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母子分離不安と発達障害の関係性は?対処法を分かりやすく解説します

お子さまが母親をはじめとした主な養育者と離れることを拒む、「母子分離不安」。

強く不安を感じているお子さまの姿に、保護者様は「このままで大丈夫だろうか」と心配になってしまいますよね。

実は、母子分離不安の背景には発達障害が関係していることがあります。

そこで本記事では、母子分離不安について詳しく解説します。発達障害との関係性や対処法についても紹介するため、ぜひ参考にしてくださいね。

母子分離不安とは?

母子分離不安とは?

母子分離不安とは、主に小さなお子さまが主な養育者と離れることに非常に強い不安を感じる状態を指します。養育者とは主にお子さまの世話をする人のことであり、母子分離不安においてはその名の通り、母親を指すことが一般的です。

母子分離不安は、生まれて間もないお子さまにも見られます。

小さなお子さまの場合、母親の姿が見えないと泣く、母親以外の人に抱っこされることを嫌がるといった反応を示します。

このような反応は成長過程において多くのお子さまが経験することであり、養育者との適切な愛着関係が築かれている証でもあります。成長とともに克服できるようであれば、さほど心配する必要はありません。

しかし、たとえば小学校に入学後も強い不安が続いて登校ができないといった場合には注意が必要です。

何らかの原因によって、うまく不安を乗り越えられていない可能性があります。

母子分離不安の原因

母子分離不安の原因

では、お子さまが成長してもなお母子分離不安が続く原因は何でしょうか。

ここでは、母子分離不安の主な原因を4つにまとめて紹介します。

  • 発達障害
  • 環境の変化
  • 子どもの性格
  • 親子の関係性

発達障害

お子さまが発達障害である場合、その特性が母子分離不安につながっている可能性があります。

発達障害のお子さまは、感覚が過敏であったり社会性の発達に遅れがあったりすることが多いとされています。環境の変化にも敏感で、不安を感じやすい傾向にあります。

たとえば、自閉スペクトラム症(ASD)のお子さまによく見られるルーティンへの強いこだわりは、学校入学時などの環境の変化を苦手とします。

生活リズムが変わることに極度のストレスを感じ、安心できる保護者様から離れられなくなってしまうのです。

このように、発達障害は母子分離不安の原因となったり、元々あった不安を増強させてしまったりすることがあります。

環境の変化

環境の変化によって母子分離不安が起こることがあります。

環境の変化は、多くのお子さまに強い不安やストレスをもたらすものです。

たとえば、保育園・幼稚園への入園、小学校への入学、引越し、家族関係の変化などが挙げられます。

新しい環境というものは、大人も緊張したり不安を感じたりするものですよね。

お子さまであればそれは尚更であり、環境が大きく変わることはストレスとなります。

環境の変化に適応するのが苦手なお子さまは、より母子分離不安が起こりやすくなります。

子どもの性格

お子さまの性格も、母子分離不安に影響を与える要因の一つです。

慎重で繊細な性格のお子さまや、新しい環境に慣れるのが苦手なお子さまは、母子分離不安を感じやすくなります。

性格は、お子さまが持って生まれたものと成長過程の経験の中で獲得されたものとの半々で形成されるものです。

つまり前者については、保護者様の育て方次第で変わるというものではありません。それを含めて、「その子らしさ」と言えるでしょう。

慎重な性格のお子さまは、慣れない環境でこれから起こることに不安を感じ、安心できる相手である保護者様から離れるのをためらいます。

この「慎重さ」がお子さまが生まれ持った性格であると考えられる場合、無理に否定したり変えようとせず、受け入れ、対処法を検討していく方がよいケースもあります。

母子分離不安は、お子さまの性格が影響して起こることがあるものです。

親子の関係性

親子の関係性は、母子分離不安に大きな影響を与えます。

たとえば、保護者がお子さまに対して極端に過保護で先回りのような対応をとっている場合、お子さまは失敗したり傷ついたりした経験が乏しくなってしまいます。

我が子を思う気持ちからつい何でもしてあげたくなるのは自然なことですが、時にはお子さまを信じ、挑戦させることも大切です。

保護者様が常にお子さまのそばにいて、失敗しないようにとサポートしていると、お子さまの「一人でできる」という自信がつきにくくなってしまいます。

自信の無さは結果として不安につながり、保護者様と離れられなくなってしまうのです。

母子分離不安には、親子の関係性が大きく関係していると言っても過言ではないでしょう。

母子分離不安が子どもに与える影響

母子分離不安が子どもに与える影響

母子分離不安は、特に小さなお子さまに見られるごく自然な現象です。

しかし、成長とともにその不安を乗り越えられなかった場合、お子さまの成長に影響を与えることがあります。

ここでは、母子分離不安がお子さまに与える影響を3つにまとめて紹介します。

  • 心理面の影響
  • 行動面の影響
  • 将来への影響

心理面の影響

母子分離不安の状態が長く続くと、お子さまの心に影響を及ぼします。

保護者様なしでは行動できない、強い不安を感じる状態が慢性化し、通学などの本来保護者様と離れて行う行動にも支障をきたすことが予想されます。

母子分離不安を克服できていないお子さまは、保護者様と離れることに常に不安や孤独感を感じることになるでしょう。

自分の意志で行動したり決断して何かを成し遂げたりする経験が乏しくなるため、自己肯定感の低下にもつながります。

小さなお子さまの場合は過度に心配しすぎる必要はありませんが、成長とともに母子分離不安が克服できないままである状態は、お子さまの心に影響を及ぼす可能性があります。

行動面の影響

母子分離不安は、お子さまの行動にも影響を与えます。

保護者様から離れることを極端に嫌がることで登校しぶりを引き起こしたり、さらに悪化すると不登校につながったりすることもあります。

保護者様と離れることへの不安の強さから、腹痛や発熱といった身体的な症状が現れることも珍しくありません。また、不安な気持ちが攻撃的な行動を引き起こすこともあるため、保護者様は対応に困ってしまいますよね。

このように行動面に影響が出ると、お子さまの日常生活をはじめ人間関係にも影響が及んでしまうでしょう。

将来への影響

母子分離不安は、お子さまの将来にも影響を与える可能性があります。

お子さまが不安の強さから保護者様と離れられないでいると、本来であれば経験するはずの友人との交流や学習の機会が乏しくなってしまいます。

他のお子さまと少しずつ触れ合いながら自然と学んでいくであろう「友人の作り方」を学ぶチャンスがなくなり、将来大人になってから対人関係の形成に苦労することがあるかもしれません。

また、母子分離不安によって学校に遅刻したり欠席したりすることがあると、それだけ学ぶ機会も失われます。学力の低下は、お子さまの自信喪失にもつながりかねません。

母子分離不安は、お子さまの将来に長期的に影響を与えることがあるため、注意が必要です。

母子分離不安と発達障害の関係性

母子分離不安と発達障害の関係性

母子分離不安の背景には発達障害が関係していることがありますが、具体的にはどのような特性が影響を与えているのでしょうか。

ここでは、2つの発達障害と母子分離不安の関係性を詳しく解説します。

  • 自閉スペクトラム症(ASD)の場合
  • 注意欠陥多動性障害(ADHD)の場合

自閉スペクトラム症(ASD)の場合

自閉スペクトラム症(ASD)のお子さまは、環境の変化に適応することを苦手とする傾向があるため、母子分離不安を経験しやすいと言えます。

自閉スペクトラム症(ASD)の特性として、日常のルーティンや予測できない変化に対して強い不安を感じるというものがあります。

たとえば、入園や入学のときに保護者様と離れるという体験は、まさに大きな環境の変化であり、自閉スペクトラム症(ASD)のお子さまに大きなストレスを与えます。感覚が過敏であったりこだわりが強いといった特性も、母子分離不安を助長する要因となるでしょう。

母子分離不安によって強い不安を感じたお子さまは、登校前になると落ち着かなくなったり、激しく登校をしぶったりすることがあります。小さなお子さまの場合、不安を言葉でうまく伝えられないために、激しく泣くことがあるかもしれません。

中には、保護者様の姿が見えないだけでパニックになるケースもあります。

自閉スペクトラム症(ASD)のお子さまが母子分離不安を起こしやすいのは、その特性が原因となっている可能性があります。

発達障害の特性により、他のお子さまよりも不安を感じやすいため、必要に応じてサポートが必要です。

注意欠陥多動性障害(ADHD)の場合

注意欠陥多動性障害(ADHD)のお子さまは、衝動性の強さや情緒をコントロールすることの難しさから母子分離不安を経験することがあります。

注意欠陥多動性障害(ADHD)のお子さまは、注意を持続させることが苦手で周りの状況に気をとられやすい傾向があります。

また、感情の浮き沈みが激しく、瞬時に感じる不安やストレスを抑えるのが難しいため、保護者様と離れるという事態に過剰に反応してしまう場合があります。一時的な不安や寂しさを上手くコントロールすることができず、混乱してしまうのです。

予測不可能な状況を苦手とするため、保護者様と離れる瞬間が突然であるほどパニックを起こしやすくなります

たとえば、保護者様が急に外出しなければならない場面や、通園バスなどに乗って保護者様の姿が見えなくなると、強い不安を感じるでしょう。不安から泣いたり騒いだりすることがあるかもしれません。

このように、注意欠陥多動性障害(ADHD)のお子さまは、衝動性の強さや気持ちのコントロールの難しさから、母子分離不安を経験しやすい傾向にあります。

発達障害が関係した母子分離不安への対処法

発達障害が関係した母子分離不安への対処法

では、お子さまの母子分離不安に発達障害が関係していると考えられる場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

母子分離不安は成長とともに改善するケースも珍しくないため、どこまでどのように対処すればよいのか、判断に迷ってしまいますよね。

ここでは、発達障害の特性が原因となっている母子分離不安への対処法について、5つにまとめて紹介します。

  • 環境を調整する
  • 親子でコミュニケーションをとる
  • 専門家に相談する
  • 支援機関を利用する
  • オンラインカウンセリングを利用する

環境を調整する

発達障害によって母子分離不安を起こしているお子さまには、環境を調整することが大切です。

環境の変化をできるだけ少なくし、お子さまが安心して過ごせる環境を整えましょう。

発達障害のお子さまは、環境や状況の変化に敏感な傾向にあります。急な変化は大きな不安につながるため、注意が必要です。

お子さまの発達や年齢に応じて。事前にこれから起こることを伝えたり、段階的に慣らしていけるよう準備をしたりできるとよいでしょう。

たとえば、家庭や学校では、カレンダーを使ってスケジュール表を作り、1日の流れを示すのがおすすめです。お子さまは、予定を把握し、次に何をするか・何が起こるのか予想できることに安心感を得られます

まだ小さなお子さまであれば、文字だけでなくイラストを使って、視覚的に理解しやすいよう工夫できるとよいですね。

母子分離不安は、何か対策をとったからと言って即座に改善するものではありません。

環境を整え、変化をできるだけ少なくすることでお子さまが安心して過ごせる生活を作っていきましょう。

親子でコミュニケーションをとる

お子さまとは積極的にコミュニケーションをとり、不安な気持ちを受け止めてあげましょう。

言葉でうまく表現できないお子さまもいるため、遊ぶ時間を増やしたり触れ合ったりすることで緊張を解いてあげられるとよいでしょう。

特別な会話ではなく、日常の他愛ないやりとりで構いません。お子さまが不安を伝えやすいような信頼関係を築くことが大切です。

たとえば、お子さまが不安を感じているときに抱きしめてあげたり、「寂しいね」など共感の言葉をかけてあげたりするだけでも、お子さまは安心感を得ることができます。

親子のコミュニケーションを深めることで、お子さまの不安を理解して対処を検討しやすくなります。

日頃の会話から、不安を受け止めてあげることが大切です。

専門家に相談する

必要に応じて、医師や療育機関などの専門家に相談することも有効です。

相談することで、お子さまの特性に合わせた具体的な対応方法を知ることができます。

発達障害の診断を受けているお子さまの場合、児童精神科医や心理士に相談することで不安を軽減するための方法を教えてもらうことができるでしょう。

専門家への相談は、お子さまだけでなく保護者様の負担を軽くすることもできます。

母子分離不安はお子さまに強いストレスを与えるものですが、同時に、それをサポートする保護者様の心も疲弊させるものです。

たとえば、母子分離不安によって毎朝登校をしぶり、激しく泣いたりするお子さまの対応には骨が折れますよね。

コミュニケーションや不安を受け止めることが大切だと頭では理解していても、思うように実践できず葛藤を感じることもあるかもしれません。

そのようなときは、お子さまへの対応法だけでなく保護者様の悩みも聴いてもらいましょう。

家庭内だけで悩むのではなく、積極的に周囲を頼ることが大切です。

支援機関を利用する

支援機関を利用することで、母子分離不安へのサポートが得られる場合があります。

たとえば、発達障害のお子さまの親の会や発達支援センターでは専門スタッフがお子さまや保護者様に対して個別の支援を行い、サポートしてくれます。

お子さまへの対応に悩むときは、地域の支援機関や相談窓口を利用してみましょう。

同じ境遇にある方と交流することで情報交換ができたり、悩みを吐き出したり共感し合うことで心が軽くなることもあるでしょう。

オンラインカウンセリングを利用する

外出が難しい場合や気軽に相談したい場合、まずはオンラインカウンセリングを受けるのも有効な手段です。

オンラインカウンセリングでは、自宅にいながら専門家のカウンセリングを受けることができます。

たとえば、ビデオ通話やチャットを通してカウンセラーに相談する形式が一般的です。

発達障害のお子さまは環境の変化を苦手とする傾向にありますが、オンラインカウンセリングであれば自宅という慣れた環境で支援を受けることができます。

保護者様もリラックスした環境で相談することができるでしょう。

まずは気軽に相談してみたいといった場合、オンラインカウンセリングの利用を検討してみましょう。

母子分離不安と発達障害の悩みは「不登校こころの相談室」へ

母子分離不安と発達障害の悩みは「不登校こころの相談室」へ

母子分離不安の背景には、発達障害の特性が原因となっているケースがあります。

成長による母子分離の解決が難しい場合、お子さまの成長にさまざま影響を及ぼすため、適切な対処や支援が必要です。

母子分離不安で悩むときの相談先の一つとして、オンラインカウンセリングが有効です。

「不登校こころの相談室」では、国家資格を持った心理士によるカウンセリングをオンラインで受けることができます。

お子さまへの対応に疲れてしまった保護者様のケアを優先しているため、まずは保護者様だけでの利用もおすすめです。

「オンラインとはいえ、緊張する」

「カウンセリングの雰囲気次第で継続するかを決めたい」

このようなときは、LINEで無料相談をすることも可能です。

無料相談は顔出し不要なため、プレッシャーを感じることなく実際のカウンセリングを試せます。

発達障害や母子分離不安は、友人や知人など誰にでも気軽に相談できる問題ではないと感じている方は多いでしょう。専門家による客観的な意見の方が、冷静に受け止められることもあります。発達障害や母子分離不安の問題は家庭内だけで抱え込むのではなく、ぜひ「不登校こころの相談室」にご相談ください。

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