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五月雨登校とは?

五月雨登校とは、週に数日しか登校できず、「行く日」と「行けない日」が不規則に繰り返される状態です。
「五月雨(さみだれ)」は、断続的に降り続く梅雨の雨を意味する言葉で、転じて「途切れ途切れに学校へ行く様子」を表します。完全に登校しないわけではないものの、継続的に登校できない状態です。
ここでは、五月雨登校の典型的なパターンと完全不登校との違いについて解説します。
五月雨登校の典型的なパターン
五月雨登校のお子さまは、「学校に行きたい」気持ちと「行けない」現実の間で揺れ動いているといえるでしょう。保護者様から見ると、「昨日は行けたのに、今日は行けない」状況が理解しにくく、戸惑う方も多いかもしれません。
五月雨登校には、以下のような典型的なパターンがあります。
- 週に数日しか登校できない
登校する日としない日があり、週の半分程度しか登校できないケースが多く見られます。
- 午前中だけ登校する
登校はできるものの、午前中で体力や気力が尽きてしまい、午後は早退するパターンです。
- 好きな授業や行事の日だけ登校する
好きな授業がある日、または遠足や修学旅行などの行事の日だけ登校できるお子さまも多くいます。
- 長期休み明けは休みがち
連休や長期休暇のあとは、生活リズムや気持ちを切り替えるのが難しく、休み明けに登校できない場合があります。
- 体調不良を理由に休む日が多い
「お腹が痛い」「頭が痛い」「気持ち悪い」といった体調不良を訴え、登校できない日があります。これらは心因性の症状である場合がほとんどです。
このように、五月雨登校にはさまざまなパターンがあります。しかし、共通しているのは「完全には休まないが、継続的にも登校できない」点です。
五月雨登校と完全不登校との違い
では、五月雨登校と完全不登校はどのように違うのでしょうか。
- 登校の有無
最も大きな違いは、登校する日があるかどうかです。完全不登校は、学校にまったく登校しない状態を指します。一方、五月雨登校は、不規則ながらも登校する日があります。
- 学校への気持ち
完全不登校のお子さまは、「学校に行きたくない」「行けない」という気持ちが固まっている場合が多いでしょう。対して、五月雨登校のお子さまは、「本当は行きたい」「行かなきゃ」という気持ちと、「行けない」「つらい」という気持ちの間で揺れ動いています。
- 段階としての位置づけ
五月雨登校は、完全不登校の前段階である場合が多いでしょう。五月雨登校を経て、完全不登校に至るケースが少なくありません。
五月雨登校は、完全不登校よりも「まだマシ」と捉えがちです。しかし、実はお子さま自身も保護者様も非常につらい状態です。この段階での適切なサポートが、とても重要といえるでしょう。
五月雨登校になる原因

五月雨登校になる原因は、お子さまによってさまざまです。1つの原因だけでなく、複数の要因が重なっているケースも少なくありません。
例えば、友達とのトラブルやクラスに居場所がないなど、人間関係の問題は五月雨登校の大きな原因になり得ます。特に思春期になると人間関係はより複雑でしょう。仲良しグループから外されたり、LINEで悪口を言われたりすると、誰にも相談できず一人で抱え込んでしまう場合もあります。
また、授業の内容が理解できない、テストの点数が悪いなど、勉強面での不安も考えられるでしょう。まわりと比べて「自分だけできていない」と思うと、自己肯定感が下がり登校へのハードルが高くなるばかりです。集団行動が苦手、先生との相性が悪いなど、学校環境そのものが合わない場合も原因になります。
ほかにも、朝起きられない、頭痛、腹痛、吐き気といった体調不良も考えられます。特に、起立性調節障害の場合、午前中は体調が悪く、午後になると回復するため、午前中だけ休んだり遅刻したりする日が多くなるでしょう。
保護者様から見ると「午後は元気なのに、朝だけ調子が悪いなんて」と思われるかもしれません。しかし、これはお子さまの意思でコントロールできるものではないのです。起立性調節障害についてはこちらの記事でくわしく解説しています。併せてご覧ください。
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このように、五月雨登校の原因は多岐にわたります。お子さまが何に困っているのかを理解すれば、回復に向けて適切なサポートができるでしょう。
不登校には段階があり、五月雨登校もその1つです。お子さまが今どの段階にいるのかがわかれば、より適切なサポートが可能です。詳しくは以下の記事をご覧ください。
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五月雨登校への対応について

五月雨登校への対応は、多くの保護者様が悩むポイントです。ここでは、まず「やってはいけないこと」を確認したうえで、「親ができる対応方法」を具体的にご紹介します。
やってはいけないこと
保護者様が良かれと思う対応が、かえってお子さまを追い詰めてしまう場合があります。以下のような対応は避けましょう。
- 無理やり学校に行かせる
登校を強制したり、体調不良を仮病と決めつけたりするのは逆効果です。お子さまは「自分の気持ちを理解してもらえない」と感じ、心を閉ざしてしまいます。無理に登校させても、根本的な解決にはなりません。
- 行けない理由を問い詰める
お子さま自身も、なぜ行けないのか理由がわからないケースが多いものです。特に小学校低学年のお子さまは、自分の気持ちを言語化するのが難しいため、理由を聞いても答えられない場合が多いでしょう。
- ほかの子や兄弟と比較する
「〇〇ちゃんは毎日行ってるよ」「お兄ちゃんは行けてるのに」といった比較は、お子さまの自己肯定感を低下させます。「自分はダメな子だ」という思いが強まり、ますます登校が困難に。
- 「がんばれ」と励ます
励ますつもりの言葉が、プレッシャーになる場合があります。「がんばれ」と言われても、これ以上どう頑張ればいいのかお子さまはわかりません。「大丈夫」といった言葉も、「大丈夫じゃないから困っているのに」と受け取ってしまいます。
- 休んだ日に勉強を強制する
学校を休んだからといって、家で勉強を強制するのは逆効果です。お子さまは体調不良や心の疲れで休んでいるため、勉強どころではありません。無理に勉強させると、心の回復を妨げてしまいます。休んだ日は心と体を休めることを優先してください。
親ができる対応方法
では、五月雨登校のお子さまに、保護者様はどのように対応すればよいのでしょうか。
- 行けた日を認める
登校できた日をしっかり褒めて認めてあげましょう。たとえ午前中だけでも、好きな授業だけでも、登校できたのは大きな一歩です。逆に、行けなかった日は責めずに、お子さまの気持ちを受け止めてあげてください。
- 選択肢を提示する
「今日は何時間目まで頑張れそう?」「好きな授業だけ出てみる?」など、段階的に目標を設定すれば、お子さまの負担を軽減できます。
- 体調不良を否定しない
不登校における体調不良は心因性のものが多く、お子さまにとってはつらいものです。長く続く場合は、起立性調節障害なども考えられます。必要に応じて、小児科や心療内科の受診を検討してください。
- 学校との連携を取る
担任の先生にお子さまの現状を伝え、保護者様の考えを学校側と共有しておくことは大切です。別室登校や時間を短縮しての登校など、学校側に相談するのもいいでしょう。
- 家庭を安心安全の場所にする
親子の会話を大切にし、お子さまの好きなことをする時間を確保しましょう。「家は安全な場所」だと感じられることが、心の回復につながります。
不登校のお子さまへの具体的なかかわり方については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。併せてご覧ください。
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お子さまの五月雨登校が続くと、保護者様も精神的に疲れてしまいます。一人で抱え込まず、スクールカウンセラーや専門機関への相談も検討してください。保護者様の心の安定が、お子さまの回復につながります。
最後に | 五月雨登校から抜け出すために

五月雨登校は、お子さまが「学校に行きたい」気持ちと「行けない」現実の間で揺れ動いている状態です。完全不登校の一歩手前ともいえるかもしれません。しかし、この時期に適切な対応ができれば、状況の悪化を防ぎ改善することは十分可能です。
「うちの子の場合はどうすればいいのだろう?」「このままで大丈夫なのか不安…」と悩んでいる保護者様は、まず「不登校こころの相談室」のAI診断(無料)を試してみてください。AI診断では、簡単な質問に答えるだけで、お子さまの現在の状態を客観的に把握できます。
診断結果をもとに、必要に応じて不登校に特化した専門のカウンセラーに相談することも可能です。五月雨登校のお子さまに、どのようなかかわり方が効果的か理解できるようになるでしょう。五月雨登校の段階で適切なサポートがあれば、お子さまの状況は改善していきます。
「不登校こころの相談室」のオンラインカウンセリングなら、自宅から気軽に利用でき、お子さまや保護者様の負担は大きくありません。もちろん、保護者様だけのご相談も可能です。一人で悩まず、まずは一歩を踏み出してみませんか?「不登校こころの相談室」が、お子さまと保護者様に寄り添い、全力でサポートいたします。













