不登校のカウンセリングで「何が」変わるのか?

「カウンセリング=すぐに学校に行けるようになる」と期待される保護者様は多いかもしれません。しかし、実際の変化はもっと多面的でじっくりと現れるものです。
ここでは、カウンセリングでお子さまやご家庭にどのような変化が起きるのかをお伝えします。
すぐに「毎日登校」になるわけではない
多くの保護者様が期待されるのは「学校に毎日行けるようになること」です。しかし、カウンセリングの目的はそれだけではありません。実際のカウンセリングでは、まずお子さまの心の安定を優先します。無理に登校を促すのではなく、お子さまが少しずつ前に進める状態を整えることが大切だからです。
結果として、「週に数日は登校できるようになった」「親子の会話が増えた」といった変化が見られます。完全な解決ではなくても、確実に良い方向に進んでいると実感できるのがカウンセリングです。
不登校のお子さまは段階を経て回復していくもの。今お子さまがどの段階にいるのかがわかれば、適切なサポートができるようになります。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
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保護者様の不安が軽くなる
不登校のお子さまがいる保護者様は、「私の育て方が悪かったのでは?」「この先どうなるのだろう…」と、常に不安を感じています。
カウンセリングでは、保護者様へのサポートも重視します。専門家と一緒にお子さまへの接し方を整理し、見守るべきか・行動すべきかの判断基準がわかるようになるでしょう。これにより、保護者様自身の心が軽くなります。
保護者様の心が安定すると、家庭全体の雰囲気が変わっていきます。
変化には時間がかかることを理解する
カウンセリングの効果は、数週間で劇的に現れるものではありません。多くの場合は時間をかけて、少しずつ変化が見えてきます。
焦らず、お子さまのペースにあわせて進めることが何より大切です。
「不登校こころの相談室」実際のカウンセリング事例

ここからは、不登校のお子さまの状況が回復へ向かう3つの事例をご紹介します。お子さまの年齢や状況は異なりますが、それぞれのケースからカウンセリングでどのような支援が行われ、どんな変化が生まれたのかを具体的にお伝えします。
お子さまの状況に近い事例があれば、ぜひ参考にしてください。
【事例①】小学1年生・登校しぶりへの早期対応
小学1年生のお子さまのケースは、早期対応の重要性を示す事例です。
夏休み明けから「お腹が痛い」と訴える日が増え、週3日しか登校できなくなりました。家では元気なのに、学校のことを考えるとイライラして、思い通りにいかないと物を投げるそぶりも見せる日もあります。
保護者様は、まだ小1なので様子を見るべきかと迷っていました。しかし、今のうちにどう向き合ったらいいかを知りたいと、カウンセリングを受けることにしました。
▶︎カウンセリングの内容
保護者様だけのカウンセリングを週1ペースで開始。特に、以下の点が効果的でした。
- 朝の声かけは励ますのではなく、共感型に変更
- 「学校に行く・行かない」の二択ではなく、「今日は何時間目まで頑張れそう?」といった段階的な目標を設定
- YouTube・ゲームを完全には禁止しない
- 学校側には、出席日数よりも教室に入るまでの成功体験を大事にしたいと伝える
▶︎3〜6ヶ月後の変化
登校は週3〜4日ペースで安定し、短時間なら教室に入れる日が増えました。癇癪は激減し「嫌な気持ち」を言葉で伝える場面が増えています。
保護者様も「休ませる基準」「無理をさせないライン」を持てるようになり、表情が和らぎました。完全解決ではないものの、波があるのは自然だと捉えられるようになり、家庭全体の雰囲気が落ち着いています。
▶︎この事例のポイント
登校しぶりの段階で適切な対応ができれば、状況が大きく悪化する前に改善の道筋が見えてきます。様子を見ようと先延ばしにせず、早めの相談が効果的です。また、小学校低学年の場合は、保護者様のかかわり方でお子さまの行動は大きく変わります。
【事例②】中学1年生・HSC気質の子どもへの適切なサポート
私立中高一貫校に通う中学1年生のお子さまは、もともとHSC気質で集団生活が苦手でした。中学校では「クラスに居場所がない」「部活の人間関係がしんどい」と訴え、部活は3ヶ月で退部。その後、完全不登校になりました。
不登校後は泣く回数が増え、保護者様もどう励ませばいいのかわからず、つい口うるさくなっていました。お子さまへの対応に限界を感じてカウンセリングを受けることにしました。
▶︎カウンセリングの内容
お子さまのカウンセリングと保護者様のカウンセリングの両方を週1で開始。
- 学校・友達関係の「嫌だった出来事」を振り返り、何がつらかったか、そのときどんな考えが浮かんだかを整理
- お子さまには、敏感さを「ダメなところ」ではなく「長所と短所の両面がある」と捉え直すワークを実施
- 保護者様の「頑張らせようとする声かけ」を、気持ちを代弁して選択肢を一緒に考えるスタイルへ変更
- 無理なく通える範囲で見守ってほしいなど、学校への伝え方を整理
▶︎3〜6ヶ月後の変化
行けない日があるものの、週3〜4日は登校できるように。気が合う友達とだけ話す時間を持つなど、自分なりの過ごし方を見つけ始めています。
泣く頻度が減り、保護者様との会話も増えました。保護者様は、お子さまの性格から学校に戻ることだけをゴールにしなくていいと考えられるようになりました。
▶︎この事例のポイント
HSCなど敏感な気質のお子さまには、「みんなと同じように」を求めるのではなく、その子に合った過ごし方を一緒に見つけることが大切です。お子さまには自己理解を深めるワークを、保護者様にはかかわり方の変更を提案した結果、双方に良い変化が生まれました。
【事例③】高校3年生・深刻な引きこもりでも諦めない
高校3年生のお子さまのケースは、深刻な引きこもりです。
中学卒業後は私立高校へ進学しましたが、通信制+サポート校に移りました。もともと勉強はできるお子さまで難関大学への進学を目指していました。
しかし、サポート校の塾長の何気ない一言をきっかけに、「全否定された」と感じてしまい勉強に全く手がつかなくなります。その後、完全ひきこもりに。
部屋に鍵をかけ、食事もほとんど取らない日があり「殺してくれ」「もうすべて終わりにしたい」といった言葉も出ていました。保護者様は、常にお子さまの命の心配を抱えた状態でした。
▶︎カウンセリングの内容
まずは、保護者様だけでカウンセリングを集中的に実施
- これまで受けてきたアドバイスが、かえって保護者様を追い詰めていたことを整理
- 「命の安全を守るライン」と「長期戦で見守るライン」をわけて考える
- 保護者様の睡眠・仕事・生活リズムの確保を優先
- お子さまへの直接介入は行わず、家庭での安全確保を最優先にした
▶︎3〜6ヶ月後の変化
部屋にこもる時間は長いものの、週に数回は保護者様とLINEでやり取りができるようになりました。食事を2日続けて取らないような状態は減り、最低限の生活リズムは維持できるように。
保護者様が「なんとかしなければ」から「今は命と生活を守るフェーズ」という認識に変わり、ご自身の休息も確保できるようになりました。お子さまからは、オンラインカウンセリングへの関心が出始めています。
▶︎この事例のポイント
急いで解決を目指さず、命と生活を守ることを最優先にしました。保護者様が追い詰められないようにし、長期的な視線で解決を目指します。引きこもりのお子さまを焦って無理に引っ張り出そうとすると、かえって関係が悪化する可能性があります。安全な距離感を保ちながらも接点を維持することが重要です。
ほかにもこのようなカウンセリング事例があります!
これまでの3つの事例以外にも、以下のようにさまざまな状況のお子さまがカウンセリングを通じて変化を遂げています。
| 学年性別 | 不登校の主な状況 | 主なアプローチ | 3〜6ヶ月後の変化 |
| 小4 男子 | ・母親の別居後、五月雨登校 ・登校時に腹痛・頭痛 ・父親が将来を不安視 | ・父親カウンセリングで罪悪感 ・焦りを整理 ・責める言い方を減らす練習をした | ・週の半分までは登校できるまでに回復 ・父子の会話が増え、お子さま自身が計画を立てるように |
| 小6 女子 | ・担任への恐怖と友達トラブル ・週1午後のみ登校 ・複数の支援機関を利用した | ・登校よりも自尊感情を育てる関わり方に焦点をあてる ・過去の支援を整理 | ・登校回数は変わらないが、家族以外の大人と話せるように ・親子関係が穏やかに |
| 中3 女子 | ・入院後に体力低下 ・登校時に息苦しさ ・不安発作 ・欠席50日超えで高校進学が難しい | ・不安時の呼吸法やセルフケアを練習 ・スモールステップの外出を計画 | ・月数回は学校近くまで行けるように ・短時間保健室登校も実現 ・不安発作の減少 |
| 高3 男子 | ・部活引退後、体調不良をきっかけに欠席が増える ・欠課数が多く卒業できるか不安 ・仲のいい友達とは遊べる | ・卒業 ・受験 ・健康の優先順位を整理 ・目標を現実的なラインに調整 | ・週2〜3日登校で卒業ラインを確保 ・自分で決める習慣がつく ・進路の視野が広がる |
| 高2 女子 | ・通学中のバスで強い吐き気 ・登校しようとすると気持ち悪くなる ・昼夜逆転気味 | ・吐き気の前兆を振り返り不安へのセルフケア ・成功体験の積み上げ ・登校のタイミングを家族で共有 | ・近場なら家族とドライブが可能に ・吐き気がしても落ち着いて考えられるように |
このように、お子さまの年齢、不登校の原因、家庭環境によって、カウンセリングのアプローチは異なります。しかし、いずれの事例も「すぐに登校」ではなく、心の安定と小さな成功体験の積み重ねで、確実な変化が生まれています。
不登校にカウンセリングが効果的な3つの理由

ここでは、なぜカウンセリングが効果的なのか、事例に共通する3つの理由をお伝えします。
① 保護者様への支援がお子さまの変化につながる
ご紹介した事例では、保護者様へのカウンセリングが実施されています。これは、不登校の改善において、保護者様のかかわり方が非常に重要だからです。保護者様の不安や焦りが軽減されると、その安定感がお子さまにも伝わり、お子さまも安心して過ごせるようになります。
不登校のお子さまへの具体的なかかわり方については、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
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② スモールステップで成功体験を積む
カウンセリングでは、「毎日学校に行く」という目標ではなく、「今日は2時間目まで」など、達成可能な小さな目標を設定します。
小さな成功体験の積み重ねで、お子さまの自信は少しずつ回復していきます。また、「できなかった日」も責めずに、「次はどうするか」を一緒に考えると、お子さまが自分で考え、決める力も育っていくでしょう。
③ 保護者様が学校に相談する際のサポート
不登校の改善には、学校との適切な連携が欠かせません。しかし、保護者様の中には、学校に何をどう伝えたらいいかわからず距離を取ってしまう方も多くいらっしゃいます。
カウンセリングでは、保護者様が学校に相談する際の「伝え方」や「確認すべきポイント」を一緒に整理します。実際に学校へ連絡したり相談したりするのは保護者様ですが、その準備をカウンセラーが一緒に考えることで、保護者様は動きやすくなるでしょう。
不登校の回復を目指す際、学校と家庭が同じ方向を向いた支援体制は欠かせません。
最後に | 不登校の悩みは、専門家と一緒に考えましょう!

この記事では、「不登校こころの相談室」のカウンセリング事例をご紹介しました。事例からもわかるように、カウンセリングは「すぐに学校に戻す」ことが目的ではありません。お子さまの心の安定、保護者様の不安の軽減、家族関係の改善など、確実な変化をもたらすものです。
「うちの子の場合はどうなんだろう?」「カウンセリングを受けるべきか迷う…」といった悩みをお持ちの保護者様は、「不登校こころの相談室」のAI診断(無料)を試してみてください。
AI診断では、簡単な質問に答えるだけで、お子さまの現在の状態を客観的に把握できます。「今必要なサポートは何か」「どんな関わり方が効果的か」といった方向性が見えてきます。
診断結果をもとに、必要に応じて不登校に特化した専門のカウンセラーへの相談も可能です。今回ご紹介した事例のように、お子さま一人ひとりの状況に合わせたカウンセリングを提供しています。
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「不登校こころの相談室」が、お子さまと保護者様に寄り添い、全力でサポートいたします。
















