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不登校を解決するには

別室登校とは?過ごし方や教室復帰までのステップをわかりやすく解説します

お子さまが「学校には行けるけれど、教室には入れない」と感じているとき、どう対応すればよいか悩んでしまう保護者様は多いのではないでしょうか。

そのような状況の中で、選択肢として挙がるのが「別室登校」です。

別室登校は、教室以外の安心できる空間で過ごしながら、無理なく学校とのつながりを保つことができる方法です。

登校しぶりや不登校の初期段階で取り入れられることもあります。

しかし、別室登校にはメリットがある一方で、デメリットや注意点も存在します。

そこで本記事では、別室登校の過ごし方や他の登校スタイルとの違い、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

教室復帰までのステップや家庭でできるサポート方法も紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。

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別室登校とは?

別室登校とは?

別室登校とは、学校に通ってはいるものの、教室での学習が難しいお子さまが別の空間で過ごす登校スタイルです。

別室登校は、教室に入るプレッシャーから一時的に離れ、心身を落ち着けながら学びを継続できる方法として選択されることがあります。

まずは、その具体的な内容や過ごし方、他の登校スタイルとの違いを整理していきましょう。

別室登校の役割と過ごし方

別室登校は、教室に入ることが難しいお子さまが、学校とのつながりを保ちつつ過ごせる登校スタイルです。

教室という環境に強いストレスを感じているお子さまにとって、別の静かな場所で落ち着いて過ごせることは大きな安心につながります

空き教室や特別教室などが利用されることが多く、プリント学習や読書、創作活動などを自分のペースで行います。

別室登校では、その日の体調や気分に合わせて過ごし方が柔軟に調整されるのも特徴です。

また、別室登校を行っているお子さまには、担任の先生や支援員、スクールカウンセラーが関わることもあり、お子さまが孤立しないように配慮された支援が受けられます。

別室登校は単なる「教室の代わり」ではなく、安心して登校を続けるための第一歩として重要な役割を担っているものです。

保健室登校・放課後登校との違い

別室登校と似た登校スタイルに、「保健室登校」「放課後登校」があります。

これらも教室での生活が難しいお子さまのための選択肢ですが、目的や対応の方法に違いがあります。

「保健室登校」は、体調不良や不安感の強いお子さまが一時的に過ごす場所であり、安静を重視した場です。

一方「放課後登校」は、人が少ない時間帯に登校し、先生との面談や課題の提出を行う方法です。

これらに対して別室登校は、授業時間中に学校内で過ごすことが前提です。

学習や活動を通じて学校との関わりを保てるよう配慮されています。

保健室登校や放課後登校と比べて、「学校に通っている」という実感を持ちやすい点が、大きな特徴といえるでしょう。

出席と成績の取り扱い

別室登校は、教室での授業には参加していなくても、校長の判断により出席扱いとされることがあります。

文部科学省も、「個別の対応が必要な場合には教室外での学習も出席として認めることができる」と示しており、学校との連携を前提に柔軟な対応が可能です。

実際には、別室でプリント学習や読書、支援員との活動を行うことで出席と認められているケースが多く見られます。

ただし、学校ごとに基準が異なるため、登校を始める前に「何をすれば出席になるか」を事前に確認しておくことが大切です。

成績についても同様に、教室での授業に参加していなくても、課題の提出や個別学習の取り組みが評価対象になることがあります。

文部科学省による通知においても「欠席中や学校外での努力を積極的に評価していくこと」と明記されています。

(参考:文部科学省 不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)

別室登校のメリット

別室登校のメリット

別室登校は、「とりあえず登校できる場所」として選ばれることもありますが、それだけにとどまらず、多くのメリットがあります。

ここでは、別室登校によって得られる主なメリットを紹介します。

安心して登校を継続できる

別室登校の最大のメリットは、心理的な負担を軽減しながら、学校に通い続けられることです。

教室での人間関係や集団行動に強いストレスを感じているお子さまでも、自分にとって安心できる空間であれば、登校へのハードルが下がることがあります。

「今日は行けた」「この空間なら大丈夫」という体験の積み重ねが、次第に自信につながります。

また、別室であっても学校に行くという行動自体が、生活リズムの安定や社会とのつながりを維持するための大切な要素となります。

完全な不登校になる前にこうした手段を取れることは、本人にとっても保護者様にとっても、大きな安心につながるでしょう。

学校との関係を維持できる

教室には入れなくても、学校という場に「所属している」感覚を持ち続けられることは、お子さまにとって非常に重要です。

担任の先生や支援員とのやりとりが続いていれば、「見守ってくれている人がいる」と感じられ、孤立感を防ぐことができます。

また、別室登校を続ける中で、必要に応じて学校行事に参加したり、短時間だけ教室に顔を出すといった機会を持つことも可能です。

そうした柔軟な関わり方によって、学校とのつながりが細くても切れずに続いていくのは、今後の教室復帰や進路選択を考える上でも意義があることです。

生活リズムを守ることができる

不登校になり自宅で引きこもる生活が続くと、生活リズムが乱れやすくなり、昼夜逆転生活につながることがあります。

このようなとき、別室登校であれば、たとえ教室に行けなくても決まった時間に家を出て、学校に行くという習慣を維持することが可能です。

また、週に数回の登校から始めることもできるため、「いきなり毎日通うのは難しい」というお子さまでも、無理のない範囲で生活を安定させることができます。

出席として認められる

別室登校は、学校側の判断によって「出席扱い」とされる場合があります。

文部科学省のガイドラインでも、特別な配慮が必要なケースでは、教室外での活動も出席として認めることができるとされています。

出席扱いと認められるのは、進級や進学、内申書などが気になる保護者様にとっても安心材料となるでしょう。

ただし、出席扱いの具体的な判断は学校ごとに異なるため、事前に学校との話し合いをしっかり行っておくことが大切です。

(参考:文部科学省 義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて

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別室登校のデメリット

別室登校のデメリット

別室登校には多くのメリットがありますが、注意が必要なケースもあります。

心理的な安心感を優先することで、教室との距離が広がってしまったり、孤立感を強めてしまうこともあるのです。

ここでは、別室登校に伴う主なデメリットについて解説します。

孤立しているように感じる

別室登校では教室から離れて過ごすことが多いため、友人との交流の機会が限られてしまいます。

クラスメートが日々の授業や行事を通じて関係を深めていく中、自分だけが違う場所にいるという感覚が、寂しさや孤立感につながることも珍しくありません。

特に人との関わりを求めているお子さまにとっては、「誰とも話さないまま1日が終わった」と感じてしまうことが、別室登校の継続に不安につながるケースもあります。

学習の遅れや進級に影響する可能性がある

別室での学習は、教室で行われる授業とは異なる進め方になることが多く、学習内容やペースに差が出ることがあります。

お子さまのペースや裁量で学習できるのは良い面であるものの、学習の遅れや進級・進学に影響をもたらす可能性があるという点で、懸念材料とも言えるでしょう。

また、お子さまが「みんなと同じように勉強できていない」と感じることが、焦りや劣等感の元になってしまうこともあります。

進級や受験に向けた学習が必要な時期にサポートが十分ではない場合、不安を抱えやすくなるため、注意が必要です。

周囲から偏見や誤解を受けることがある

別室登校はまだ一般的とは言いにくく、教室以外の場所で過ごしていることに対して、「さぼっている」「わがまま」といった偏見や誤解を受けることもあります。

状況を十分に理解していない人たちの心ない言葉が、本人にとってプレッシャーになることもあるのです。

こうした中で、お子さまの気持ちが傷ついたり、学校自体への不信感を強めてしまったりすることもあります。

教室復帰を諦めてしまうことがある

別室登校が長期化すると、「このままでも困らない」と感じ、教室復帰への意欲が薄れてしまうことがあります。

安心できる環境で過ごすことは大切ですが、その一方で、「いつか戻りたい」という気持ちが遠のいてしまうケースもあるのです。

また、別室登校での生活に慣れすぎることで、教室の雰囲気や集団生活への不安がかえって強まってしまうこともあります。

教室復帰を望む場合は、定期的に目標を見直し、復帰に向けた段階的な取り組みを意識することが大切です。

保護者様や学校には、「戻れるかもしれない」という選択肢をお子さまが持ち続けられるようなサポート体制が求められます。

別室登校から教室復帰を目指すステップ

別室登校から教室復帰を目指すステップ

別室登校はゴールではなく、「お子さまが自分らしく過ごせるためのプロセス」と呼べるものです。

別室登校を経て教室復帰を目指す場合、どのように進めていけばよいのでしょうか。

ここでは、無理のないペースで少しずつ教室復帰を目指すためのステップを紹介します。

自信をつける

教室復帰の第一歩として大切なのが、お子さまが「自分は大丈夫」と感じられる小さな自信を積み重ねることです。

別室登校での穏やかな時間の中で、先生や支援員とのやりとり、課題の達成などを通して「できた」という実感を重ねることが、自信の芽になります。

無理に教室へ戻ることを意識させるよりも、まずは現在の環境で心を落ち着け、少しずつ自己肯定感を育んでいくことが大切です。

たとえば、プリント学習を最後まで終えられた、支援員の先生と挨拶できたなど、どんな小さなことでも達成感として周囲が認めることが、励みになります。

目標を設定する

教室に戻ることをゴールにするのではなく、その途中のステップごとに目標を設定することで、お子さま自身が見通しを持って行動できるようになります。

「今日は朝の会だけ教室で過ごす」「週に1日は教室の近くまで行ってみる」など、達成可能な目標を一緒に考えていきましょう。

大切なのは、お子さまのペースを尊重することです。

周囲が「早く戻ってほしい」と焦ると、かえってプレッシャーになり逆効果になることもあります。

小さな目標でも達成できたときにはしっかりと認めてあげることが、自信と意欲につながります。

学校と連携する

教室復帰には、保護者様と学校との連携が欠かせません。

担任の先生や支援員と定期的に話し合い、お子さまの様子や希望、変化を共有することで、無理のないステップを一緒に考えていくことが大切です。

たとえば、復帰のタイミングや方法、周囲のサポート体制などをあらかじめ話し合っておくことで、お子さまにも安心感が生まれるでしょう。

また、復帰後の教室でのフォロー体制についても確認しておくと、戻ったあとも不安を抱えずに過ごしやすくなります。

徐々に復帰を目指す

教室復帰は、一朝一夕で叶うものではありません。

最初は短時間だけ教室の近くに行ってみる、次は休み時間に少し顔を出してみるなど、段階的なステップを踏むことが成功の鍵となります。

焦らず少しずつ「教室の雰囲気に慣れる」ことを目標にすることで、お子さま自身も無理なく進めることができるでしょう。

また、復帰に向けての動きが見えてくると、お子さまの中でも「やってみよう」という前向きな気持ちが芽生えやすくなります。

途中で立ち止まることがあっても、それは失敗ではありません。

一歩ずつ、お子さまのペースに合わせて、柔軟に対応していく姿勢が大切です。

家庭でできる別室登校へのサポート

家庭でできる別室登校へのサポート

別室登校を続けていく上で、家庭のサポートはとても大切です。

学校だけでなく、家庭でもお子さまが安心できる環境を整えることで、気持ちの安定や登校の継続につながります。

ここでは、保護者様が日常の中で実践できるサポートについて紹介します。

子どもの気持ちに寄り添う

別室登校をしているお子さまは、「みんなと同じようにできない自分」への不安や劣等感を抱えていることがあります。

そんな繊細な気持ちに寄り添うことは、家庭でできるもっとも大切なサポートの一つです。

無理に励ましたり、「早く戻ろうね」とプレッシャーをかけたりするよりも、まずは「頑張って登校していること」をしっかり認めてあげましょう。

さりげない声かけが、お子さまの安心感につながります。

また、気持ちを言葉でうまく表現できない場合もあるため、表情や行動の変化にも目を配り、思いをくみ取る姿勢が大切です。

生活リズムを整える・維持する

別室登校は教室への登校に比べて自由度が高いため、油断すると生活リズムが崩れがちになります。

朝起きる時間がバラバラになったり、学校への行き渋りが再発したりすることもあるため、家庭でのサポートが重要です。

朝はできるだけ同じ時間に起きて、決まった時間に食事や準備をする習慣を意識しましょう。

通学が難しい日でも、「朝の支度だけはしてみよう」など、日常の流れを維持すると心と体の安定につながります。

また、帰宅後はリラックスできる時間をしっかりと確保し、疲れを溜めないよう調整していくことも大切です。

家庭での安定した生活が、教室復帰への土台となります。

学校との橋渡し役を担う

別室登校を継続していく上で、学校とのやり取りがスムーズであるかどうかは大きなポイントです。

しかし、お子さま自身が先生に気持ちを伝えるのは難しいこともあるため、保護者様が橋渡し役を担うことが必要な場面もあります。

たとえば、「今どんなことで困っているか」「何を頑張っているか」など、家庭での様子を学校側に伝えることで、より適切なサポートが受けやすくなります。

また、学校からの情報をわかりやすくお子さまに伝えたり、復帰までのステップを一緒に考えたりする役割も大切となるでしょう。

保護者様が間に立つことで、お子さまが学校に対して不安を感じすぎず、安心して過ごせるようになります

保護者のケアも忘れない

お子さまの不調や登校の不安が続くと、保護者様も心身ともに疲れが溜まりやすくなります。

「自分のせいではないか」と責任を感じたり、出口の見えない不安に襲われたりすることもあるでしょう。

そんなときこそ、保護者様自身のケアが必要です。

信頼できる友人に話を聞いてもらったり、カウンセリングを利用して気持ちを整理したりすることで、心の余裕を取り戻すことができます。

また、家庭で明るく落ち着いた雰囲気を作るためにも、保護者様の心身の安定は欠かせません。

お子さまの回復を長い目で支えていくためにも、ご自身の心の健康を大切にしていきましょう。

お子さまの別室登校で悩んだときに利用できるカウンセリングについては、次の記事でさらに詳しく解説しています。カウンセリングの効果を紹介しているため、あわせてご覧ください。

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別室登校は、お子さまにとって無理なく学校とつながるための大切な選択肢です。

一方で、教室との距離感や将来の見通しに不安を感じたり、「このままでいいのだろうか」と悩んでしまうこともあるかもしれません。

そのようなときは、家庭だけで抱えこまず、外部の支援を頼ってみましょう。

不登校こころの相談室」では、学校に行きづらいとを感じているお子さまとその保護者様に寄り添い、丁寧にお話をうかがいます。

オンラインカウンセリングであるため、自宅から安心して相談できることも魅力の一つです。

登校の悩みは、家庭ごとに背景も状況も異なります。

だからこそ、第三者の視点で話を整理する時間が、お子さまにとっても保護者様にとっても大きな支えとなるはずです。

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執筆:maple

フリーランスライター。大学院での研究や心理士としての勤務経験、自身の子育て経験をもとに、教育やメンタルヘルスに関する記事を多数執筆。専門分野は、心理療法と精神疾患。最新のデータや論文などの一次情報を正しく取り扱うこと、読者に安心感を届けることをモットーに活動中。

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