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登校しぶりが朝だけ起こる子どもの心理とは?

朝だけ登校しぶりが起こる理由は、お子さまの「行かなきゃいけない」と「行きたくない」気持ちがせめぎ合っているからです。朝の時間帯は、こういった心の葛藤が大きく、それが身体の不調や気分の落ち込みにつながっていると考えられます。
では、朝だけ登校しぶりがあるお子さまはどのような気持ちを持っているのでしょうか?
学校生活に不安がある
お子さまが登校をしぶる理由の1つに、学校生活への不安があります。以下のような心配が積み重なると、朝の登校時間は気持ちが重たくなるでしょう。
- 勉強に対する不安
「授業についていけない」「テストの点数が悪かった」など、学習に関する不安が考えられます。特に真面目なお子さまほど、完璧にできない自分を責めてしまいがちです。
- 友達との関係の悩み
学校生活における人間関係のストレスは、お子さまにとっては大きな負担になり得ます。特に、クラスのグループ関係が複雑な場合や仲間外れの経験があると、登校への抵抗感が強まるでしょう。
- 先生との相性
先生に対して「怖い」と感じていたり「理解してもらえない」といった気持ちがあったりすると、学校は安心できる場所ではありません。怒られるかもしれない恐怖感で、常に自分の行動が間違っていないか不安になるお子さまもいます。
このような不安を抱えながら登校しているお子さまは多いかもしれません。登校をしぶりながらも我慢して学校生活を送っている状態が長く続くと、不登校になる可能性もあります。
家と学校とのギャップが大きい
放課後や休日は特に変わった様子がなく家で過ごしているお子さまも、朝になると元気がなくなり登校をしぶる場合があります。家と学校の環境の大きな差に、お子さまは苦しんでいるかもしれません。毎朝登校しぶりが続くと「今日こそ行けないかもしれない……」と保護者様も心配になりますよね。
- 学校での緊張感
自分のペースで過ごせる家とは違い、学校では常にまわりの目を気にして決められたルール内で行動しなければなりません。みんなと同じように動かなければならない緊張感で、お子さまの心は疲弊している場合があります。
- 朝の準備が大きな壁
学校に行く準備自体が負担になっているケースもあるでしょう。着替える、時間通りに家を出るといった行動が、お子さまにとって高い壁になっているとも考えられます。朝の支度そのものが、学校へ向かう気持ちを萎えさせることも少なくありません。
- 学校の「当たり前」がしんどい
多くの子どもたちが「当たり前」と受け入れていることに、深い違和感や不安を抱えているお子さまもいるでしょう。「なぜ自分だけがこんなに苦しいのだろう」という孤独感が、登校しぶりを引き起こしている場合もあります。
「もう少し家で過ごしたい」「今日は学校がしんどいかも」といった言葉は、単なる甘えではなく、お子さまからの切実なSOSかもしれません。
親に心配をかけたくない気持ち
保護者様が困るのがわかっているので、学校に行きたくない気持ちを隠しているお子さまもいるでしょう。しかし、朝になって「学校に行かなければ」と思えば思うほど、実際には「身体が動かない」状況なのかもしれません。
- 親に迷惑をかけられない
保護者様の態度が気になり、休みたいと伝えられない場合があります。我慢して登校を続けると、頭やお腹が痛くなるなど身体に不調が現れるケースも。
- 自分を追い込んでいる
「ほかの子は普通に行っているのに、自分だけ行けないのはダメだ」と、自分を追い込んで登校しているかもしれません。特に、真面目で責任感が強いタイプほど、限界まで我慢してしまいます。
- 甘えていると思われたくない
朝になると身体が重くなったり、気持ちが落ち込んだりするのは、お子さまが自分の意思でコントロールできるものではありません。しかし、それを上手く説明できず「甘えている」と思われるのを気にする場合もあるでしょう。
お子さまが登校をしぶるのは、単なる「甘え」や「怠け」ではありません。お子さまなりに、親に心配をかけたくないと心の中で葛藤していると理解してあげてください。
登校しぶりが朝だけ起こる子どもへの適切な対応策

朝だけ登校しぶりが続くと、保護者様もどう対応すればいいのか悩んでしまいますよね。無理に学校へ行かせようとすれば、お子さまはさらに不安を強めてしまうことになりかねません。
一方で、休ませ続けることへの不安を感じる保護者様も多いでしょう。ここでは、朝の登校しぶりに適切に対応するための具体的な方法を紹介します。
子どもの気持ちを受け止める
登校しぶりが朝だけ起こるお子さまに対して、まず大切なのは「気持ちを受け止めること」です。
「早く準備しなさい!」と焦らせると、お子さまの不安はさらに強まります。また「昨日は行けたのに……」といった言葉も、お子さまを追い詰めてしまうかもしれません。
まずは気持ちに寄り添い、何が不安なのかお子さまの話に耳を傾けましょう。その際は、
お子さまの感情を否定しないように気をつけてください。
登校までのハードルを下げる
お子さまの心理的負担を小さくするために、登校のハードルを下げる工夫も大切です。特に小学校低学年のお子さまは、保護者様と一緒だと登校しやすいかもしれません。
校門まで一緒に行く、教室の前まで見送るなど、お子さまの気持ちにあわせて調整するといいのではないでしょうか。
無理に登校を強制しない
登校しぶりが続く場合、無理に学校へ行かせるのが逆効果になる場合もあります。どうしても行きたくない日は休んでも大丈夫だよと伝えてあげると、安心して逆に「行ってみようかな」と思える場合があります。
休みたい気持ちを責めるのではなく、学校に対するプレッシャーを軽くする声かけを心がけてください。
学校や専門機関と連携する
お子さまの登校しぶりが続く場合、保護者様は1人で抱え込まず学校や専門機関と連携するのも大切です。
まずは学校の先生に相談し、お子さまの様子を伝えましょう。スクールカウンセラーに相談してみるのもいいのではないでしょうか。
お子さまの登校しぶりが続き、朝になると強い不安や体調不良を訴える場合は専門機関に相談するのも1つの方法です。心療内科やカウンセリングを利用すれば、適切な対応策が見つかる可能性があります。
朝の登校しぶりを改善するための家庭環境づくり

朝は、朝食の用意やお弁当づくり、保護者様自身の身支度もあってバタバタしがちです。時間に追われて心に余裕がなくなってしまう日もあるでしょう。そのような状況で、お子さまが登校をしぶりぐずってしまうと、さらに焦りが募ってしまいますよね。
しかし、親の焦りはそのままお子さまにも伝わり、かえって登校しぶりが強くなる場合があります。朝の時間を少しでも穏やかに過ごせるよう「心の負担を減らす工夫」が大切です。
朝の支度をスムーズにする工夫
朝の支度をスムーズにこなすには、無駄な判断や選択を減らすことがポイントです。例えば、朝食のパターンを決めておくのもいいでしょう。また、お子さまの年齢に合わせて、自分でできることは自分でする習慣づけも大切です。
前日の準備
朝の負担を減らすためには、前日のうちにできることを整理しておくのが効果的です。学校の持ち物は夜のうちに確認し、教科書やノート、必要なプリント類、体育着や上履きなどをバッグに詰めておきましょう。提出物や宿題も完了しているか確認し、学校からのお知らせにも目を通しておくと安心です。
また、翌日着る服を前日に決め、靴下や下着などの準備もしておくておくのも焦らないポイントです。お弁当が必要な場合は、メニューを決め、必要な食材を確認するだけでも翌朝の負担は軽減されます。野菜のカットなど、前日にできる下準備しておくのも効果的でしょう。
前日の準備をお子さまと一緒にすれば「明日は学校に行く」といった心の準備にもつながります。ただし、この時間が親子のストレスにならないよう、和やかな雰囲気を心がけてください。
朝の時間管理
限られた朝の時間を効率的に使うためには、時間管理が重要です。起床から出発までの具体的な時間設定があると、お子さまも見通しが立ちやすくなります。時間の見積もりは実際にかかる時間より数分多めに設定すると、余裕を持って行動できるでしょう。
朝の流れを表などにして見える化すれば、お子さまも自分のペースで準備を進められるようになります。朝の時間は限られているので、やることを明確にして効率的に時間を使うようにしましょう。
家庭の雰囲気を穏やかにする工夫
「朝のバタバタした時間にリラックスするなんて無理!」と思うかもしれません。しかし、ほんの少しの工夫で朝の雰囲気は大きく変わります。
例えば、淹れたてのコーヒーをゆっくり飲むだけでも心に余裕が生まれます。リラックスする時間が確保できれば、保護者様の心も少し軽くなるかもしれません。
ストレス軽減する習慣
朝の登校しぶりを緩和するためには、家族全体のストレスレベルを下げるのが効果的です。「おはよう」と笑顔で声をかけたり、ちょっとした手伝いにも「ありがとう」と感謝を伝えたりするだけで、お子さまの自己肯定感が高まります。
朝の重たい雰囲気を軽くするには、意識的に「余裕」や「笑顔」を作り出す工夫をしましょう。無理のない範囲で続けていくうちに、少しずつ親子の空気が変わっていきます。
親が心に余裕を持つ
お子さまの登校しぶりが続くと、保護者様自身も精神的に疲れてしまいます。お子さまが寝た後の30分でも、自分だけの時間を持ち、趣味や好きなことに短時間でも取り組んでみてはどうでしょうか?また、睡眠の質を高めるのも重要です。
朝の登校しぶりに直面すると、つい「時間に間に合わない!」という焦りが生じます。そんなときは、視点を切り替えてみてください。「今日休むのは大きな問題だろうか?」といった問いかけは、状況を客観的に見るのに役立ちます。
焦りや不安を感じたときは、一旦立ち止まって自分の感情を認識することが大切です。「今日は遅れても仕方ない」くらいの気持ちの余裕があれば、お子さまに伝わる緊張感も軽減されるでしょう。
朝だけ登校しぶりが続く場合の選択肢

不登校の児童生徒の人数は年々増え続け「学校に行かない」のは決して特別な選択ではありません。登校しぶりが一時的なものではなく長期間続く場合は、無理に登校させるより別の選択肢を検討するのもいいのではないでしょうか。
ここでは、一時的に学校を休むことやフリースクール・オンライン学習の活用、専門家への相談といった具体的な選択肢について紹介します。
登校を一時的に休む
登校しぶりが続いているときに、無理に学校へ行かせようとすると、お子さまの心の負担がさらに大きくなるケースがあります。そんなときは、一旦休む選択も視野に入れてみてはどうでしょうか。
「無理に行かなくても大丈夫」「休むのも1つの方法だよ」と伝えると、お子さまの心は次第に安心します。学校へ行かなければならないプレッシャーを減らしてあげると、結果的に「行こうかな」と思える場合もあります。
学校に行けない原因が精神的な疲れやストレスの場合、無理にがんばらせるよりも、ゆっくり休んで気持ちを整える時間を優先してください。しばらく学校を休むと、気持ちが落ち着き、再び登校できるようになるお子さまもいます。
フリースクールやオンライン学習の活用
学校に行くのが難しい場合でも、学ぶ手段はいくつもあります。フリースクールを検討したり、オンライン学習を活用したりすれば、お子さまは無理なく学びを続けられます。
フリースクールは、学校とは異なる自由な学びの場です。登校の義務はなく、お子さまのペースに合わせた活動ができるのが特徴です。同じような悩みを持つ仲間と交流しながら、少しずつ社会とのつながりを持てるのも大きなメリットではないでしょうか。必ずしも学校復帰を目指している施設ではなく、お子さまが将来に向かって歩き出す力をつけるサポートをしてくれるでしょう。
また、自宅で学習できるオンライン学習の選択肢もあります。学校に行けなくても、学習の遅れを防ぎながら、自分のペースで学べるのがオンライン学習のメリットといえるでしょう。学校の勉強が遅れたとしても、学年に関係なくお子さまの状況に合わせて学べます。進学に向けて出席日数が気になる場合、出席扱いになる制度を利用できるオンライン学習サービスもあります。
専門家に相談する
登校しぶりが長引くと「このままで大丈夫なの?」と不安になる日もあるかもしれません。そんなときは、専門家に相談すれば、新たな解決策が見つかる場合もあります。
多くの学校には、スクールカウンセラーが在籍しています。お子さまが登校しやすい環境を整えるための相談ができるでしょう。
朝に体調が悪くなる、腹痛や頭痛が続くなどの症状がある場合は、ストレスや心因的な要因が影響している可能性があります。小児科や心療内科を受診すれば、医師やカウンセラーの第三者の視点から解決の糸口が見つかるかもしれません。
心療内科については、こちらの記事も参考にしてださい。
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お子さまの登校しぶりが続くと、保護者様も不安や焦りが強くなるものです。1人で抱え込まず、相談機関やカウンセリングの利用も検討してください。
最後に|朝だけの登校しぶり、子どもは葛藤しています!

朝になると「学校に行きたくない」と訴えるお子さまには、学校生活への不安や心理的負担、環境の切り替えの難しさなど、さまざまな理由があります。登校しぶりは単なる「甘え」ではなく、お子さま自身も葛藤を抱えながら必死に対応しようとしているのです。お子さまの気持ちを受け止め、無理に登校を強制せず、登校へのハードルを下げる工夫をしてください。
長期的に登校しぶりが続く場合は、一時的に学校を休む選択肢や、フリースクール・オンライン学習の活用を検討するのもいいかもしれません。
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「どう声をかければいいのかわからない」「このまま休ませていいのか不安」といった保護者様の悩みにも寄り添い、具体的な対応を考えていきます。1人で抱え込まず、ぜひ「不登校こころの相談室」のオンラインカウンセリングをご利用ください。専門家と一緒に、お子さまが安心して自分らしく成長できる道を見つけませんか?