目次
子どもの悩みや不安にカウンセリングは必要?

お子さまが悩みを抱えているとき「誰かに相談できているのかな?」と不安になりませんか?学校や家庭での出来事、友人関係の悩みなど、子どもの世界にもさまざまなストレスが存在します。
しかし、お子さま自身がその悩みを言葉にできず、周囲に気づかれないまま抱え込んでしまっているケースも多いでしょう。こうした悩みを放置すると、心のエネルギーが少しずつ消耗し、学校に行くのがつらくなったり、身体的な不調として表れたりする場合があります。
ここでは、悩みを抱えているお子さまはどのようなサインを見せるのか、カウンセリングがどのような場面で役立つのかお伝えします。
子どもが悩みを抱えているときのサイン
お子さまが言葉にしなくても、心のSOSを発している場合があります。次のような変化が見られたら、悩みを抱えているかもしれません。
行動の変化 | ・話しかけても反応が薄い ・部屋にこもるようになる ・学校を嫌がる |
身体的な不調 | ・頭痛 ・腹痛 ・吐き気を訴える ・食欲の低下や増加 |
感情の変化 | ・すぐ怒る ・常にイライラしている ・些細な出来事で泣く |
以前はよく話していたのに急に口数が減ったり、兄弟や物に強く当たったりする場合もあるでしょう。朝になると「お腹が痛い」「頭が痛い」といって登校を渋る日が増えるのも1つのサインです。
子どもは時に「大丈夫」といいながら、本当は不安やストレスを抱えている場合があります。特に思春期になると、親には言いたくないし相談しても無駄だという理由で悩みを隠すケースも少なくありません。
普段から「今日はどんなことがあった?」と日常的に会話を交わし、お子さまが悩みを抱え込まずに済む環境を作るのも大切です。
カウンセリングが効果的なケースとは?
お子さまの様子がいつもと違うからといって、すべての悩みにカウンセリングが必要なわけではありません。しかし、お子さまの悩みは、大人から見ると「そんなに気にすること?」と思えるような出来事でも、本人にとっては大きな負担になっている場合があるのです。
以下のような場合には、専門家のサポートが有効と考えられます。
①学校や友人関係のストレスが大きいとき
「友だちと上手くいかない」「クラスの雰囲気が嫌だ」など、学校生活の悩みはお子さまにとって大きなストレスになり得ます。1人で抱え込んでいると、状況が悪化するケースも。カウンセリングでは、お子さまの悩みを整理してどのように対処すればよいかを導いていきます。
②発達特性があり学校生活に適応しづらいとき
発達障害やグレーゾーンのお子さまは、学校の集団生活にストレスを感じやすいのではないでしょうか。まわりと同じようにできなかったり先生に怒られる場面が多かったりすると、自己肯定感が低下する場合も。カウンセリングでは、お子さまの特性に合った対処法を見つけ、安心できる環境を整えるサポートができます。
③親子関係が悪化しているとき
親子のコミュニケーションがうまく取れないと、お子さまは「どうせ話してもわかってもらえない」と感じ、心を閉ざしてしまいます。保護者様の声かけが逆効果になっているケースも。カウンセリングでは、第3者の視点から親子の関係を見直し、お互いにとってより良い接し方を見つける手助けができます。
カウンセリングの流れ
カウンセリングは、1回だけで劇的に変化するものではなく、段階的に進めていくものです。一般的なカウンセリングの流れは以下の通りです。
1.初回相談:カウンセラーとの相性を確認する
お子さまが安心して話せるよう、まずはリラックスした雰囲気でお話をします。無理に悩みを話させるのではなく、雑談を交えながら安心して話せるようにアプローチしていきます。カウンセラーとの信頼関係を築くには、相性がとても重要です。
2.問題の整理:どんな悩みがあるのかを明確にする
具体的に何がつらいのか、どんなことが原因になっているのかをカウンセラーと一緒に整理していきます。お子さま自身も「自分はこう感じていたんだ」と気づくケースが多くあります。
3.目標設定:どのように解決していくかを決める
「友達ともっと楽しく話せるようになりたい」「学校に行くのが不安だけど、少しずつ慣れていきたい」など、お子さまのペースに合わせた目標を設定します。
4.継続的なサポート:実際に行動に移す
設定した目標に向けて、カウンセラーと一緒に具体的な方法を考えていきます。保護者様も協力しながら、お子さまが前向きに取り組めるようサポートすることが重要です。
このように、カウンセリングは、お子さまの心に寄り添いながらゆっくりと進めていきます。焦らず取り組んでいくことで少しずつ気持ちが整理され、前向きな変化が期待できます。
子どものカウンセリングを受けるには?
お子さまが悩みを抱えているとき、カウンセリングを受けて気持ちが整理され、心の負担が軽くなる場合があります。カウンセリングといっても、学校で受けられるものから民間の専門機関まで、選択肢はさまざまです。また、カウンセリングの種類によってアプローチの仕方は異なります。
ここでは「どこで受けられるの?」「どんな方法があるの?」と疑問を持っている保護者様のために、カウンセリングを受けられる場所や種類について解説します。
カウンセリングを受けられる場所
カウンセリングを受けられる場所は、公的な機関と民間の機関があります。それぞれのメリットとデメリットは以下の通りです。
場所 | メリット | デメリット |
学校 | ・放課後や授業の合間に利用しやすい ・費用がかからない ・学校での状況を理解してもらいやすい | ・スクールカウンセラーの勤務時間が限られている ・誰かに知られるのではないか不安 ・年度ごとにカウンセラーが変わる可能性がある |
児童相談所・地域の支援センター | ・費用がかからない ・専門的な相談ができる ・家庭の状況も含めた相談ができる | ・予約が多いとすぐに対応できない ・地域によって支援内容に差がある ・一時的な相談対応が多い |
民間のカウンセリング機関 | ・悩みに合わせてより専門的な相談ができる ・継続的なサポートを受けられる ・カウンセラーとの相性を重視できる | ・費用がかかる ・場所によっては通いづらい ・カウンセリンの質にばらつきがある |
オンラインのカウンセリング | ・自宅でリラックスしながら受けられる ・比較的予約が取りやすい ・対面よりもハードルが低い | ・対面に比べると細かい表情がわかりにくい ・インターネット環境が必要 ・画面越しだと集中しづらい場合がある |
多くの小中学校、高校にはスクールカウンセラー が配置されています。しかし、学校によってはカウンセラーの勤務時間は限られており、予約がとりにくい場合があるかもしれません。また、学校でのカウンセリングは、在籍期間しか受けられません。
しかし、民間のカウンセリング機関では長期的なサポートが可能で、臨床心理士や公認心理師による専門的なカウンセリングが受けられます。
外出が難しい場合や、お子さまが対面のカウンセリングに抵抗がある場合は、オンラインでのカウンセリングが適しているでしょう。
カウンセリングの種類
カウンセリングにはさまざまな種類があり、お子さまの年齢や性格に合った方法の選択が大切です。
認知行動療法
認知行動療法は、考えや行動に働きかけて不安やストレスなどの心の問題を改善していく心理療法です。ネガティブな考え方の癖を見直し、より前向きな思考へと変えていくことを目的としています。
学校や友人関係のストレスが強かったり、特定の場面で緊張しやすかったりするお子さまに適しているといえるでしょう。カウンセラーと一緒に考え方のパターンを整理し、新しい捉え方を身につけると心が軽くなる場合があります。
遊びを取り入れたカウンセリング(プレイセラピー)
小さなお子さまの場合、言葉で気持ちを伝えるのが難しいケースがあります。そのため、おもちゃや絵、ゲームを使いながら気持ちを表現する「プレイセラピー」が有効でしょう。
言葉で気持ちを説明するのが苦手なお子さまや、会話だけでは心を開きにくいお子さまには適しているかもしれません。遊びを通じてカウンセラーと関係が構築できれば、お子さまの気持ちが自然に表れやすくなります。
親子カウンセリング
お子さまの悩みが家庭環境や親子関係に関連している場合、親子カウンセリングや家族療法が効果的です。保護者様も一緒にカウンセリングを受け、接し方を見直したり親子のコミュニケーションを深めたりできます。
お子さまが保護者様に悩みを打ち明けられない状況だったり、家庭内でのストレスが大きく親子関係がギクシャクしていたりする場合に効果的なカウンセリングといえるでしょう。
お子さまだけでなく、保護者様もカウンセリングを受けると家庭全体の雰囲気を改善するきっかけになるかもしれません。
カウンセリング先を選ぶポイント
前述の通り、カウンセリングを受ける場所によって、それぞれ特徴やメリット・デメリットがあります。どのカウンセリングがお子さまに合うか、以下のポイントを参考にしてください。
1. どんな専門家が対応しているか?
心理カウンセラー・臨床心理士・公認心理師など、資格や専門分野をチェックしましょう。お子さまのカウンセリングには、子ども専門のカウンセラーがいるところが安心です。
2. 無料相談や体験カウンセリングがあるか?
いきなり本格的に始めるのではなく、まずは無料相談や体験カウンセリングを利用しましょう。カウンセラーとの相性の確認は大切です。
3. オンラインか対面か?
直接話すのが苦手なお子さまには、オンラインカウンセリングが向いている場合もあります。一方で、対面のほうがリラックスできる子もいるので、お子さまの性格に合わせて選びましょう。
子どもにカウンセリングを勧めるときの注意点
お子さまが悩みを抱えているとき、カウンセリングを勧めるのは有効な選択肢だと考えられます。
カウンセリングは、お子さまが安心して自分の気持ちを話せる場でなければなりません。そのため、お子さまが前向きにカウンセリングを受けられるよう、勧め方や声のかけ方には工夫が必要です。
カウンセリングという言葉を聞くと「自分は問題があると思われているのかも」と感じるお子さまもいるでしょう。しかし、実際はカウンセリングを受けるのは特別なことではありません。お子さまが安心できるように、ポジティブな印象を持てるような伝え方を心がけてください。
カウンセリングに対して不安を感じたり拒否したりする場合は、無理に連れて行こうとするとかえって警戒心が強くなり逆効果です。
お子さま自身が「話してみようかな」と思えるようになるまで、焦らずに待つ必要があるでしょう。お子さまが「自分で決めていい」というスタンスで接すると、安心感が生まれるかもしれません。
お子さまがカウンセリングを拒否する背景には、次のような理由が考えられます。
- 知らない人に話すのが怖い
- 自分の気持ちを話せるかわからない
- 相談すること自体が恥ずかしい
- カウンセリングは特別な人が行く場所だと思っている
拒否したときに「なんで行かないの!」と責めると、ますます心を閉ざしてしまいます。今はまだ準備ができていない状態だと受け止めて、無理に押し付けずに待つことも大切です。
最後に | 子どもの心を守るためにカウンセリングを!
お子さまが不安や悩みを抱えているとき、親として「どうサポートすればいいの?」と悩んでいませんか?そんなときに役立つのがカウンセリングです。しかし「本当に効果があるの?」と疑問に思う方も多いかもしれません。
カウンセリングを受ける場所や種類はさまざまで、お子さまの性格や状況に合った方法を選択できます。無理にカウンセリングを勧めるのではなく、話してみようと思える環境を整えて、効果的に活用するといいでしょう。
「不登校こころの相談室」では、不登校のお子さまとその保護者様のためのオンラインカウンセリングを提供しています。「対面のカウンセリングには抵抗がある」「外出せずに気軽に相談したい」という場合は、オンラインカウンセリングの「不登校こころの相談室」を検討してください。
経験豊富なカウンセラーと一緒にお子さまの気持ちを整理し、少しでも心が軽くなるように適切なサポートをしませんか?