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不登校の親が「メンタル崩壊」する状態とは

お子さまの不登校が続くと、保護者様の心には日々大きな負担がかかります。「いつまで続くのか」「このままで大丈夫なのか」という不安が積み重なり、やがて心が限界を超えてしまう場合があります。これが「メンタル崩壊」と呼ばれる状態です。単なる疲れやストレスとは異なり、心と体が悲鳴を上げている危険な状態といえるでしょう。
実際、不登校の保護者様の多くが心理的な負担を抱えており、専門家のサポートを必要としています。ここでは、メンタル崩壊とは何か、そしてなぜ不登校の親はメンタル崩壊しやすいのかをくわしくお伝えします。
メンタル崩壊とは何か
メンタル崩壊とは、通常の疲れやストレスのレベルを超えて、心と体が機能しなくなる状態を指します。例えば、朝起きられない、何もする気力が湧かない、感情のコントロールができなくなるといった症状が現れます。
日常生活が困難になり、家事も育児もままならなくなってしまう場合もあるでしょう。些細な出来事で涙が止まらなくなったり、逆に何も感じなくなったりします。「自分はもうダメだ」「すべてが無意味だ」といった思考に支配され、現実と向き合う力を失ってしまうのです。
こうなると、専門的なサポートが必要な状態と考えられます。「気の持ちよう」や「頑張れば何とかなる」というレベルではありません。
メンタル崩壊は、誰にでも起こり得る状態です。決して「弱い人」や「努力が足りない人」に起こるわけではありません。むしろ、真面目で責任感が強く、限界まで頑張ってしまう保護者様ほど、メンタル崩壊に陥りやすい傾向があります。
なぜ不登校の親はメンタル崩壊しやすいのか
不登校の保護者様がメンタル崩壊しやすいのには、いくつかの理由があります。まず、「いつまで続くのか」「本当に良くなるのか」といった終わりの見えない不安です。
また、お子さまが家にいる時間が長くなると、保護者様は常に気を張っていなければなりません。「今日は学校に行けるだろうか」「何か声をかけるべきか」と、休まる時間がないのです。
周囲の無理解と孤立も大きな要因です。「甘やかしているからだ」「もっと厳しくすべき」といった心ない言葉に傷つき、誰にも相談できなくなってしまいます。SNSでほかの家庭の楽しそうな様子を見るたびに、孤独感は深まるばかりです。
さらに、自分の人生を犠牲にしている感覚も重くのしかかります。仕事を辞めざるを得なくなったり、友人との付き合いを断ったりする保護者様も少なくありません。
これらの要因が複雑に絡み合い、保護者様の心は少しずつ壊れていくのです。小さなストレスが積み重なり、やがて限界を超えた瞬間に起こります。
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不登校の親、メンタル崩壊の危険なサイン

メンタル崩壊は、ある日突然起こるわけではありません。心と体は、限界が近づくとさまざまなサインを出しています。しかし、多くの保護者様は「まだ大丈夫」「これくらいは我慢できる」と、そのサインを見過ごしてしまいがちです。
ここでは、メンタル崩壊の危険なサインを、体・心・行動の3つの側面からお伝えします。
体に現れるサイン
体は正直です。心が限界に達すると、体にさまざまな症状が現れます。まず、睡眠の問題が挙げられます。夜なかなか寝つけない、何度も目が覚めるなど、十分な休息が取れないため慢性的な疲労感に襲われるでしょう。
また、食べ物を受け付けなくなったり、逆に食べる行為でストレスを紛らわせようと過食になったりします。さらに、頭痛、めまい、動悸、胃痛、吐き気などが頻繁に起こります。病院で検査しても異常が見つからない場合、それは心からのSOSかもしれません。
心に現れるサイン
些細な出来事で涙があふれてきたり、悲しいニュースを見ても何も感じなくなったりします。涙が止まらない、または逆に感情が麻痺しているといった極端な状態も危険です。また、ほんの小さなことがきっかけで爆発的に怒ってしまうケースもあるでしょう。お子さまのちょっとした言動や、配偶者の何気ない一言に対して、自分でも驚くほど激しく怒ってしまうのです。あとから後悔するものの、コントロールはできません。
心の変化は、体の症状よりも気づきにくい場合があります。まず、何もかもがどうでもよくなる感覚です。「消えてしまいたい」「いなくなりたい」という思いが頭をよぎるようになったら、非常に危険な状態です。
行動に現れるサイン
心と体の不調は、日常の行動にも影響を及ぼします。まず、家事ができなくなります。洗濯物が溜まっていても、食器が流しに山積みになっていても、手をつける気力が湧きません。「やらなければ」とわかっていても、体が動かず行動できないのです。
人と会いたくなくなるのも典型的なサインです。友人からの誘いを断り続け、家族との会話も最小限になります。電話やメールの返信すら面倒に感じ、社会から孤立していきます。
メンタル崩壊になる前の予防策や日常的な心がけについては、こちらの記事も参考にしてください。
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メンタル崩壊寸前の不登校の親が今すぐできる3つの対処法

メンタル崩壊の危険なサインに気づいたら、すぐに対処を始める必要があります。「お子さまのために頑張らなければ」といった気持ちはわかります。しかし、保護者様が倒れてしまっては、お子さまを支えることもできません。
ここでは、メンタル崩壊寸前の保護者様が今すぐ実践できる3つの対処法をお伝えします。
①一時的に距離を取る勇気を持つ
メンタル崩壊寸前の状態では、お子さまと24時間一緒にいるのは非常に危険です。まずは、お子さまから物理的に離れる時間を作ってください。「そんなことできない」と思うかもしれません。しかし、これは「逃げ」ではなく「回復のため」なのです。
具体的には、実家や友人の協力を得てお子さまと離れる時間を検討してください。数時間でもかまいません。お子さまがいない数時間で、心に余裕が生まれます。「離れるなんてかわいそう」と思う必要はありません。保護者様が壊れてしまう方が、お子さまにとってつらい状況なのです。
保護者様自身が一時的に家を出る方法もあります。1人でホテルに泊まる、温泉に行くなど、環境を変えるだけで心が楽になる場合があります。配偶者や家族に協力を求め、数日間でも自分だけの時間を確保してください。
罪悪感を手放すのも重要です。「お子さまを置いて自分だけ休むなんて」といった気持ちが湧いてくるかもしれません。しかし、保護者様が心身ともに健康でなければ、お子さまを長期的に支えることはできません。一時的に距離を取るのは、より良い親子関係を築くための必要なステップなのです。
②完璧な親を諦める
メンタル崩壊寸前の保護者様の多くは、完璧主義の傾向があります。「すべてを1人でやらなければ」「きちんとした親でいなければ」という思い込みが、あなたを追い詰めているのです。今こそ、その思い込みを手放すときです。
すべてを1人で背負わないでください。家事も育児も、できないことはできないと認めましょう。食事は惣菜やデリバリーでかまいません。掃除は最低限でいいのです。洗濯物が溜まっていても、命に関わるわけではありません。
家事も育児も手を抜いていいのです。「手抜き」ではなく「優先順位をつけている」と考えてください。必要なのは、心と体の回復です。それ以外のことは、すべて後回しにしてかまいません。
優先順位をつける基準は明確です。お子さまの食事と安全が確保されていれば、それで十分。完璧な家事よりも、穏やかな保護者様の存在の方が、お子さまにとってはるかに重要なのです。不完全でも、笑顔でいられる保護者様の方が、お子さまは安心できるでしょう。
③感情を吐き出す場所を作る
メンタル崩壊寸前の状態では、心の中に溜まった感情を吐き出すことが不可欠です。「弱音を吐いてはいけない」「愚痴を言うのは恥ずかしい」という思いを捨ててください。感情を抱え込み続ける状況こそが、メンタル崩壊につながるのです。
まずは、誰かに話すことから始めましょう。家族、友人、カウンセラーに「つらい」「もう無理」「助けてほしい」と、正直な気持ちを言葉にしてください。話すだけで、心が軽くなる場合があります。
不登校の親の会などに参加するのも効果的です。同じ悩みを持つ保護者様と話してみると「自分だけじゃないんだ」という安心感が得られます。オンラインの親の会もあるため、自宅から参加できます。共感してもらえる場所があるだけで、孤独感は大きく軽減されるでしょう。
泣きたいときは我慢せず泣いてください。涙には感情を浄化する効果があります。「泣いても仕方ない」と我慢する必要はありません。1人になれる場所で、思い切り泣くのも大切な感情の発散方法です。
専門家の力を借りることも、感情を吐き出す有効な方法です。カウンセラーは、あなたの話を否定せず、評価もせず、ただ受け止めてくれます。「不登校こころの相談室」のオンラインカウンセリングなら、自宅から安心して相談できます。
これらの対処法を試しても改善が見られない場合や、すでに限界を超えていると感じる場合は、専門家の力を借りることをためらわないでください。さらに詳しい対処法やヒントを知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
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最後に | 「不登校こころの相談室」ができること

メンタル崩壊は決して「弱さ」ではなく、限界まで頑張った証です。体や心に現れる危険なサインを見逃さず、一時的に距離を取る、完璧を諦める、感情を吐き出すといった対処法を実践してください。
メンタル崩壊から回復するには時間がかかります。焦らず、自分を責めず、少しずつ前に進む姿勢が大切です。回復には波があり、良い日も悪い日もあるでしょう。それでも、適切なサポートと周囲の協力があれば必ず回復できます。何より大切なのは、1人で抱え込まないことです。
「不登校こころの相談室」は、全国どこからでも利用できるオンラインカウンセリングサービスです。公認心理師や臨床心理士といった専門資格を持つカウンセラーが、不登校のお子さまだけでなく、保護者様のメンタルケアにも丁寧に対応します。オンラインなので、外出する気力がなくても、自宅から安心して相談が可能。
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