お子さまのキャパシティを超えてしまう悩みは、ストレスとなりかねません。
進路や将来に関すること
中学生のお子さまのストレスの原因3つ目は、進路や将来に関することです。
現代の日本において、中学卒業後は高校に進学するお子さまが多数を占めますが、高校は義務教育ではないため、どの学校に行くかは自分で選択する必要があります。学力や内申の状況によっては必ずしも希望する高校に進学できるとは限らないため、これまで自動的に進学・進級できていた環境とは異なる経験をすることになります。
また、高校受験にあたってその後の人生や将来について考える機会も多くなり、「自分はどういった大人になりたいのだろうか」と悩みやすい年頃でもあります。
お子さまによっては、そういった悩みや漠然とした不安がストレスに繋がることがあります。
中学生にストレスが溜まったときの様子は?

中学生のお子さまにストレスが溜まると、どのような様子になるのでしょうか。
大人と子どもの狭間ともいえる年頃の中学生は、ストレスが溜まっていてもそれを自覚できていないことも珍しくありません。しかし、ストレスが溜まったときの様子について保護者様が知っていれば、早めに気づき、対応することができるかもしれません。
以下では、中学生のお子さまのお子さまにストレスが溜まったときの様子についてご紹介します。
体調や行動が変化する
中学生のお子さまにストレスが溜まると、次のような体調・行動の変化がみられることがあります。
- 体がだるく、気分が悪くなる
- 夜なかなか眠れない
- 食欲が減る
- 人と関わることに消極的になる
ストレスを感じた心と体は、思っている以上に密接に繋がっているものです。ストレスは身体に表れることがあり、上記のような様子をもたらします。
お子さまが体調不良を訴えるにもかかわらず、いざ病院に行くとどこも悪いところが見つからなかったり、趣味や好きなことはできている様子を見たりすると、仮病を疑ってしまうこともありますよね。
しかしこれらの身体症状は、ストレスのサインであるケースもあるため、注意が必要です。
精神状態が不安定になる
中学生のお子さまにストレスが溜まると、以下のように精神状態が不安定になることもあります。
- 新しいことにチャレンジしてみようという意欲がなくなる
- 泣いたり怒ったり情緒不安定になる
- 感情表現が乏しくなる
ストレスから、感情のコントロールが上手くできなくなることがあります。それによって、周囲からは不安定な状態に見えたり、何に対しても無気力であるように見えたりするのです。
中学生のお子さまは、自分がこのような状態になっていることに気づけていないケースもあります。時には、保護者様が客観的な視点で疲れやストレスに気づかせてあげることも必要です。
中学生のストレスが引き起こす病気や診断基準の症状は?

上記のようなストレスが溜まった様子が続くと、心の病気を引き起こす可能性があります。
ストレスからくる病気にはどのようなものがあり、何をもって診断されるのでしょうか。
以下では、中学生のストレスが引き起こす病気について代表的なものをご紹介します。
うつ病
うつ病とは、強いストレスが原因となって身体や心がエネルギー不足となる病気です。
精神疾患の診断基準として用いられるDSM-5では、以下の項目のうち、①②どちらか1つに加え、そのほか3つ以上の項目が当てはまることを診断基準としています。
- 抑うつ気分
- 興味または喜びの喪失
- 食欲の減退または増加、体重減少または増加
- 不眠、または過眠
- 精神運動の焦燥または制止
- 疲労感、または気力の減退
- 無価値感または過剰・不適切な罪責感
- 思考力や集中力の減退、または決断困難
- 死についての反復思考、自殺念慮、自殺企図
うつ病は悪化や再発を繰り返しやすい病気であるため、早期の受診が大切です。
心身症
心身症とは、ストレスなど心が受けた負担によって身体症状を引き起こす病気の概念を指します。「心身症」という病名があるわけではなく、心が体に与える影響の全般を示すものです。
主に、頭痛、腹痛、吐き気などの症状がみられ、その様子や実際の身体の様子などをもとに医師が診断を下します。
心身症が関連する病気は、片頭痛や摂食障がい、睡眠障がいなど多岐に渡ります。
中学生のお子さまの場合、特に身体には悪いところがないにもかかわらず突然歩けなくなるといったケースもみられます。言葉で助けを求められない代わりに、身体がサインを出すこともあるのです。
統合失調症
統合失調症とは、気持ちや考えがうまくまとまらず、幻覚や妄想へと繋がる病気です。発症には、遺伝的要因なども含まれていると考えられているため、一概にストレスだけが原因とは言い切れません。
DSM-5では、以下の症状のうち2つ以上1か月以上継続していることをはじめ、そのほか問診などによる情報を基準に診断することとされています。
- 妄想
- 幻覚
- まとまりのない発語
- ひどくまとまりのない行動
- 意欲低下などを含む陰性症状
統合失調症の悪化は不登校やひきこもりに繋がりやすくなるだけでなく、自傷行為などその後の人生を大きく変える可能性があります。薬物治療などによって症状と付き合いながら生きていく方法もあるため、早期の受診が鍵となります。
起立性調節障がい
起立性調節障がいは、朝起きられないなどの症状をはじめとした不登校の原因にもなりやすい病気です。小学校高学年ごろから発症するケースが多く、思春期のお子さまにとってはそれほど珍しい病気ではありません。
主に、以下の症状が3つ以上、もしくは2つ以上強く表れていることを診断基準としています。
- 立ちくらみやめまいを起こしやすい
- 朝なかなか起きられない(午前中は調子が悪い)
- 立ち上がったときに、気持ちが悪くなったり気を失ったりする
- 少し動いただけで動悸・息切れがする
- 入浴時や、嫌なことを見聞きしたときに気持ちが悪くなる
- 食欲不振がある
- 倦怠感がある、もしくは疲れやすい
- 頭痛がある
- 顔色が青白い
- ときどき腹痛を訴えている
- 乗り物酔いしやすい
出典:一般社団法人 起立性調節障害改善協会「起立性調節障害のセルフチェックリスト(子ども)|すぐにできる診断テスト」
起立性調節障がいは、気合いで治したり改善したりすることは難しい病気です。医師の判断によって、投薬治療が行われるケースもあります。
中学生のストレス解消法は?

中学生のストレスが溜まると、上記のような病気を引き起こす可能性もあるため、早期の対応やストレス解消が重要となります。
以下では、問題を悪化・複雑化させないためのストレス解消法についてご紹介します。
規則正しい生活を心がける
そもそもストレスを溜め込まないためには、規則正しい生活を送り睡眠をしっかりととることが有効です。
睡眠は、心身の疲労回復に必要不可欠なものです。睡眠がとれていれば自律神経も整い、イライラやストレス軽減に繋がります。
夜にきちんと眠くなるためにも、日中適度に活動し、就寝前のスマートフォンなどの利用は控えるようにしましょう。
運動をする
運動をすることもストレス解消には効果的です。
運動部に所属しているお子さまを除き、日常的に体を動かす機会がないというお子さまは多いのではないでしょうか。しかし運動は、体だけでなく心のリフレッシュにも繋がると知られており、ストレス解消にも効果が期待できます。また、運動は程よく身体を疲れさせ、夜の良質な睡眠にも繋がります。
毎日激しい運動をしなければと思う必要はありませんので、ウォーキングなど、無理なく続けられるような運動を取り入れてみましょう。
自分の強みを見つける
ストレス解消のためには、自分の強み(長所)を見つけることも有効です。
中学生という多感な時期のお子さまが心理的なストレスを抱えてしまう要因の一つには、自分と周りを比べすぎてしまうことが挙げられます。
勉強や部活動の成績など、目に見える形で順位がつくと尚更比較したり、自分の実力不足に落ち込んでしまうことがあるかもしれません。
とはいえ、そういった感情は、周囲に「周りと自分を比較しすぎないように」と言われたところで簡単に消せるものではありません。そのようなことができるなら、はじめから悩んでなどいないはずです。
ではそのような中でどうやって乗り越えていくかというと、自分の強み(長所)を見つけることがおすすめです。「できないことももちろんあるけれど、自分にはこんな良いところがある」と自覚できていると、自信に繋がり、過度に悩む必要がなくなります。
これは、保護者様が日頃からお子さまの良いところに気づき、伝えることでお子さま自身が自覚していくことができます。
良好な親子関係を保つ
中学生のストレス解消には、良好な親子関係が保たれていることも大切です。
一見、直接的な関係はないようにも思えますが、お子さまにとって「自分をわかってくれる人がいる」というのは大きな安心感を与えるものです。今日あった出来事を気軽に話したり、いざというときは助けを求めたりできる存在は、思春期のお子さまに必要不可欠です。
そういった日々の積み重ねが、大きなストレスを防いだり、今あるストレスを解消させたりすることに繋がるのです。
お子さまが保護者様を頼ろうと思えるようにするためには、日頃から良好な関係が築かれていることが重要です。毎日少しでもよいのでコミュニケーションをとるよう心がけ、小さな変化に気づけるようにしておきましょう。
中学生のストレスに関するまとめ

今回は、中学生のお子さまのストレスについてご紹介しました。
勉強や友人関係など、日々さまざまなことに頭を悩ませ気を遣っているお子さまには、本人も気づかないうちにストレスが溜まってしまっているものです。それが悪化し、病気を引き起こしたり、日常生活に支障をきたす可能性も否定できません。
中学生のお子さまがストレスを溜めないためには、日頃からストレスを溜めない・解消する生活を心がけ、異変を感じたときにはすぐに医療機関を受診できるとよいでしょう。