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付き添い登校はいつまで続けるべき?

付き添い登校とは、保護者様が登校時にお子さまに付き添い、一緒に学校へ向かうサポートのことを指します。
付き添い登校は、お子さまの不安をやわらげ、登校を後押しする手段として一定の効果があるものです。
しかし、付き添い登校が長期化することで保護者様の生活や気持ちに影響が出てくることがあります。
限界だと感じている場合、「やめどき」が気になる方も多いでしょう。
付き添い登校をいつまで続けるべきかは、お子さまの性格や不安の程度、学校環境などによって異なります。
だからこそ一律の正解を求めるのではなく、現状を客観的に見つめながら、必要なタイミングで立ち止まることが大切です。
まずは、付き添い登校にどのような意味があるのか、メリットとデメリットの両面から整理してみましょう。
付き添い登校のメリット
付き添い登校の主なメリットは、次の通りです。
- お子さまに安心感を与え、登校のハードルを下げられる
- 保護者様との信頼関係が深まり、心理的な支えになる
- 登校できたという達成感が得られる
- 学校との連携がとりやすくなる
付き添い登校は、お子さまが安心して学校に向かうために必要な手段であるケースもあります。
保護者様がそばにいることで不安がやわらぎ、登校への第一歩を踏み出しやすくなるお子さまもいるのです。
毎朝の付き添い登校を通して、お子さまが「見守られている」「応援されている」と感じられるようになると、保護者様との信頼関係もより一層深まるでしょう。
こうした安心感が土台となり、少しずつ自力での登校につながることもあります。
なお、付き添い登校であっても「登校できた」という行動そのものが、お子さまにとっての自信となる可能性があることも、意識しておけるとよいでしょう。
また、付き添い登校によって学校の様子を直接確認できるため、先生とのコミュニケーションが自然に増え、お子さまのサポート体制の構築にも役立ちます。
付き添い登校のデメリット
付き添い登校の主なデメリットは、次の通りです。
- 保護者様の生活や心身に大きな負担がかかる
- お子さまの自立のタイミングを逃すおそれがある
- 保護者様が焦りや孤独を感じやすくなる
- 続けること自体がストレスの原因になることもある
付き添い登校が長引くと、保護者様の日常に大きな負担がのしかかります。
朝の予定が固定され、仕事や家事との両立が難しくなることも懸念点の一つです。
また、「保護者様がいないと登校できない」という状態が長く続くと、お子さまが自立するきっかけをつかみにくくなってしまうこともあります。
他の子と比較して、「うちだけ進んでいないのでは」と不安を抱くこともあるでしょう。
焦りや孤独感が積み重なることで、ストレスが増してしまう可能性も否定できません。
保護者様が付き添い登校に限界を感じ、親子関係に悪影響が出る前に、続け方や関わり方を見直すタイミングを設けることが大切です。
付き添い登校をやめるステップ

付き添い登校が長引いていると、「いつまで続けるべきか」と不安になることがあるかもしれません。
やめるべきタイミングが明確に決まっているわけではありませんが、少しずつ手を離していくことが、お子さまの自立を促す第一歩となります。
ここでは、無理なく付き添い登校を卒業していくためのステップを、4段階に分けて紹介します。
ステップ1 付き添いの時間や範囲を縮める
最初のステップとして有効なのが、付き添いの距離や時間を見直すことです。
たとえば、元々教室前まで付き添っていたのを校門前までにする、その次は敷地の入口までにする、といったように段階的に縮めていきましょう。
いきなりやめるのではなく、「今日はここまでで大丈夫そうかな」と声をかけながら、少しずつ慣れを促します。
お子さまの様子を見ながら進めることで、保護者様の不安も軽減されるでしょう。
ステップ2 子どもが安心できる別の方法を取り入れる
付き添い登校に代わる、お子さまの安心材料を取り入れるのも一つの方法です。
出発の際の決まった送り出しの言葉、小さなお守りなどが例として挙げられます。
こうしたサポートは「離れていてもつながっている」とお子さまが感じられる支えになります。
お子さまの気持ちに合った方法を試しながら、自信につなげていきましょう。
ステップ3 成功体験を積み重ねる
小さな成功を一つひとつ認めていくことが自信の土台になります。
「今日は一人で校門まで行けたね」と声をかけるだけでも、お子さまの達成感につながります。
すぐに結果が出なくても、日々の変化に目を向け、前進を一緒に喜ぶ姿勢が大切です。
焦らず、過程を見守っていきましょう。
ステップ4 付き添いを卒業したあとのサポートを考える
付き添い登校をやめても、お子さまの不安がすぐに消えるとは限りません。
声かけや帰宅後の会話など、日常の中でのフォローが安心感につながります。
週末に気分をリセットできる時間を設けるのも効果的です。
「付き添い登校をやめて終わり」ではなく、引き続き見守る姿勢が、お子さまの心の安定を支えます。
付き添い登校を続けるときのポイント

付き添い登校をすぐにやめるのが難しいと感じている場合は、「どのように続けるか」を考えることが大切です。
保護者様が限界を感じて消耗しきってしまわないように工夫しつつ、長期的な視点を持って関わっていくことが、よりよいサポートにつながります。
付き添い登校の負担を減らす工夫をする
付き添い登校が長期化する場合、保護者様の心身への負担も大きくなります。
その負担を少しでも軽くするためには、無理のない範囲で工夫をすることが大切です。
たとえば、徒歩ではなく自転車や車を使う、時間帯をずらして登校ラッシュを避けるなど、日々の負担を減らせる方法を検討してみましょう。
また、付き添い登校の道中を親子のコミュニケーションの場と捉え、気軽な会話を交わすことで気持ちの余裕も生まれやすくなります。
「付き添い=苦痛」ではなく、前向きな時間として過ごせるようになるかもしれません。
第三者のサポートを取り入れる
付き添い登校を続けるうえで、家族以外の手を借りることも選択肢の一つです。
たとえば、近所の友人や親戚など、信頼できる人に一部の付き添いをお願いすることで、保護者様の負担を分散させることができます。
親以外にも頼れる存在がいるという環境は、お子さまの安心感にもつながるものとなるでしょう。
地域の登校支援ボランティアや学童保育なども含め、利用できる制度や支援を調べてみると、新たな可能性が見つかるかもしれません。
長期的な視点で取り組む
付き添い登校は、短期間で終わるものとは限りません。
焦らず、長期的な視点を持って取り組むことが大切です。
今日は無理でも明日は一歩進めるかもしれない、そのように日々の変化を見守る姿勢が、お子さまの安心感につながります。
進んだり戻ったりを繰り返しながらも、最終的には自立に向かって歩んでいけるよう、温かく寄り添うことを意識しましょう。
また、周囲と比較せず「うちの子のペースでいい」と受け止めることで、保護者様の心が軽くなることがあります。
付き添い登校に限界を感じたときの対処法

付き添い登校を続ける中で、「もう限界」と感じることがあるかもしれません。
そのようなときは無理をして頑張り続けるのではなく、一旦立ち止まり、自分自身のケアや周囲の支援を見直すことが大切です。
ここでは、付き添い登校に限界を感じたときに実践できる、具体的な対処法を4つ紹介します。
休息の時間を作る
保護者様が心の余裕を保つためには、意識的に休む時間を確保することが必要不可欠です。
たとえ短時間でも、一人でゆっくりお茶を飲んだり、外の空気を吸ったりするだけで、気持ちが切り替わりやすくなります。
疲れを感じたときは「少し休もう」と立ち止まることも、付き添い登校に長く付き合っていくためには必要な選択です。
家庭内での分担を変更する
付き添い登校の負担を一人で背負い続けるのは、とても大変なことです。
可能であれば他の家族や祖父母などの協力を得て、付き添い登校や家事を分担する方法を検討してみましょう。
協力体制を整えることで、保護者様自身もゆとりを持ってお子さまと向き合えるようになります。
学校と連携する
付き添い登校に限界を感じ始めたときは、学校と積極的に連携を取ることが重要です。
担任の先生や支援担当の教員に現在の状況を伝えることで、別室登校や教室の出入りのサポートなど、新たな対応策が見えてくることもあります。
一人で抱えこまず、学校と協力して取り組む姿勢が、お子さまにも良い影響を与えるでしょう。
専門的な支援やカウンセリングを検討する
自分たちだけで解決が難しいと感じるときは、専門的なサポートを活用するのも有効です。
たとえば、スクールカウンセラー、オンラインカウンセリングなど、相談できる場所はいくつかあります。
話を聞いてもらうだけでも心が軽くなることはあります。
また、具体的な助言を受けられるケースもあるため、利用を検討してみましょう。
付き添い登校に限界を感じるときは「不登校こころの相談室」へ

付き添い登校は、お子さまに安心感をもたらす大切なサポートですが、保護者様にとって大きな負担になることもあります。
「いつまで付き添い登校を続けるべきか」、「限界を感じたらどうすればいいのか」と悩んだり判断に迷ったりするときは、一人で抱え込まず、専門家に相談するという選択肢も検討してみてくださいね。
「不登校こころの相談室」では、お子さまに関する悩みを丁寧にお聞きし、状況に応じた対応を一緒に考えていきます。
オンラインカウンセリングであるため、小さなお子さまがいるご家庭でも気軽にご利用いただけます。
付き添い登校に限界を感じたとき、安心して相談できる場所があることは、保護者様にとっても心の支えになります。
可能な限り周囲のサポートを得ながら、前向きに取り組んでいきましょう。