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不登校は親のせいではない

不登校の問題に直面すると、多くの保護者様は自分を責めてしまいます。しかし、不登校はさまざまな要因が複雑に絡み合って起こる結果であり、保護者様だけの責任ではありません。むしろ、不登校を通じてお子さまの内面や社会の変化を理解する大切な時期だととらえられるのではないでしょうか。
ここでは、不登校が保護者様だけの責任ではない理由を、お子さまを取り巻く社会の変化や成長過程の観点からくわしく解説します。
子どもの身体が動かない理由
不登校のお子さまのなかには「学校に行きたいのに体が動かない」状態になっているケースも少なくありません。これは単なる怠けや甘えではなく、自律神経系の乱れが大きく関係しています。
ストレスや不安が続くと自律神経系のバランスが崩れ、身体にさまざまな影響を及ぼします。不登校のお子さまの場合、以下のような症状がみられるでしょう。
- 朝起きられない:睡眠リズムの乱れにより起床が困難になる
- 胃腸の不調:不安やストレスによる胃痛や吐き気
- 頭痛や倦怠感:自律神経の乱れによる身体的な不調
- 動悸や呼吸困難:不安感が高まり呼吸が乱れる
これらの症状は、長期的なストレスや不安などの心理的要因が積み重なって生じています。自律神経系の乱れは、本人の意志とは関係なく起こっているため「頑張って学校に行きなさい!」といっても解決しない場合が多いのです。
社会的変化の影響
現代社会は急速に変化しており、お子さまは保護者様の世代とは異なる多くのストレスや課題に直面しています。これらの社会的変化が、不登校の要因となりうる問題を生み出していると考えられます。
- SNS利用の低年齢化:ソーシャルメディアの普及によるいじめの形態が変化
- 競争の激化:将来の就職や社会での成功のためにより高いスキルが求められる
- 価値観の多様化:さまざまな生き方や価値観に触れる機会が増えた
- 家族形態の変化:核家族化や共働き世帯が増え家庭内コミュニケーションが減少
- 経済的格差の拡大:経済的な問題から教育や家庭環境の違いが生じる
これらの社会的変化は、お子さまに過度のストレスがかかるほか、心理的な安定や学校生活への適応に影響を与える場合があります。保護者様の力だけでは解決が難しい問題といっていいでしょう。
子どもの成長過程
不登校は、お子さまの成長過程における大切な期間でもあります。以下の視点から不登校をとらえると、保護者様は自責の念から解放されお子さまの成長をポジティブにサポートできるのではないでしょうか。
- 思春期・青年期の急激な心理的変化
- 学業や人間関係のストレスに対する防衛反応
- 言葉で表現できない困難や不安のサイン
- 自己理解を深める時期
- 学校という枠組みが窮屈
これらは、不登校はお子さまの成長過程における1つの通過点で、必ずしもネガティブなものではありません。
不登校の子を持つ親の対応

不登校は、お子さまの課題であるのは確かです。しかし、保護者様の対応によって不登校からの回復がスムーズになったり、親子関係が改善されたりと大きな変化をもたらすでしょう。ここからは、不登校の子どもにできる親の対応を詳しく解説します。
①子どもとの信頼関係を築く
親子の信頼関係は、不登校の状況を改善するうえで最も重要な基盤です。お子さまの不登校で悩んでいる保護者様のなかには、お子さまが思春期でコミュニケーションを取るのも困難な状態にいる方もいるでしょう。しかし、思春期期だからこそお子さまの言動を批判したり否定したりするのではなく、共感的な姿勢で接するのが大切です。
なぜなら、思春期にいるお子さまは敏感で保護者様の態度に強く反応するからです。批判や否定は親子関係を悪化させてしまいかねません。逆に、共感的な姿勢は心を開くきっかけになります。
家庭内でコミュニケーションがある場合も、お子さまの話に耳を傾け共感する姿勢を心がけてください。たとえ、お子さまの話が保護者様の考えと異なる場合でも、まずは「そう思ったんだね」と受け止めましょう。正論で責めるのではなく、お子さまの想いや価値観を尊重するのが大切です。
ただし、これはお子さまのすべての要求を受け入れるわけではありません。お子さんの機嫌を取るために言いなりになっていては、信頼関係が築けるどころか逆効果です。柔軟性を持ちつつも、一貫性のある態度で接すれば保護者様は信頼できる存在として認識されるでしょう。
②安全で居心地のいい家庭環境を作る
不登校のお子さまにとって、ストレスフリーで安心できる居場所は必要です。なぜなら、安心安全の環境がお子さまの心の安定と回復をうながし、自己肯定感の向上につながるからです。学校生活にストレスを感じ、我慢し続けて不登校になってしまったお子さまには、まずは家庭を安心できる居場所にするのが望ましいでしょう。
家庭を安心安全の場所にするには、保護者様や一緒に住む家族が不登校のお子さまに対して批判や非難をせず受容する姿勢が大切です。
③甘えさせてあげる
不登校になりはじめのころは、保護者様はお子さまに対して厳しい態度を取ってしまう保護者様は多いのではないでしょうか。しかし、不登校を怠けととらえて厳しく接するよりも、むしろ甘えさせてあげるのが重要です。なぜなら、甘えはお子さまの心の安定と自己肯定感の回復に効果的だからです。
「甘えさせてあげる」のは、物理的な欲求をすべて受け入れる「甘やかし」とは異なります。お子さまの要求を過度に聞き入れたり、また頼まれてもいないのに手伝ったりするのは「甘やかし」になるので気をつけてください。
一方「甘えさせてあげる」のは、お子さまの情緒を満たしてあげる行為です。情緒面が満たされれば、安心感や満足感を得られ活動する意欲の源になります。適度な甘えは、お子さまの心の安定につながり、将来的な自立心の育成にも役立つでしょう。
④適切な学習支援
不登校中でも、勉強する意欲があるお子さまには学習の機会を確保するのは大切です。ただし、強制ではなく、お子さまのペースに合わせて学習を進めるようにしましょう。学校に行けなくても、オンライン学習サービスなどを利用して自主学習ができれば、勉強の遅れを心配する必要はありません。
インターネット上で授業を受けられるオンライン学習は、パソコン、スマートフォン、タブレットがあれば自分のペースで勉強を進められます。また、学年の枠組みもないので、興味関心のある科目はどんどん学習を進められるでしょう。小・中学生を対象としたオンライン学習サービスであるサブスタなら、お子さま一人ひとりに合わせた「学習計画表」で、無理なく学びを進められます。
⑤学校との連携
不登校の期間中は、保護者様が担任やスクールカウンセラーとお子さまの状況を共有しておくのも重要です。スクールカウンセラーは不登校に関する専門的な知識があります。面談を通じて専門的なアドバイスを得られる場合もあるでしょう。
学校との連携を通じて、お子さまの状況に配慮しつつ、進路を見据えたサポートを受けることも可能です。また、復学を目指す場合はお子さまの状況に応じた柔軟な対応を検討してもらえるでしょう。
⑥学校以外の学びを探求
学校というコミュニティに窮屈さを感じていたり、集団行動が苦手だったりするお子さまには学校以外の学びの場を探す必要があるかもしれません。フリースクールなどの活用は、お子さまの社会性や活動意欲の維持に役立ちます。
フリースクールは、それぞれのスクールによって理念は異なるものの、比較的自由な学習環境でさまざまな体験活動の機会が設けられています。信頼できるスタッフや、同じような経験を持つ仲間との出会いがあるかもしれません。可能であれば施設の見学や体験入学を検討し、お子さまの反応をみて検討するようにしましょう。
学校以外の学びの場が見つかれば、新たな人間関係が構築でき自己肯定感も高められます。また、多様な学習経験を通じて将来の進路選択の幅も広がるでしょう。
⑦長期的な視点で未来を考える
保護者様は、お子さまの不登校に直面すると目の前の問題だけにとらわれがちです。不登校は成長過程における必要な休息期間と割り切って、長期的な視点を持って過ごしてみてはどうでしょうか。
不登校を成長過程の一部としてとらえられると、より適切な支援が可能です。保護者様が「勉強に遅れてしまう」「引きこもりになったらどうしよう」と焦って、お子さまをなんとかしようとすると逆効果になる場合があるので気をつけてください。
保護者様の適切な対応とサポートにより、不登校はお子さまの成長と自立につながる貴重な機会となる可能性があります。長期的な視点を持ち、焦らずにお子さまを支援するのが保護者様の最も重要な役割といえるでしょう。
不登校からの回復のプロセスを理解する

不登校からの回復プロセスにおいて、回復のサインを見逃さないのは非常に重要です。保護者様がお子さまの小さな変化に気づき、適切に対応できれば回復を後押しが可能でしょう。回復のサインには以下のような様子が挙げられます。
- 生活リズムの改善
- 表情や声のトーンが明るくなる
- 家族とのコミュニケーションが増える
- 趣味や興味関心が広がる
- 勉強や手伝いを自主的に行う
- 将来に関する前向きな発言がある
これらのサインは個人差があり、必ずしもすべてが現れるわけではありません。しかし、日々のお子さまとの関わりのなかで、小さな変化を見逃さないようにするのが大切です。
お子さまの変化は肯定的に受け止め、過度な期待はせずお子さまのペースを尊重します。常に温かく見守る姿勢を保ちつつ、お子さまが自分のペースで成長していけるよう、柔軟に対応していくのが重要です。
不登校の回復期については、以下の記事でもくわしく解説しています。
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親自身のケアを大切にする

不登校のお子さまを持つ保護者様は、お子さまのケアに全力を注ぐあまり、自身のケアをおろそかにしがちです。保護者様が自分自身のケアを怠ると、お子さまへのサポートの質も低下してしまうでしょう。また、家庭内の雰囲気にも影響を及ぼしてしまいます。
保護者様自身のケアは、単なる自己満足ではなく不登校のお子さまへのより良い支援のための不可欠な要素かもしれません。自分自身を大切にして心と身体の状態を整えておかなければ、安定した態度でお子さまに接するのは困難です。ここでは保護者様自身のケアについてお伝えします。
ストレス管理の重要性
不登校のお子さまを持つ保護者様は、日々大きなストレスにさらされています。お子さまの将来に対する不安や家族関係の変化など、さまざまなストレスを抱えているのではないでしょうか。保護者様の心と身体の健康を維持するうえで、このようなストレスを軽減するのは重要です。
ストレス管理で大切なのは、自身のストレス状態を認識することです。頭痛や肩こり、不眠などの身体的な症状や、イライラしたり落ち込んだりする心理的な症状に注意を払い、早めに対処するよう心がけてください。ストレス解消の方法は、以下のような方法が効果的です。
- 適度な運動や散歩
- 趣味や楽しみの時間の確保
- 瞑想やヨガなどのリラックス法の実践
- 十分な睡眠と栄養バランスの良い食事
また、専門家によるカウンセリングやセラピーを利用するのも有効です。客観的な視点から自身の状況を見つめ直し適切なアドバイスを得ると、ストレスへの対処能力が高められます。
同じ経験を持つ親との交流
不登校のお子さまを持つ保護者様にとって、同じ経験を持つほかの保護者様との交流は心強いものです。孤独感や不安感が軽減されるだけでなく、実践的なアドバイスや情報を得る機会にもなるでしょう。ほかの保護者様の経験から学びを得られる場合もあります。
具体的には、以下のような情報やサポートが得られるでしょう。
- 不登校への対処法や成功事例の共有
- 地域の支援サービスや専門家の情報
- 学校や行政との交渉のコツ
- 新しい視点や考え方との出会い
ただし、ほかの家庭の状況と自分の家庭の状況を単純に比較しないよう注意が必要です。解決策は同じとは限りません。ほかの保護者様の経験を参考にしつつも、自分の家庭に最適な方法を見つけるのが大切です。
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親は親で自分の人生を歩む
お子さまの不登校に直面すると、すべての時間とエネルギーをお子さまのために使わなければならないと思いがちです。しかし、保護者様が疲弊してしまっては、適切なサポートは続けられません。
適度に自分の時間を持ち心身ともにリフレッシュできれば、結果的にはお子さまへのより良い支援につながります。また、保護者様が自身の人生にフォーカスできれば、お子さまとの適度な距離感を保てます。
保護者様はお子さまの状況にすべてを合わせるのではなく、自身の生活や目標も大切にしましょう。そうすれば、長期的には家族全体の幸せにつながります。保護者様が自分の人生を大切にするのは、決してお子さまをおろそかにするわけではありません。むしろ、保護者様が充実した人生を送れば、お子さまに対してもより豊かに接することができるようになります。ただし、どちらかに偏りすぎず、バランスを取るようにしてください。
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まとめ

不登校は、いくつかの要因が複雑に絡みあって起こった結果であり、親の責任だけではありません。お子さまを取り巻く社会の変化や、成長過程における自律神経系が崩れて症状が出ているとも考えられます。
しかし、保護者様の適切なサポートがあれば、不登校のお子さまの状態は徐々に回復していくでしょう。この記事では、適度な甘えを許して親子関係を見直したり、必要に応じて学校外の学びの場を探したりするなど、親の対応をお伝えしました。
不登校は、子どもの成長と自立につながる機会となる可能性があります。保護者様が適切に対応し、柔軟かつ一貫した態度で接すれば、子どもの自己肯定感は高まり将来の選択肢も広がっていくでしょう。不登校の回復のプロセスは、お子さまによって異なります。お子さまの小さな変化に注目し対応していくと同時に、保護者様自身のケアも忘れないでください。